あのおじさん
「冬山の恐ろしさが初めてわかった」って泣いていた
だけど同じ事で 今度は死んだ
ぜんぜんわかってない
自分は違うって思うんだろう
「自分は大丈夫」 よく聞く言葉
「今まで飲酒運転で事故った事がない」
「スピード違反でつかまった事は無い」
だけど人間は死ぬまで生きているし
一度死んだら人生のリセットできない
事故る瞬間まで、事故ったことはない
それは誰も一緒
冬のスキー場は楽しい
だけど人の入らない裏側は、もう厳冬の冬山
学生時代、山岳部で3月の春山に行った
全斜面が雪の世界でアイゼン履いてジグザグ登った
リーダーが背中から滑落 50m程で停まった ラッキー
みんな疲れて「沢へ下ろう」って言ったが
リーダーは元の道まで登ると言って聞かなかった
それが正解 沢に下って遭難する率は高い
結局、山頂寸前で岩壁に阻まれて登頂断念
初歩的ミス 道を失った そして冬の早い闇
少し下った所に 雪の中にひょっこりと木が何本か生えた島のような台地があった
そこにテントを張って一晩寝たが
夜中に雪の崩れてくる「ゴー」という不気味な音
何回かあって その都度目が覚めた
雪山は「なめたらいかんぜよ!」