ようやく読書の意欲が湧く季節になった。夏の暑さの中では集中力を保って本を読むことが出来なかった。この季節に好きな音楽を聴きながら本を読めるのは私には最高の贅沢だ。このところ読書中はジャズやカントリーから気分転換でクラシックを聴くようになった。
最近手に入れた中古CDのうち音質が抜群にいいものがあった。ドイツのMazur Media GmbHのバッハのブランデンブルグ・コンチェルトだ。普段クラシックに余り馴染の無い私は知らないオーケストラ(Opera)の名前だった。豊かで臨場感があり私の持っている他のCDとは全く次元の異なる世界が広がった。
ジャケットを見ると20-bitDigital技術で録音されたという。インターネットで調べると会社は2004年に流動化(整理)されたということで詳細が分からない。音楽フリークの義弟から音源と録音方式によって音質が全く違うものになると聞かされていたので、多分これがそういうことなのだなと思った。
再生したメカは、99年始め帰国した当時購入したもので、日本で流行り始めていたシステムコンポだ。パイオニアのDVD/CDプレイヤー(96kb 24bit DAC)とヤマハの5.1チャンネルAVアンプだった。それ程大した買い物ではなかった。しかし、このバッハを聞くとこんなメカでも音源によってこんななにいい音が聴けるのかと嬉しい驚きだった。
退職金を使って田舎のうちを改築しAVを楽しむための部屋を作りシステムを購入した。それに比べて圧倒的に安価で普通の居間に置いただけのシステムでこんなにいい音が聞けるなら、随分無駄なお金を使ったことになってしまう。ちょっと複雑な気分だ。
改めて中古CDを売っているお店に行き物色したが、他にはHDC(High Definition Classic)レーベルのCDは見当たらなかった。その代わりにビクターの20 bit K2 HQ-CD 技術で50-60年代のマスター・テープをカットしたCDを2枚買った。クラシックでなくDuke EllingtonとChet Bakerだ。
早速聴いてみるとこの手の復刻版に比べダイナミックレンジは広く、特に低音の伸びを感じた。しかし、上記バッハのような音の豊かさと広がりは感じなかった。HQ-CDも20 bitサンプリングだが16 bitにコード化するといっている。HDCは20bitサンプル後どうするのか不明だ。
サンプリング後のコーディング方式ではなく音源の差かもしれない。バッハは生演奏を録音し、ジャズはマスター・テープからのカットなので元々音源の差が出たのかもしれない。私はラジカセでジャズでもカントリーでも、クラシックだって何だって楽しんで聴けばよいと言うほうだった。1枚の中古CDのお陰で楽しみ方が広がった。■