かぶれの世界(新)

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世界はどうして大恐慌にならなかったのか

2010-01-06 11:55:55 | 社会・経済

年明けの東京証券市場は昨年来の高値を更新し、続いてNY市場も大きく値を上げた。一昨年9月のリーマンショック以来、世界経済は底なし沼に入ったようだった。年が明けても事態は悪化の道を辿り、世界は大恐慌の深淵に向っているように思えた。

大恐慌といえば私は「怒りの葡萄」を思い出す。大恐慌で職を失い、西海岸に職を求めて移動して来た労働者を演じた、ヘンリーフォンダのやりきれない怒りを抑えた表情が、私にとっての大恐慌の象徴だ。そんな時代が来るのかと暗澹たる気持ちにさせた。

しかし、大方の専門家が悲観的な予測に傾く中、私は楽観的な見方に分があると昨年初め予想した。そして1年後の今、世界は殆ど何も無かったように変わりなく新年を迎えた。まだ総括するには早すぎるが、なぜ世界は大恐慌を免れたのか考えてみたい。

私の予測は、未曾有の危機に対して歴史的な対応がされ危機は回避できる、という楽観的なものでこのブログでも何度か紹介した。一言で言えば、世界中の政府が1929年に始まった30年代の大恐慌の二の舞を何としても避けるという強い決意で連携して対策を打つのだから何とかなるという、いささか精神論と期待の入り混じったものだった。

そして、これは歴史上かつて無い世界的取り組みであり、それが成功したと今年始めに投稿した。その後私の仮説を検証してみようと調べ、日本語版ニューズウィーク(2009/12/30-)の記事「世界は何故崩壊しなかったか」が、私と同じような考えで仮説を補強してくれそうだと思った。

その記事を私なりに要約すると、最初に各国政府の金融政策と財政政策を通じた経済てこ入れの拡大をあげている。更に重要なのは、世界のシステムが思ったより頑丈だった、その要因として1)大国間の平和、2)インフレ抑制に成功し社会が安定していた、3)テクノロジー発展で世界が一体化したと指摘している。

私は、世界が連携して経済政策を打てたことがきわめて重要だと思う。保護貿易を自制し暴動などの混乱を起すことなく一致して経済政策を打ったからこそ大恐慌の淵で踏みとどまれた。それを可能にしたのは、上記のニューズウィーク記事の「世界が平和で社会が安定し一体化が進んでいた」から耐性があった、という指摘は妥当のように感じる。

これが、今のところの私の評価だが、今後の進展が必ずしも万全で透明というわけではない。今後データに基づく様々な分析や評価が出て来るものと期待する。日本では依然重箱の隅をつつき悲観的な見方を紹介する傾向が強いが、それで大局を見失わないようにバランスを取って欲しいものである。結局それは国民全体のセンチメント形成に大きく影響するのではないだろうか。

9.11が起こった時、最近引退した米国3大ネットワークの著名なキャスターが、こんなことでアメリカがダメになってたまるか(言葉は私の記憶で正確でない)、と思いながら報じたというのを聞いて感じ入ったことがある。昨年初め深刻な時期に米国を訪れた人が楽観的なのに驚いたと何度も聞いた。こんなことで大恐慌になってたまるかという精神があったのかもしれない。■

コメント
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