3日に実施された米国大統領選はマスコミの当確は出たものの、いまだに次期大統領が正式に決まらない事態になっている。その間に、世論調査とそれに基づく予測が大きく外れた原因の分析、トランプ大統領より共和党議員の方が得票数が多い、民主党内左派と中道の対立、など私には想定外の展開が続く。
米国大統領選は簡単には説明できない複雑な状況にある。日本人専門家の色々な解説を聞き、米主要メディアの多様な視点からの評価、方向性がなく混乱が続いていると感じる。従来なら終わった勝負なのにトランプ氏のあり得ない法廷闘争というか、言いがかりで選挙結果が確定せず困惑している。
トランプ氏は常識では通用しないロジックで米国を混乱させている。だが米国の制度ではこの非常識な言いがかりでも止めさせられないようだ。トランプ氏は決して裏で妨害しているわけではない。従来はマスコミの当確報道で自主的に負けましたと言って選挙結果が決まっていたのを悪用しているように見える。
トランプ陣営の一部はこのトランプ流戦法を止めさせようとしているが、一方で7100万人の国民が支持したのは驚きだ。7100万人という数字は凄い威力を持っている。この数字を前にして殆どの共和党議員は2年後の中間選挙を狙いトランプ氏のやり方に黙って見逃している。共和党はトランプ党に変質したと言われている。つまり、恐ろしいことに一連の混乱は国民の半分の支持によって実行されている。
方や勝利したバイデン候補は史上最多の7500万票を得た。前回も民主党はヒラリー候補で絶対多数の得票を得て選挙に敗れた。落ち着いたところでこの米国独特の選挙制度を見直す時期に来たと思う。米国の歴史的な制度を簡単に変えられないが、選挙の後でこんなに無駄なエネルギーを使うなんて馬鹿々々しい。
今回の「国民の変質」をファイナンシャルタイムズ(FT)コラムニストのラナ・フォルーハーは記事「米に巣くう社会階層の溝」(日本経済新聞11/20)で的確に指摘している。私は以前「南北戦争」と揶揄したが、彼女は人種や階層ではなく、両海岸か中西部かでもなく、「経済発展地域かどうかが鍵」と下記のように指摘している。
雇用増の2/3を生み出した25の都市(スーパースター・シティ)に冨や人材が集中しバイデンを支持した。一方、農村地帯を含め低成長した地域に7700万人が暮らし雇用は横ばいか減少基調にある。この取り残された人々は怒りデマゴーグに煽られた。州ではなくこの地域でトランプ氏は票を増やして勝った。
この分析が今回の米国大統領選結果を正しく説明していると思う。残念ながら米国建国の理念である自由と民主主義でも平等(反人種差別)の戦いでもなかった。自由と民主主義を求めて世界各国の強権国から移民してきた人達も、一旦米国市民になり生活するようになるとトランプ支持者になる現実が待っていた。
それでもトータルではバイデン元副大統領が過去最高の票数を得た。トランプ氏の悪あがきがあっても最後に米国大統領になるのはバイデン氏だろう。米国の強い復元力の歴史は、今回も繰り返されると予測する。ラナ氏はバイデン氏にとって大事なのは「何が正しいかより、何が賢明か」だと指摘したのは正しい。■
米国大統領選は簡単には説明できない複雑な状況にある。日本人専門家の色々な解説を聞き、米主要メディアの多様な視点からの評価、方向性がなく混乱が続いていると感じる。従来なら終わった勝負なのにトランプ氏のあり得ない法廷闘争というか、言いがかりで選挙結果が確定せず困惑している。
トランプ氏は常識では通用しないロジックで米国を混乱させている。だが米国の制度ではこの非常識な言いがかりでも止めさせられないようだ。トランプ氏は決して裏で妨害しているわけではない。従来はマスコミの当確報道で自主的に負けましたと言って選挙結果が決まっていたのを悪用しているように見える。
トランプ陣営の一部はこのトランプ流戦法を止めさせようとしているが、一方で7100万人の国民が支持したのは驚きだ。7100万人という数字は凄い威力を持っている。この数字を前にして殆どの共和党議員は2年後の中間選挙を狙いトランプ氏のやり方に黙って見逃している。共和党はトランプ党に変質したと言われている。つまり、恐ろしいことに一連の混乱は国民の半分の支持によって実行されている。
方や勝利したバイデン候補は史上最多の7500万票を得た。前回も民主党はヒラリー候補で絶対多数の得票を得て選挙に敗れた。落ち着いたところでこの米国独特の選挙制度を見直す時期に来たと思う。米国の歴史的な制度を簡単に変えられないが、選挙の後でこんなに無駄なエネルギーを使うなんて馬鹿々々しい。
今回の「国民の変質」をファイナンシャルタイムズ(FT)コラムニストのラナ・フォルーハーは記事「米に巣くう社会階層の溝」(日本経済新聞11/20)で的確に指摘している。私は以前「南北戦争」と揶揄したが、彼女は人種や階層ではなく、両海岸か中西部かでもなく、「経済発展地域かどうかが鍵」と下記のように指摘している。
雇用増の2/3を生み出した25の都市(スーパースター・シティ)に冨や人材が集中しバイデンを支持した。一方、農村地帯を含め低成長した地域に7700万人が暮らし雇用は横ばいか減少基調にある。この取り残された人々は怒りデマゴーグに煽られた。州ではなくこの地域でトランプ氏は票を増やして勝った。
この分析が今回の米国大統領選結果を正しく説明していると思う。残念ながら米国建国の理念である自由と民主主義でも平等(反人種差別)の戦いでもなかった。自由と民主主義を求めて世界各国の強権国から移民してきた人達も、一旦米国市民になり生活するようになるとトランプ支持者になる現実が待っていた。
それでもトータルではバイデン元副大統領が過去最高の票数を得た。トランプ氏の悪あがきがあっても最後に米国大統領になるのはバイデン氏だろう。米国の強い復元力の歴史は、今回も繰り返されると予測する。ラナ氏はバイデン氏にとって大事なのは「何が正しいかより、何が賢明か」だと指摘したのは正しい。■
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