内閣不支持率が支持を上回る
就任から低下し続けている鳩山内閣の支持率が急落した。先週の産経新聞に引き続き今週末にTBS系の実施した世論調査で、支持と不支持が逆転したと報じられた。深刻なのは、鳩山首相の優柔不断で予算作成と外交・安全保障が迷走し内閣支持率を下げたのと同時進行で、小沢幹事長の政治資金事件の扱いで民主党の支持率までがじりじりと下がり始めたことである。
党が国民の信頼を失うと変革を求めた政権交代の土台が揺らぐ大事になる。民主党は首相や幹事長を守るプランAだけでなく、最悪事態に備えて党を守る「プランB」を作れと投稿した。一旦権力の座に着けば、党派やイデオロギーに関らず権力の座にしがみつき、全体を危うくしがちなのは人の常であるからと。どうも事態はそのように進み始め、党の信頼が揺らぎ始めたと感じる。
与党支持率低下は深刻
私はプランBを発動すべき「Xデー」がそれ程遠くなく現実味を帯びてきたと感じる、民主党に正気が残っていたらの話だが。沖縄の名護市長選で生じた状況は元々鳩山首相が自らまいたものだが、これまでの経過から予測するに残念ながら彼には取り纏める能力は備わっていない。
政権交代を振り返って考えると、年金や雇用問題等の報道からポピュリズムの空気が全国に蔓延する中で、自民党政権の下で続いた経済停滞、公共事業を媒介した政官の権益政治を打破して欲しいという国民の声に応えて民主党政権が生まれた。安定した政権運営のためには参院選での勝利は必須であり、この時点での党の支持率低下は深刻である。
Xデー?
一旦政権に就くと政権交代を後押しした民意と微妙にズレが生じ始めた。これは、衆院勢力が2/3だった安倍首相がKYなどと揶揄されたように珍しくはない。だが、民意を取り違えたらどこかで振り返って修復作業をしないと政権が持たないことも極めて明らかだ。
それは、徐々にやるのではなく、「君子豹変す」的スピードで一気にやらなければならない、しかも豹変するに足る十分なエネルギーが残っている間にやらないと、麻生政権が自民党を大敗させたと同じ轍を踏む恐れがあるように私は感じる。
オバマとは全然違う
支持率が50%を切りポピュリズム的妥協に追い込まれ、金融規制というカードを切ったオバマ大統領と、鳩山政権とを比較する論調がある。実際は逆である。依然として医療改革が難航し、バーナンキFRB議長の再任が危ぶまれているのは、実際のところ議会のポピュリズムに直面している為である。
テロとの闘いでは見通し不透明、雇用回復の兆しが見えない中で国民皆保険に対する中流階級の反発、など問題は山積みだ。だが、大局を誤っていない。オバマ大統領下で金融不安が改善、倒産の危機にあったGMとクライスラーが救済され、世界は大恐慌の淵から生還した。一方、日本の民主党は舵(或いは船長)が壊れたのか漂流し始めた。
オバマ大統領はポピュリストではなく極めて現実的な政治家で、不人気な政策でも決めなければならない時は先送りせず現実的にやったと思う。民主党は損得勘定をしっかりして、今からでもダメージミニマムにする現実的な決断は何かしっかり検討して、手遅れにならぬようタイミングを見計らって断行すべきだ。このままでは支持率はまだまだ低下し、夏までに取り戻せなくなるだろう。■