かぶれの世界(新)

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報じられないニュース2010

2010-01-20 18:46:59 | 社会・経済

昨年からずっと気になっていたことがある。

それは米国の目玉景気刺激策でC4C(Cash for Clunkers)といって、中古車を廃車して低燃費の新車に買換えると補助金が出る制度で、米国自動車市場の景気刺激策として大変成功したのだが、トヨタやホンダ等の日本車が韓国車に並んでその売れ行きランキングの上位を占めた。

一方、日本でもエコカー減税といわれる同様のプログラムが実施され、これまた沈滞していた日本自動車市場を活性化した。だが報道によれば、その恩恵を受けたのはトヨタやホンダの車であり、米国車は1車種も無かった。実際、アメ車は対象にもなっていないらしい。

私が心配したのは、両国とも未曾有の経済危機の中で国民の税金を使ったプログラムなのに、米国で最も恩恵を受けたのが日本メーカー、一方米国車は日本市場で締め出されているというのでは、米国民感情が悪化し議会が動き始めることだ。実際、中西部の議員は既に声を上げていた。

昨日新聞のベタ記事で動きあったのを知った。詳細を知りたくネットで調べると、CNNの関連記事を見つけた。米国政府からの指摘を受け、日本政府が米国車にエコカーを認定し販売の機会を与えると回答し、米国政府はその決定を歓迎すると同時に今後具体的にどのように実施されるか詳細を監視していくと報じていた。

日本のメディアはこんな不公平な実態をキチンと報じなければいけないし、国民はよく認識しておく必要があると私は思う。日本の自動車メーカーは米国の税金を使ったC4C制度で経営を改善、お陰で広範な周辺産業を含めて雇用にも大きく貢献した。一方で米国車は日本で実質売らせてない。

もちろん、日本車は米国工場で現地生産したものが多いし、アメ車の燃費効率はそれ程良くない。それでも、これは不公平だと私は思う。だが、経済学者もエコノミストも心配するのは巨額の景気刺激策で米国が財政悪化する恐れの指摘ばかり。何かおかしいとは思わないのだろうか。

基地問題など不都合が起これば大騒ぎをする一方で、不公平な結果になっても日本車が売れればいいと無視してまともな報道をしない。まるで日本は米国の被害者みたいな報道ばかりしている。相手は米国に限らない。いつか「勘違いした民意」の支持を受けた「勘違いした政治家」が国を誤らせることにならないか気になる。■

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書評 1Q84

2010-01-19 13:37:31 | 本と雑誌

先週初めに風邪を引き、寒波で昼間も気温が上がらないものだから、用心してずっと家にいた。熱は無いのだが鼻水が出て喉が痛く、何をやるにも集中できなかった。気分転換にと、昨夏末の息子の誕生祝に買った村上春樹の「1Q84」を読んだ。家族の間で読み回して棚に収まっていたものだ。集中して一字一句見逃さないという姿勢で読む本ではないと気楽に読み始めた。

そこで私が文芸作品を論評するのは全くの畑違いだが、近年まれに見るベストセラーに敬意を表して、文学オンチの私も今頃になり周回遅れの筋違い読後感を一言。

私は自称「乱読者」とはいえ主に政治経済とか実用書とかしか読まない功利主義者で、分り易い文章だが饒舌な村上春樹ワールドに馴染めなかった。最初は50ページ、次の日は70ページ、翌日は100ページといったペースで読み進み、4日目でBook1を読み終わった。その後はやっと村上ワールドの住人になったのか、1日置いて5日目にBook2を一気に読んだ。

蛇足だが、私が違うジャンルの本を読む時、著者がよく使う語彙や独特の言い回しに慣れて、著者の世界に入り込むまで数日かかることが良くある。かつて得意ではない原書(英語の)を読む時は、最初数ページしか理解し進めないがそこで諦めないで、徐々に著者の良く使う単語や言回しに慣れ興味が湧いて速度を上げ読み、何とか1冊読み終えた。184も私にはその種の本だった。

読み進むうちに既視感のようなものが湧き出てくるのが分かった。大雑把に言えばそれは1Q84が文字通りその時代を反映し、漫画チックに表現されているからだろう。

読み始めてすぐに感じたのは、例えば手塚治虫の長編漫画を読んでいるような気分だ。分り易い文体の底流に著者の深い文明批評があるといわれているが、私にはその何かが読み取れなかった。暴言といわれるかもしれないが、手塚漫画のストーリの方がより哲学的と感じた部分があると思えた。私はその程度の読者なのかも知れないが、とにかくそれが素直な印象だ。

既視感のもう一つは、どこかで読んだ気がするのだが、物語の設定がオーム真理教の事件と重なる部分があるように私も思う。少なくとも一定年齢以上の日本の読者は、頭の片隅に事件の記憶が具体的に残っている。読み進むに連れ一旦現実に起こった記憶を取り戻し、本に書かれた以上の情報とか先入観をもって読み進めるはずだ。その効果は意図されたもののように感じる。

そこから著者がリトルピープルという不思議な存在を生み出して春樹ワールドを展開する。多分リトルピープルが何かを象徴し、この小説のメインテーマになるはずなのだが私には今はまだ分からない。それが分からなければ片手落ちの論評になると懸念しながら、今私は書いている。

もう一つ付け加えると、村上春樹の作品の特徴は、読者が登場人物と重ね合わせて考え読み進むということだろう(これもどこかで聞いたことがある)。私も読みながら、時々主人公と重ね合わせている自分に気がついた。それも主人公だけでなく、時には彼の父親とか別の登場人物にもなった。その身近感は何から来るのか定かではない。

ともあれ、1Q84は出版不況といわれる中かつてないダントツのベストセラーになったという。事前情報を流さず世間の興味を高め一種の飢餓感を作り出し、満を持して一気に全国の書店に並べるマーケティング手法が、ビジネスとして成功した一因という報道を見たことがある。作品の評価に関係はないのだが、その筋立てがマーケティング手法にぴったり嵌っていると下司の勘ぐりをした。

というのは、上下巻合わせて約1000ページの長編だがBook2でも物語は完結せず、いかにも次を期待させる終わり方だった。多分Book3もベストセラーになるのは間違いない。マーケティング手法としてはうまく働くだろう。最後に、昔読んだ長編漫画も続きが待ちきれなかった記憶が甦ってきた。■

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プランB(続)

2010-01-17 12:12:03 | 国際・政治

異例の全面対決

小沢民主党幹事長の政治資金規正法違反で強制捜査され元秘書3人が逮捕されたた。新聞テレビは昨日からこのニュースで持ちきりだった。小沢氏が検察と断固戦う決意表明したのは当然だと思うが、それから先が意外な展開で驚いた。

鳩山首相が小沢氏を支持し幹事長続投を容認し、「戦ってくれ」とまで言ったと報じられている。これを見て主要メディアは「小沢氏と検察の対立」から、「政権と検察の対立」に変化した。更にその後の党大会で小沢支持が確認され、「与党と政権対検察の全面対立」という異例な事態になったと、若干驚きのニュアンスを込めて報じている。

その意味で報道は小沢氏の反発ではなく鳩山首相の判断に対する驚きだと感じる。私は数日前に投稿した記事「プランB」で、最悪ケースでも党を守るプランBが必要だと書いた。少なくとも表面上はそのようなプランは仮にあったとしても吹っ飛んでしまったと感じる(水面下ではまだあるかもしれない)。 

振り返るとかつてはこのような捜査が入る事件があった時、当人は党に迷惑をかけないという理由で離党して無所属になり、その上で検察と徹底抗戦するという姿勢をとった。今回何故民主党は小沢氏と一蓮托生になったのか。何故、鳩山氏を諌める発言がないのだろうか。

党を守る気概はどこに

私は鳩山氏だけでなく多くの民主党議員が党を愛し守る気持ちが余りないように感じる。言い換えれば民主党精神とか党是とかいうより、目先の権力(現在は小沢氏を核とした)の維持の方が重要と考えている。

それは、新党結成から数年しか経っていないし、半数は昨年の総選挙で初当選した新人だから無理もないのかもしれない。元々寄せ集めの政党であり、政策もさることながら、当選の可能性のある政党から出馬した新人議員がかなりいるのは周知のことである。

しかし、報道によれば政府と司法の対立は先進国ではありえない、政治的に未熟な新興国で見られる現象だという。確かに海外の政治スキャンダルが政府対検察の闘いと報じられるのは、近くの国では韓国とかフィリピンであった記憶がある。

自民党の歴史はよく認識されているが、もう一つ長い歴史を持つ日本共産党の志位委員長が、民主党が小沢氏と一丸になって検察と対抗することの愚かしさを指摘した。イデオロギーや政策の違いはともかく、私もその通りだと考える。

分かり易く言えば、民主党は国民の財産である。国民が選んだ民主党を粗末にするな、あえて言えば小沢・鳩山両氏の党の私物化を許すなということだ。小沢氏が徹底抗戦するのは当然だし、やればいい。だが、既に傷ついた民主党にこれ以上のダメージを与えるリスクを冒すなといいたい。

民主党が政権の座にある今、それは即ち、国家をリスクに晒すことになる。それは総選挙で国民が示した民意ではない。今、民主党に求められているのは、党を挙げて最大限の力を結集して先ず「党への信頼」を守る真摯な取り組みである、それが民意に応えることになる。■

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独裁政権vsネット巨人

2010-01-14 22:23:28 | 国際・政治

小沢幹事長の政治資金問題やハイチの大地震とかビッグニュースが報じられる中、どういう決着になるか注目している争いがある。それは、中国政府と「グーグル」の闘いだ。

12日グーグルが中国政府は検閲を止めなければ中国から撤退すると明らかにした。発端は中国内の人権活動家のメールを覗き見しようとして組織的なハッキングがあり、堪忍袋の緒が切れたらしい。Gメールの秘匿性が失われることはグーグルの存在理由を問うもので後には引けないとの判断であろう。

こういう時一体何が起こっているのか、グーグルの駆け引きは中国にとってどういう意味があるのか理解しようとしても、日本のメディアは中々要領を得ない。米国のメディアの記事によれば、グーグルが中国で既に重要な役割を果たしているようだ。

COP15の対応や資源獲得のため人権侵害などに目を瞑る中国の身勝手さは目に余るものがある。しかし、急速な経済成長で存在感を高めた中国に対して刺激しないよう、世界各国は極めて抑制的な物言いをしてきた。

日本のメディアはかつて程ではないが、人権問題などの報道にいまだに遠慮が見られる。民主党議員が小沢批判を封印するが如き臆病さよりは論外だが、遠慮するだけでも信頼を傷つける。そういう中で、グーグルが信頼を守る為に世界最大の市場でのビジネスの可能性を捨て、中国の検閲を批判したのだからその成り行きは注目せざるを得ない。

世界最大の共産党独裁政権vsネット巨人の戦いというと大袈裟だが、今迄のように中国政府の一方的な決定で交渉の余地無しいうものでもないらしい。Wポスト紙の記事によれば中国政府にもジレンマがあるという。ビジネス分野だけでなくITが日常生活に浸透し、グーグルを当たり前に使っている人達が増え政府決定に対し思いの外反発が強いらしい。

といえば尤もらしいが、中国共産党の最優先事項は政権の維持であり、ビジネス的な損得計算で決着しない可能性が高く、共産党は妥協しないだろうと私は予測する。いずれにしても今回どのように決着するかは、中国のネット社会の影響力を推し量る良い目安となると注目している。■

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プランB

2010-01-13 20:02:06 | 国際・政治

小沢民主党幹事長の個人事務所や政治資金を管理する団体「陸山会」、ゼネコン「鹿島建設」の家宅捜索が始まったというニュースを横目で見ながらこの記事を書いている。陸山会が購入した土地の資金4億円の出所を突き止めるのが目的のようだ。

国民に期待された政権交代で、経験不足から右往左往しながらも何とか進めようとしている政治改革が頓挫するかもしれない。足元では世界同時不況からようやく抜け出そうとし、来年度予算を審議直前の極めて重要な時期に、こんなことで政治が混乱している暇は無いはずだ。

日本経済が縮小し雇用が回復せず、限られた財源を使って誤った政策を打つ余裕の全くない最悪のタイミングで起こった。何で今か、日本はついてない。

現実問題として、鳩山首相の政治資金問題と合わせ次の国会で厳しく追及され、混乱で審議が止まるのが最悪の事態だ。最悪ケースは両者とも一旦権力の座に着いてしまうと、その座にしがみつくことが最大の目的になり支持率が低下、外交の停滞や経済政策への悪影響が出ることだ。

かねてから小沢氏の権力志向を好意的に報道するメディアはなかった。これまで報じられてきた小沢的なる手法には私も危惧する。しかし、彼が強く主張する政策、特に政策決定プロセスは高く評価されて良いものが多々あると私は考える。何で今か、もう一度問うて見たい。

国民の大多数が期待して選んだ新政権のトップ2が、政治家として最も巨額の個人資産と政治資金を持っており、その扱いが極めて不透明だったのは偶然なのか、それともそれだけの資金が政権のトップにつくための必要条件だったのか、詳細は藪の中だ。選んだ側にも責任があるが。

何で今か、私は一部で指摘されるような検察の方針が恣意的で変ったとは思わない。これだけ巨額の不透明な資金が、国家の最高権力者だといって放置したのでは検察が信頼を失うという、という強い危機感と決意の程を感じる。議論がそっちに向うと三流国になりそうだ。

総選挙の時点に戻れば、民主党代表が小沢氏から鳩山氏に交代した時点で、高い支持を受けて政権交代を実現した。しかし、この問題を明確に決着しなかったことが今日の強制捜査につながった。このままで民主党の自浄能力が働かないと、派閥が機能した自民党より酷いかもしれない。

鳩山氏や小沢氏の信頼は相当に傷ついた。私は、民主党は最悪ケースでも党の信頼を失わないで、混乱を未然に防ぎ国を守る「プランB」を具体的に作っておくことを強く勧めたい。危機を乗り越えるしたたかな自浄能力を見せてこそ、政権交代を選んだ国民の期待に応えることだ。■

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