人気グループのメンバー草なぎ氏が、公然わいせつ罪で逮捕された顛末にはチョット驚いた。一般紙は第1面で報じ、まさかと思ったNHKまでトップニュースで伝えた。たまたま車中で聞いたニュースでは警察は逮捕後、自宅捜査に入ったという。同乗した娘は薬物の疑いがあるのではと。もしそうなら大事になるかもと思った。
しかし、草なぎ氏は薬物反応がなく、自宅から何も押収されなかったという。となると、深夜に酔っ払って公園で裸になっただけ、これだけ大騒ぎになった。夜になりインタビューで鳩山総務相が「最低の人間」と切り捨てたものだから、顰蹙(ひんしゅく)を買った。さすがに、翌日は他の閣僚や知事から大騒ぎするなとコメントが出て総務相も前言訂正、事態は落ち着き始めた。
草なぎ氏の行為は感心できないが馬鹿なことをするな、というだけのものだ。それで日本中が大騒ぎするなんて、全くどうかしている。かつてなら、スポーツ紙が客寄せの馬鹿でかい活字で書くが、メインストリーム・メディアは社会面のベタ記事で扱う程度だったはずだった。最近は、テレビのニュースバラエティ番組は限りなくスポーツ紙のレベルに近づいていたが。
しかし、今回私がショックを受けたのは、政治は大臣・メディアはNHKから全国紙まで、我国の所謂メインストリームが反応したことにより、日本全体がバラエティ番組化したように感じたことだ。草なぎ氏の破廉恥な行為どころか、日本の恥部をさらけ出したような一種の品の無さを感じた。
草なぎ氏の行為と警察の過剰な反応に対して、鳩山大臣の発言は「リアクション芸人」の役割を果たし、これらがニュースまがいの番組で報じられ、国中を出来の悪いバラエティ番組化した。関る人全員が自分を貶めているように感じた。何時も失言を心配されている麻生首相が沈黙したのは大正解、こんなことに首相がコメントすることはない。
週末の報道を注目したが、私の見たテレビ番組は本来ならこの程度だろうという地味な扱いに戻っていた。熱くなって大袈裟な報道をしたのが恥かしくなったのか、トップの指示かなんかで見直したのだろうと推測する。恥かしい事件を報道するからといって、自らを辱しめる事はない。早く気がついてくれて良かった。こんなことで国全体が馬鹿になっては困る。■