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無策のオバマ勝つ

2013-10-17 23:41:05 | 国際・政治

今朝(米国時間16日)に米議会上下院は債務上限引上げ暫定案と政府機関閉鎖解除の法案を可決したとニュース速報が入った。その後オバマ大統領は法案に署名し、世界を揺るがした米国債務不履行が少なくとも来年2月まで回避されることになった。

アラブの春から続いている中東の混迷、最近ではシリア攻撃、APEC不参加などオバマ大統領は前面に出て事態を収める姿勢を見せてない。内政面では与野党の激しい対立で、債務上限引上げや予算成立難航で政府機関が閉鎖される事態になっても口先介入するだけだった。

何故オバマは何もしないのか。識者の中には「決められない米国政治」と揶揄し、評論家の田原氏は「米国は、いったいどうなっているのだろう。オバマ大統領の影響力は、国内はもちろんのこと、国際的にも希薄になっているように思われる。」(BPnet10/11)とオバマの無策振りを訝っている。多分、多くの人は同じように考えていると思う。

だが、私はオバマの作戦は明確だったと思う。オバマは全て世論に従った、或いは自分で誘導した世論に従ったと思う。その証拠はこれら一連の政治の迷走の結果、オバマの支持率は微減したが40%台を保った一方、共和党は支持率20%台にべた下がりした。迷走の原因となった共和党右派の茶会(ティーパーティ)は否定しているが、彼らは手痛い敗北を喫したと私は思う。

内政面では政府機関閉鎖の責任を、妥協しない茶会を説得できない共和党幹部という印象を作り出すことに成功した。Pew research Centerの調査によれば茶会の支持率が大きく低下(favorable:29%、Unfavorable:49%)したと報じられた。

外交面ではロシアにリーダーシップを取られたが、結果としてシリア攻撃しなかったのは戦争に飽き飽きした国民の意思に応えるものだった。APECに出席せず中国の存在感が増したのは米国の影響力低下と指摘されているが、これもまた支持率には響いてないようだ。

オバマのやり方は、問題を微妙な状態において政敵(共和党右派)に踊らせて観客に是非を判断させ、オバマ自身は舞台の脇で観客の判断を眺めておもむろに出て行く、「無策の策」をとったと私は思う。彼の作戦は成功したかもしれない。結果として無策のオバマは内政で勝ち、外交で傷ついた。トータルでどうだったか分からないが。

オバマは国内の支持を失わなかったが、一方で多くの専門家は今回の迷走が米国及び大統領の威信を大きく傷つけたと総括している。WSJ(10/16)は観測筋の見解として、ワシントンでの財政面での機能不全によって米国の権威はひどく傷つき、海外で物事を成し遂げるその能力は限定的なものになったと報じている。そうかもしれないが米国の代わりはないと私は思う。■

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