見もの・読みもの日記

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首都圏の歴女、注目/伊達政宗とみちのく文華(金沢文庫)

2009-10-13 00:11:39 | 行ったもの(美術館・見仏)
神奈川県立金沢文庫 仙台市博物館・神奈川県立金沢文庫交流特別展『伊達政宗とみちのく文華』(2009年10月9日~12月6日)

 仙台市博物館が所蔵する伊達家伝来品を借り受け、中世から近世に至る「みちのく文華」を紹介する展覧会。金沢文庫のHPを見たら、おお~伝上杉謙信所用の『三宝荒神形兜』も来るし、慶長遣欧使節関係資料(国宝)の『支倉常長像』も来るというので、これはすごい!と色めきたった。ただ「会期中展示替えがございます」というわりに詳しい情報が載らないなあ、と思っていたら、ようやく一覧表がUPされた。主要な展示品は、わりと、いつ行っても見られそうである。

 会場に入ると、目の前には『黒漆五枚胴具足』(桃山時代、伊達政宗所用)。兜には、例の細い月形の前立。以前、仙台市博物館に行ったとき、あっ政宗の甲冑、と喜んだら、同型の別物だったが、これはホンモノである。その隣りには、3メートルを越す『勝色金日の丸旗』。「勝ち色」は伊達家で重視された濃紺のことで、紺地に金色の日輪は、むしろ月輪に見える。旗の乳(竿を通す輪)の部分も金色。紺紙金字経みたいだ。朝鮮に向けて京都を出陣したときの軍装として、これと同じ旗が記録されているという。う~む、やっぱり(ふだん金沢文庫が扱う中世と比べて)戦国武将は格段にカッコいいなあ~。

 展示リストでは分かりにくいが、重要な歴史事件にかかわる文書が多数出ている。小田原攻めの陣立書は、秀吉が、なかなか上洛しない政宗に圧力をかけるために送ったもの。小田原で北条攻めをしていた豊臣秀吉のもとに参陣した政宗が、会見の様子を家臣に書き送った書状、織田信長が上杉謙信の討伐を政宗に命じた書状など。俗に「百万石のお墨付き」と呼ばれる、家康から貰った領知覚書も。なお、『上杉景勝書状』(リスト32、図録31)は、政宗から景勝に宛てた返書である。朝鮮出兵中の政宗が母の来信に感謝した返書も興味深かった(母は小遣い三両を同封したって、遠足かw)

 慶長遣欧使節関係資料も多数。ああ、嬉しいなあ。支倉常長の『ローマ市公民権証書』は、仙台でも見られなかったホンモノが見られた(11/8まで)。政宗からローマ教皇に宛てた書状(和文とラテン語訳)は、全期間複製か~と思うかも知れないけど、この原本はバチカン図書館が所蔵しているのである。

 伊達家といえば、どうしても政宗に注目しがちだが、今回の展覧会には、中世にさかのぼる文書・資料も出品されている。執権北条貞時による関東下知状とか、後醍醐天皇の綸旨とか。中尊寺金色堂には、貞時名の棟札(国宝)が残されている。また、政宗以後の伊達藩の人々に関する資料も面白かった。三代藩主綱宗の側室三沢初子が使用した帯の数々は、近世初期の遊楽図などに描かれた、華麗な女性ファッションを髣髴とさせて楽しい。

 いずれも、関東ではなかなか見られないものばかり。図録(1,500円)もお得だと思う。県立・市立博物館どうしの交流って、いろいろ困難はあるのだろうが、ぜひ活発にやってほしい。
コメント
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