10年近く前に「山姥研究」の地方での第一人者というおじいさんの講演をお聞きした
講談風でたいへん熱の入った講演、頭の中に映像が浮かんでくるほどだ
山姥(やまんば)の正体は白系ロシア人の女性(たち)だという
昔、蒙古の軍団が北にも攻め寄せてきた、アムール川流域の白系ロシア人は追い詰められ
海を渡って樺太に逃げたそうだ、それでも蒙古軍は追いかけてきた
絶体絶命の時、数百の白いオオカミの群れが突如現れて蒙古軍を襲って蹴散らした
そうして難を逃れた白系ロシア人の数十人が北海道に渡った
所々で一人二人とその地に定住して、減りながらも南下を続け、ついに青森に渡った
それから、東北、越後、信濃などの山中に住み着き結構その地の人々と交流していたらしい
それが、いつしか山姥の伝説として語られたのだという
当然、背が高く口は大きく、色は真っ白で髪は長い
それを思い出したとき、アイヌ民族が思い浮かんだ、イザベラバードの紀行ではアイヌ集落で過ごした
記事がある、その中でアイヌの風貌について、男は平均163~168センチくらいあり、体格は
非常にがっちりして毛深く、顔は、ほりが深く角張っていていかめしく、しかも美しい
どちらかと言えば欧州人に近い、とべた褒めである、更に歯並びがよく、真っ白な歯をもっている
鼻からあごには豊かな長いひげを蓄えて近寄りがたい威厳がある、それなのに笑うと何とも言えない
優しい表情になるのだ(要約)、女性は醜いがよく見ると口の周りなどに入れ墨をしているからで
あらためてみると、とても美しい女性ばかりである、背筋も伸び、胸は発達していて、姿がとても良いと
「醜い顔と姿の日本人」と比較して記している。
アイヌ民族は縄文時代の日本土着の旧人類で、大陸からやってきた弥生時代の新日本人に追われて
沖縄と東北、北海道に別れて逃げた民族という説もある。
だから沖縄の土着の人とアイヌ人には共通項がいくつかあるという、それは体型や顔つきだけでなく
入れ墨の風習、それぞれの山姥伝承にも共通点があるという。
実はアイヌ人の中で東北などの山中に住み着いた人が、山姥として語られたのでは無いかと思ったのだ
色が白い、背が高い、アジア人より欧州人に近いなど白系ロシア人に似た感じがしたからだ
ところが調べてみると、アイヌ人にも山姥伝説があるのだ、ということは彼らも山姥を恐れる人々だった
アイヌ民族は山姥のルーツではなかった。
結局、アイヌ民族の研究の一端を知ることだけが知識として残り、山姥伝説については進歩がなかった