私に「調理を教えてほしい」と言う人の第一号は、私が23歳の時だった
勿論、本格的にやるのなら市内の料亭に弟子入りするのが一番だが
私の所に来るのは、時間が無い人ばかりで、ひどいのになると「一週間後に開店だが
刺し身が切れないので、切れるように教えて欲しい」なんて調子だ
料亭修業なら、刺し身担当になるには10年くらいはかかるというのに
1週間で・・・だ
ずぶの素人が1週間で綺麗な刺し身を切るなんて、ほぼ不可能だ
包丁研ぎと、洗い物を5日間やらせて、一番安いハマチの身おろしと刺し身を教えるが
身おろしが、そもそもうまくいかない、皮むきだってブツブツと途中で切れる
刺し身は上下、裏表の長さがまったく揃わない不等辺菱形になるし
結局、1ヶ月は、手伝いに行く羽目になる
料理を習いたいというのは、少しは長期的だ、今来ている「めんこい弟子」は
1ヶ月半
管理栄養士を目指す彼女に、午前は給食調理を、午後は家庭料理中心に教えている
なかなか熱心で、質問が次々と繰り出されてくる
厚焼き卵、山芋入り卵、半月卵、吹き寄せ卵などを教えたら、だし巻き卵を教えてください
ときた
卵の素からのマヨネーズ造り、小麦粉からのホワイトソース、グラタン造り
造ったマヨネーズを使って、ジャガイモサラダ、マカロニサラダ作り
素焼きなどを教えたが、家庭ではインスタント材料を使っているので結構、手作りには
驚いて興味を示している。
教えてはやらせているので、「家に帰ってから夕飯のおかず一品造ってみれば」
「やってみます」と元気が良い
レパートリーも少しずつ増えているようだし、野菜の切り方も様になってきた
若いだけに覚えも早い、なかなか教え甲斐があるし、逆に教えられることもある
忘れていた料理を調べ直したりと、私のレパートリーも増えてきた