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常国会が始まった昨日の主要新聞5紙、朝日・読売・日経・産経・毎日の社説を読み比べてみた。というのは、テレビで報じられた野党、特に自民党の動きが気になったからだ。テレビに登場する谷垣総裁や議員の発言が、予算や国の将来を決める重要政策をまともに審議する意欲のない対決姿勢であり、私から見ると無批判に流れていたからだ。
我国では依然としてテレビ報道の世論を形成する力が最も強い。だからこそ新聞はもっとしっかり筋を通して国を誤まらせない報道をして欲しいと思いながら、ネットで各社の社説を読んだ。産経を除き濃淡の差はあっても各紙とも自民党に対案を示して建設的な政策論議すべきで、政策論議より早期解散を目指す動きに自制を求めていた。特に第一野党として自民党の責任は重いと。
異色だったのは産経で、領土問題を重要運動方針とした自民党大会を高く評価する社説だった。領土問題は重要だが、通常国会が始まったこの時期にわざわざ社説で主張するテーマとしては酷くピントがボケているように感じた。普段から独自の立場で正論を吐く産経だが、一体どうしたのだろうという印象を受けた。確かに独自路線には違いないが。
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要新聞各紙が真摯な国会審議を求め、野党も重い責任を共有するという主張は心強く感じた。ところが、今朝の朝日・日経の紙面を広げると、社説より広い紙面に大きな活字で報じた記事は目立った。政策よりも与党内外の政局がらみの永田町の動向を伝えるものだった。社説では見識を示し、一方で読者のレベルに合わせてバランスを取ったのだろうか。
現在の野党の力の源泉は参院の多数を握っていることだ。だが、1票の格差が5倍以上にある参院は違憲状態にあることは判例を待つまでも無い。違憲状態にある議会の決定で大臣を罷免し、国会審議を麻痺させるのを許してはいけないと私は考える。
だが、それを伝えるメディア、特に政治家に張り付いて記事を書くいわゆる番記者が、数を頼りに政局を左右する姿を無批判に伝えているように感じ、政治のあるべき姿を歪め感心できない。人間だから感情があってしかるべきだが、それが政策を決定付けてしまうようでは自らを貶めることになる。何時までたっても進歩が無い。
一方テレビニュース(バラエティ)番組では、昨日はエリカ様の騒動と政治評論家先生達の政局解説が二大メインテーマ、今日は英語教師殺人犯の逃亡記の紹介がメインだった。テレビに見識を求めるのは無理だとしても、チョット情けない。小泉政権のあと、改革を口実にしたポピュリズムが蔓延って政治の劣化が進み、真摯な論議が影を潜めた。救いは、政治家に近い評論家先生たちより畑違いの知識人が数は少ないが今回もまともな発言をしていることだ。
果たして民意は誰の声を聞くだろうか。「大胆占い」で予測したように私は期待してない。しかし、今回社説が一致して野党の責任を指摘した。又、政策に関係無い理由で国会審議を拒否する姿勢が、国民の支持を失うと恐れる「正気」が自民党の一部に残っているようだ。彼らの心の中の声に私の微かな期待がある。■
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