○三井記念美術館 『館蔵品展』(2011年4月6日~6月19日)
東日本大震災の影響で、中止や企画変更を余儀なくされた展覧会は数多い。同館でも、特別展「ホノルル美術館所蔵『北斎展』葛飾北斎生誕250周年記念」の開催ができなくなったため、急遽、代替が決まったのが、この館蔵品展である。浮世絵ファンのみなさんには申し訳ないが、個人的には全然OK。コレクション展って、雰囲気が落ち着いていて、すごく好きだ。本当に美術(館)の好きな人が集っている感じがする。
まず茶道具。冒頭の『青磁鳳凰耳花入』はちょっと変わったかたち。茶碗は、私の好きな楽茶碗が、いろいろ揃っていて嬉しい。黒楽茶碗「銘:四ツ目」は、口が大きく四角形に開いており、内側に銀河のような輝きを封じ込める。同じく黒「銘:南大門」は、墨汁の塗りたてのような、てらてらした黒。「銘:俊寛」は、ちょっと内すぼまりの見込み、床に落ちる影に静かな孤独を感じさせる。こってりした粘土色の赤楽茶碗「銘:再来」、本来、温和な風合いの赤楽茶碗にガッと乱暴に黒を刷いたような「銘:鵺」も好きだ。
別の展示室で『聚楽第図屏風』(桃山・16世紀)を発見する。昨年、名古屋市博物館の『変革のとき 桃山』展が初見で、へえ、三井記念美術館にこんな屏風があるんだ、と驚いたもの。金で装飾された青い瓦屋根の楼閣と、茶色の屋根(桧皮葺だろうか?)が同居している。
重文『東福門院入内図屏風』は、修復後初公開(~5/15)。巻子本を屏風に仕立てたものと思われ、右隻の下段(二条城)から左隻の上段(御所)に向かって、入内行列が続く。「日野中納言」「鷹司大納言」などの公家、「松平」「井伊」「本多」などの大名など、名前を読み説きながら眺めると面白い。修復の過程で、脱げ落ちた烏帽子が、紙の貼り継ぎ箇所に隠れているのを発見した、という解説が添えられていたが、よく見ると、他にも烏帽子を取って汗をぬぐう従者(駄目だろw)や、慌ててそれをたしなめる人物などが、そっと描かれていて、なかなか面白い。
最後は江戸後期~明治の屏風と画軸。狩野栄信(伊川院)筆『四季山水図』がなんか変で面白い。「清朝絵画学習のあとがうかがわれる」という解説は、確かにそのとおりだと思うのだが、どこかちぐはぐな「間違い探し」みたいになっている。
東日本大震災の影響で、中止や企画変更を余儀なくされた展覧会は数多い。同館でも、特別展「ホノルル美術館所蔵『北斎展』葛飾北斎生誕250周年記念」の開催ができなくなったため、急遽、代替が決まったのが、この館蔵品展である。浮世絵ファンのみなさんには申し訳ないが、個人的には全然OK。コレクション展って、雰囲気が落ち着いていて、すごく好きだ。本当に美術(館)の好きな人が集っている感じがする。
まず茶道具。冒頭の『青磁鳳凰耳花入』はちょっと変わったかたち。茶碗は、私の好きな楽茶碗が、いろいろ揃っていて嬉しい。黒楽茶碗「銘:四ツ目」は、口が大きく四角形に開いており、内側に銀河のような輝きを封じ込める。同じく黒「銘:南大門」は、墨汁の塗りたてのような、てらてらした黒。「銘:俊寛」は、ちょっと内すぼまりの見込み、床に落ちる影に静かな孤独を感じさせる。こってりした粘土色の赤楽茶碗「銘:再来」、本来、温和な風合いの赤楽茶碗にガッと乱暴に黒を刷いたような「銘:鵺」も好きだ。
別の展示室で『聚楽第図屏風』(桃山・16世紀)を発見する。昨年、名古屋市博物館の『変革のとき 桃山』展が初見で、へえ、三井記念美術館にこんな屏風があるんだ、と驚いたもの。金で装飾された青い瓦屋根の楼閣と、茶色の屋根(桧皮葺だろうか?)が同居している。
重文『東福門院入内図屏風』は、修復後初公開(~5/15)。巻子本を屏風に仕立てたものと思われ、右隻の下段(二条城)から左隻の上段(御所)に向かって、入内行列が続く。「日野中納言」「鷹司大納言」などの公家、「松平」「井伊」「本多」などの大名など、名前を読み説きながら眺めると面白い。修復の過程で、脱げ落ちた烏帽子が、紙の貼り継ぎ箇所に隠れているのを発見した、という解説が添えられていたが、よく見ると、他にも烏帽子を取って汗をぬぐう従者(駄目だろw)や、慌ててそれをたしなめる人物などが、そっと描かれていて、なかなか面白い。
最後は江戸後期~明治の屏風と画軸。狩野栄信(伊川院)筆『四季山水図』がなんか変で面白い。「清朝絵画学習のあとがうかがわれる」という解説は、確かにそのとおりだと思うのだが、どこかちぐはぐな「間違い探し」みたいになっている。