おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
カミさんに強く影響を受け、白石一文の小説『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上・下』(講談社文庫、各600円+税、第22回山本周五郎賞受賞作)を読んでいました。
私の前に読んでいたカミさん同様、私も途中でやめられなくなり夢中で読んでいました。
ただし、お勧めは慎重にしたいと思います。
小説ではありますが、娯楽ものでなく、教養小説、思想小説とも言っていいものだからです。
その背景は、白石一文が早稲田大学政治経済学部を卒業してからしばらく文芸春秋社に勤めていた人だからです。
主人公のカワバタは、文芸春秋社の『週刊文春』を連想させる週刊誌の編集長(やがて月刊誌の編集長)、41歳。
胃がんでステージⅡを宣告され、胃の2/3を切除しています。
東京大学で経済学を講じるミオとの間にナオがいますが、その下の息子のユキヒコを生後3カ月で喪っています。
カワバタには、聖と俗が同居しています。
聖の部分は、新自由主義経済思想に基づく格差社会に憤りを感じ、胃がんの手術後、ユキヒコの声が聞こえるようになったり、未来の自分の姿を見たり、マザー・テレサやマルティン・ルーサー・キングを登場させながらスピリチュアルな要素も持ちます。
俗な部分としては、性の問題、週刊誌の編集長として社内人事や政界のトラブルなどと縁が深いところがあります。
10年ほど前のの時代背景をもとに、「生きること」「愛すること」を私たちに投げかける小説だと言っていいでしょう。
この小説を読み気になった人へのお勧めがあります。
それは、ほとんどカタカナで書かれた登場人物を是非主人公との関連図をメモしながら読み進めるとよい、ということです。
あまりにも登場人物が多いので、誰がどうなのかわからなくなることがあります。
◆今までに白石一文の小説として次のようにお勧めをしております。
こちらは純愛ものです。
2013年6月28日付けブログ 夫婦愛の小説のお勧め:『快挙』(白石一文)
<お目休めコーナー>4月の花(18)

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