おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
まずは、昨日(4月14日)のことでお知らせ2件です。
1.株式会社キノブックス 代表取締役の古川絵里子さんから『親と子のアドラー心理学』(キノブックス、1,300円+税)の重版連絡が入りました。
6刷、2,000部で、累計部数は1万4,500部となります。
2. 10:00以降、一般財団法人 労務行政研究所 の「jin-Jour」サイト でPoint of View第84回として私の「働く人に知ってほしい 職場で生かせるアドラー心理学」 がアップされました。
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さて、これからが本題。
「アドラー心理学の組織への適用:タテの関係 VS. ヨコの関係」シリーズの3回目。
今回は
1.権限法定説
2.権限受容説
3.権限職能説
のうちの3.権限職能説に入ります。
この理論は、アルフレッド・アドラー(1870~1937)とほぼ同時代を生きた政治哲学者、メアリー・パーカー・フォレット(1868~1933)が説いた職務中心の考え方で、職位による上・下の意識は排除されます。
まさにアドラー心理学の「ヨコの関係」です。
フォレットによれば、社長には社長固有の職務に関する権限があり、発送係には発送の職務に関する権限があります。
発送係には発送作業に関する限りは、社長にない権限を持っていて、彼らの間にあるのは、上下関係ではなく、職務の分担関係だとみなすのです。
フォレットは、次のような言葉を残しています。
『新 経営管理のプロセス』(車戸 實・酒井 甫の共著、八千代出版)から引用します。
「今日の最も基本的な企業概念、すなわち企業組織について我々の持っているすべての考えを支配しようとしている概念は、職能(function)の概念である。組織の成員は誰でも、1つの職能、あるいは1つの職能の一部分を担当遂行している。・・・(一部略)・・・組織の成員は、そのなすべき職能、すなわち彼のなすべき課業に伴う権限に比べて過不足のないちょうどそれと等量の権限を持つべきであると私は思う」
フォレットは、権限の委譲という考え方を放棄します。
代わりに、権限は上位者から委譲されるのではなく、組織の計画に従って考えられる、としたのです。
ところで、フォレットのこの理論は、アドラーの活躍した時代と同じく1920年代から1933年までに書かれたものです。
アルフレッド・アドラーはしばしば「早すぎた予言者」と言われますが、メアリー・パーカー・フォレットもまた「マネジメントの予言者」として時代を先取りしていたことが 2008.4.2 の DIAMOND online で紹介されています。
◆私は今日、これから大阪に出張し45人を対象に2日間 アドラー心理学ベーシック・コース の3日目、4日目を担当してきます。
<お目休めコーナー>4月の花(15)
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