異例の全面対決
小沢民主党幹事長の政治資金規正法違反で強制捜査され元秘書3人が逮捕されたた。新聞テレビは昨日からこのニュースで持ちきりだった。小沢氏が検察と断固戦う決意表明したのは当然だと思うが、それから先が意外な展開で驚いた。
鳩山首相が小沢氏を支持し幹事長続投を容認し、「戦ってくれ」とまで言ったと報じられている。これを見て主要メディアは「小沢氏と検察の対立」から、「政権と検察の対立」に変化した。更にその後の党大会で小沢支持が確認され、「与党と政権対検察の全面対立」という異例な事態になったと、若干驚きのニュアンスを込めて報じている。
その意味で報道は小沢氏の反発ではなく鳩山首相の判断に対する驚きだと感じる。私は数日前に投稿した記事「プランB」で、最悪ケースでも党を守るプランBが必要だと書いた。少なくとも表面上はそのようなプランは仮にあったとしても吹っ飛んでしまったと感じる(水面下ではまだあるかもしれない)。
振り返るとかつてはこのような捜査が入る事件があった時、当人は党に迷惑をかけないという理由で離党して無所属になり、その上で検察と徹底抗戦するという姿勢をとった。今回何故民主党は小沢氏と一蓮托生になったのか。何故、鳩山氏を諌める発言がないのだろうか。
党を守る気概はどこに
私は鳩山氏だけでなく多くの民主党議員が党を愛し守る気持ちが余りないように感じる。言い換えれば民主党精神とか党是とかいうより、目先の権力(現在は小沢氏を核とした)の維持の方が重要と考えている。
それは、新党結成から数年しか経っていないし、半数は昨年の総選挙で初当選した新人だから無理もないのかもしれない。元々寄せ集めの政党であり、政策もさることながら、当選の可能性のある政党から出馬した新人議員がかなりいるのは周知のことである。
しかし、報道によれば政府と司法の対立は先進国ではありえない、政治的に未熟な新興国で見られる現象だという。確かに海外の政治スキャンダルが政府対検察の闘いと報じられるのは、近くの国では韓国とかフィリピンであった記憶がある。
自民党の歴史はよく認識されているが、もう一つ長い歴史を持つ日本共産党の志位委員長が、民主党が小沢氏と一丸になって検察と対抗することの愚かしさを指摘した。イデオロギーや政策の違いはともかく、私もその通りだと考える。
分かり易く言えば、民主党は国民の財産である。国民が選んだ民主党を粗末にするな、あえて言えば小沢・鳩山両氏の党の私物化を許すなということだ。小沢氏が徹底抗戦するのは当然だし、やればいい。だが、既に傷ついた民主党にこれ以上のダメージを与えるリスクを冒すなといいたい。
民主党が政権の座にある今、それは即ち、国家をリスクに晒すことになる。それは総選挙で国民が示した民意ではない。今、民主党に求められているのは、党を挙げて最大限の力を結集して先ず「党への信頼」を守る真摯な取り組みである、それが民意に応えることになる。■