安倍新政権誕生に注目している間に、又もや、ヘッジファンドが大損をするという事件が起こっていた。ヘッジファンドが話題になる時は必ず世界の何処かで何か異変が起こっている時であると注目してきたのだが大騒ぎに気づかなかった。98年SLTC以来の損失だという。
原油などのエネルギー資源価格が動いている時は先ず何かが起こっていると考えて差し支えない。今回は天然ガス価格低落が原因だった。報道によって数字が一致しないが、ヘッジファンド「アマランス」が運用総額9.25億ドルのうち65%(約7000億円)の損失を出した。
ヘッジファンドの性格上詳細は良く分らないが概要は大体以下のようなところだ。天然ガス市場に巨額の投資をしていたアマランスが市場価格低落で債務不履行になる前に、貸し手のJPモルガンとシタデル(投資グループ)が借金の形に保有資産を買い取り、これを売り捌いて投資回収に向かったと見られている。
アマランスは優良銘柄の一つと見做されていたようでGoldman Sachs、Morgan Stanley、Credit Suisse、Deutsche Bankなどウォールストリートのビッグネームが、ファンドオブファンドのポートフォリオとして投資していたようだ。
これら機関投資家のうち、レーマンブラザーズは既に昨秋半分以上の投資を引き上げており通算でトントンだったらしいが、最終的に損失を被る顧客として3Mとかサンジエゴ郡退職基金など名前が挙がっている。市議会で問題指摘され議論されると見られている。海外顧客の名前も挙がっておりリスクマネーに向かい始めた日本発の資産の中にも、上記ビッグネームのファンドオブファンドに投資され損失を被る機関投資家が出る可能性がある。
お金に規律や倫理を求めることは出来ないが、ヘッジファンドをもっと透明性の高いものにすべきだ。殆どは正式コメントで得られた情報ではなく匿名とか憶測だ。人間の欲は限りが無く活力の源泉でもあり否定するものではないが、制御可能な範囲に保たなければならない。グローバル化の進展に伴いグローバルマネーは益々規律を失ったように感じる。長期的には今後もエネルギーと資源関連は投機の対象になるのは間違いない。
今回のレバリッジ・レートは4.5程度だそうで金融危機を引き起こすほどのインパクトはないらしいが、これほどの損失がある日突然表面化し、しかも関係者は口をつぐみ何が起こっているのか分からないとうのは明らかに異常だ。水面下のお金の流れの可視化が求められる。さもないと何時か酷いしっぺ返しを受ける。■