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民意におもねて最悪のしっぺ返し

2022-10-23 20:30:07 | 国際・政治
トラス首相は英国史上最短の44日で退陣と連日報じられている。彼女は支持率が20%を切っても退陣の話が出なかった。最初から彼女は国民の支持を受けてない世論調査なんぞ気にしてなかった。日本マスコミなら国民の低い支持率を前提に政策に拘わらず首相を厳しく非難したろう。

だが、英国では大規模減税の財源がなく国債が暴落した途端にトラス首相は不名誉な退陣に追い込まれた。日本経済新聞によると国債市場が財政悪化を見越して警告を発したので彼女は退陣表明に追い込まれた。民意は気にしなかったが、市場の意向には逆らえなかったという訳だ。

この日本経済新聞の記事の狙いは1ドル150円という32年ぶりの円安が日本政府に対する警告或いは懸念にある。物価上昇と言っても英国等は10%、日本は3%と比較にならない。対策としての減税政策の意味合いは大きく異なり、英国と日本を一緒くたに議論するのは無理がある。

特に一般視聴者向けのテレビ等ニュース報道は同じ土俵で議論すべきでない議論を「もしかしたら、かも知れない」の前置きで一緒くたにして議論する。或いは極端な例を取り上げ全体を論じる。それを見た視聴者の意見を一般人の意見として流して世論を誘導するきらいがある。

今迄も何度か指摘したが必ずしも日本だけに限らない。国によって事情は異なるが英国に限らずトランプ現象が広がる米国、極右政党のメローニ党首が首相になったイタリアなど欧米先進国に広がる。別に目新しいことではない、ポピュリズムが政治を支配したのは戦前の日独伊もそうだった、そして当時もマスコミが極右政権誕生を後押しした。

私はこのような「劣後する民意」を生み出す仕組みが最近強まる傾向にあると懸念する。それだけ国民の不安が広がっている。ロシアのウクライナ侵攻と物価高騰などで国民が不安に追い込まれると、民意は不安定になり劣後する傾向がある。昔から民意とはそういうものだと私は考える。

理想的にはそんな時に国民の正気を保つのが政治の発信力とマスコミだと思う。私は理解してないが現在ならSNSかも知れない。トラス首相退陣は「劣後した民意におもねると最悪のしっぺ返しを食らうぞ」という教訓だと思う。今回は民意は間違え市場が警告を発したと思う。

とすれば英国の仕組みはまだ機能していると考えることが出来ないだろうか。日本はどうだろうかと聞く前に、我が国特有のリスクを恐れる「問題先送り病」のほうが根深いかも知れない。コロナ、ウクライナ、円安と続いた試練の道を間違えない日本になると期待したい。■

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