おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
まずは、お知らせから。
本日(4月14日)10:00以降、一般財団法人 労務行政研究所 の「jin-Jour」サイト でPoint of View第84回として私の
「働く人に知ってほしい 職場で生かせるアドラー心理学」
がアップされることになっています。
くれぐれも10:00以降にお願いしますね。
次に、 (株)三笠書房 の「これから出る本」で『アドラー流「自信」が生まれる本』が紹介されました。
昨日の (株)三笠書房 内の会議で初版1万2千部でのスタートと決まったことを編集本部の番園さんからお伝えいただきました。
ビジネス分野の本としては『働く人のためのアドラー心理学』(朝日文庫、600円+税)が累積販売部数4万部と気を吐いています。
さて、「アドラー心理学の組織への適用:タテの関係 VS. ヨコの関係」シリーズの2回目です。
今回は
1.権限法定説
2.権限受容説
3.権限職能説
のうちの2.権限受容説に入ります。
ここからはかなりヨコの関係の色彩が強くなります。
この権限受容説というのは、自らが経営者でもあったC.I.バーナード(1886 ~ 1961)の理論で、簡潔に言ってしまえば、「上司の命令が権限を持つかどうかは、命令を受ける立場の人間(部下)の側にあるのであって、命令する側にあるのではない」という理論です。
そして、上司の権限を確立しようと思えば、部下の同意が必要になるのですが、その同意には次の4つの条件が満たされなければならない、とされています。
(1)部下がその伝達を理解でき、また、実際に理解すること
(2)上司が意思決定をする場合に、受け取った伝達が組織目的と矛盾していないと信じること
(3)意思決定に際して、部下がその伝達が自分の利害と両立しうると信じること
(4)部下が精神的にも肉体的にもその伝達に従うことができること
この1938年の理論は、実は革命的で、当時より80年後の現在でこそ説得力を持ちます。
それは、上司であることで権限を有していると思い込んでいる人がこの理論をつきつけられると、「あなたは権限を持っているつもりでも、部下があなたの権限を認めなければ、あなたに権限なんてないのですよ」と言われるような響きを持つからです。
バーナードから半世紀を経て、有名なP.F.ドラッカーは、リーダーについてこんなことを書いています。
「そもそもリーダーについての唯一の定義は、“フォロワーがいること”である。 信頼がない限りフォロワーはいない」(“Managing for the Future”)
私は、部下が上司の権限を受け入れる最大の要因は、ドラッカーの「信頼」を採り入れると、アドラー心理学の「相互尊敬・相互信頼」の関係性であり、そのことこそがバーナードの権限受容説に魂を吹き込むように思えてなりません。
<お目休めコーナー>4月の花(14)