かぶれの世界(新)

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私が愛し損ねた人(1)

2024-01-19 17:40:02 | 日記・エッセイ・コラム
「私が愛した人」は小説などで耳にするいささか安っぽい言葉だが、私の経験では「愛し損ねた人」は何人かいる。先日家族から喜寿のお祝いをして貰ったばかりだが、家内から最初喜寿のお祝いをしてくれると聞いた時私は「残り少ない人生」という言葉が頭をよぎった。

ならば、私が一瞬心でも揺さぶられた女性の話も誰にも言わずに死にたくない、相手が外人なら迷惑をかけることも無いと思い記録を残すことにしたた。40過ぎて海外向け製品の責任者になった時、新製品のデザインを海外某社と担当技術参加しサンフランシスコで打合せ合宿をした。

その時通訳を兼ねて若いイタリア系米国人女性が参加した。当時彼女は京都に住み専門的な知識を生かして通訳をやり、何度か会ったことがあった。私は電気部品からデザインまでカバーする責任者になったが、電子回路以外は素人で簡単に言うと意思決定のハンコを押す仕事だった。問題が起らない限りは気楽な仕事で、思いつき放題無責任な発言をしたまに笑わせた。

某社社長が開発した競合他社の製品デザインを参考に紹介し意見を聞かれた時、私は思いつくままにホルスタインのおっぱいみたいだと答えた。彼は怒って私めがけてチョークを投げつけた。彼は笑いながら投げ、私も笑いながらチョークを避けた。決して雰囲気は悪くならなかったと思う。

合宿が終わりに近づいたある日屋上で記念の撮影会をやった時、彼女が私と一緒の写真を望み二人が並ぶと彼女は頭一つ背が高かった。彼女が私の背に手を回した、私も彼女の背に手をまわした。彼女の背中が凄く柔らかく、指が背中に一瞬減り込んだように感じ驚いた。

最終日に合宿参加者全員がサンフランシスコの港から船で対岸のサウサリートに向かい食事会を行った。港に向かう坂道で突然某社社長が子供が何人いるか聞かれた。私は自然に3人だと答えると、実は彼女が私が好きで結婚しているのか確かめてくれと頼まれ聞いたのだと彼は言った。

彼女は魅力的だったが私は結婚してたし突然だったので、無反応で通した。帰国後もずっと仕事以外の会話を交わすことはなかった。カードをくれたが反応しなかった。だが、最初から彼女が好意を持っていたと知っていたら、女好きの私は間違いを犯したかも知れないと思う。

数年後に米国支社に赴任した時、合宿に参加したスタッフが事務所に立ち寄り、彼女が結婚しオーシャンビーチの豪邸に住んでいると教えてくれた。それを聞いて私は安心した。間違っても私には絶対できないことだと。■

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