■南昌(滕王閣~江西省博物館~佑民寺~縄金塔~八大山人紀念館)~廬山
南昌観光はフリータイムにして、自分たちで回ろうと考えていたのだが、現地ガイドの朱さんから「お手伝いしますよ」と言われて、楽なほうに転んでしまう。江西省の省都である南昌は、かつて洪都と呼ばれた、とガイドさんの説明で初めて知る。中華ドラマ『大明帝国 朱元璋』で、陳友諒の覇権争いに際し、朱元璋が藍玉に「100日間死守」を命じた、あの洪都である。
まず、武漢の黄鶴楼、岳陽の岳陽楼と並び「江南三大名楼」と称される滕王閣(とうおうかく)へ。唐代の創建と言われるが、現在は6階建ての鉄筋建築。「楼」は重層の建物で酒店になることが多く、「閣」は高所の建造物で書物の収蔵庫になることが多かった、というのは朱さんの説明。
江西省博物館は、省級博物館としては、やや期待外れ。「歴史文化館」は、例によって写真撮り放題だが、閉まっている展示室が多かった。「革命闘争館」の1階に、東博でいえば「国宝室」みたいな特別展示室があって、月替わりの名品を展示している。今月(2012年8月)は元代の青花松竹梅梅瓶。これは、本物は撮影不可。
南朝梁代創建の古刹、佑民寺(とてもそうは思えない市中にある)、唐代創建の縄金塔(現在の塔は清代の再建)を見て、最後に私の希望で八大山人紀念館に連れて行ってもらう。「八大山人をご存じですか!」と朱さんに感心されたが、八大山人こと朱耷(しゅとう)は、明末清初の画家にして書家。京都・泉屋博古館の『安晩冊(安晩帖)』は、何度か紹介しているとおり、私の大好きな水墨画集である。
彼の画風から、ひっそり営まれるこじんまりした記念館を勝手に想像していたら、近づくにつれて、とんでもないことになっていることが分かった。出身地の南昌にとって、彼は「郷土の偉人」であるらしく、市内の一角に「八大山人パーク」とでも呼ぶべき、広大な文化公園が設けられていた。
その中にある、中国伝統建築ふうの紀念館。展示品には期待しないよう、自分の胸に言い聞かせる。案の定、八大山人の作品の写真パネルが数点ほど。
このほかに近代的な展示館が別にあって、そこでは、本物の八大山人の作品を数点(印象的なのは鹿図)、それから、呉昌碩や斎白石の作品も少し見ることができた。旅の記念にと思い、1階の売店で『八大山人作品局部経典』動物(一)(二)というコンパクトな図版集を買っていくことにした。
そうしたらこれには、見覚えのある『安晩帖』の図版が混じっているのだが、どこにも所蔵館の注記がない。ええ~あり得ないだろ。少なくとも日本の美術館や博物館が、所蔵館の記載なしで図版の掲載に同意するとは思えない。いいのか、江西美術出版社。ISBNまでつけて、堂々と出版しているけど。
夕方、南昌を後にし、高山リゾートの廬山泊。いつぞやのろうそく祭りの高野山みたいな感じで、ものすごい人出で賑わっていた。
(8/21記)
南昌観光はフリータイムにして、自分たちで回ろうと考えていたのだが、現地ガイドの朱さんから「お手伝いしますよ」と言われて、楽なほうに転んでしまう。江西省の省都である南昌は、かつて洪都と呼ばれた、とガイドさんの説明で初めて知る。中華ドラマ『大明帝国 朱元璋』で、陳友諒の覇権争いに際し、朱元璋が藍玉に「100日間死守」を命じた、あの洪都である。
まず、武漢の黄鶴楼、岳陽の岳陽楼と並び「江南三大名楼」と称される滕王閣(とうおうかく)へ。唐代の創建と言われるが、現在は6階建ての鉄筋建築。「楼」は重層の建物で酒店になることが多く、「閣」は高所の建造物で書物の収蔵庫になることが多かった、というのは朱さんの説明。
江西省博物館は、省級博物館としては、やや期待外れ。「歴史文化館」は、例によって写真撮り放題だが、閉まっている展示室が多かった。「革命闘争館」の1階に、東博でいえば「国宝室」みたいな特別展示室があって、月替わりの名品を展示している。今月(2012年8月)は元代の青花松竹梅梅瓶。これは、本物は撮影不可。
南朝梁代創建の古刹、佑民寺(とてもそうは思えない市中にある)、唐代創建の縄金塔(現在の塔は清代の再建)を見て、最後に私の希望で八大山人紀念館に連れて行ってもらう。「八大山人をご存じですか!」と朱さんに感心されたが、八大山人こと朱耷(しゅとう)は、明末清初の画家にして書家。京都・泉屋博古館の『安晩冊(安晩帖)』は、何度か紹介しているとおり、私の大好きな水墨画集である。
彼の画風から、ひっそり営まれるこじんまりした記念館を勝手に想像していたら、近づくにつれて、とんでもないことになっていることが分かった。出身地の南昌にとって、彼は「郷土の偉人」であるらしく、市内の一角に「八大山人パーク」とでも呼ぶべき、広大な文化公園が設けられていた。
その中にある、中国伝統建築ふうの紀念館。展示品には期待しないよう、自分の胸に言い聞かせる。案の定、八大山人の作品の写真パネルが数点ほど。
このほかに近代的な展示館が別にあって、そこでは、本物の八大山人の作品を数点(印象的なのは鹿図)、それから、呉昌碩や斎白石の作品も少し見ることができた。旅の記念にと思い、1階の売店で『八大山人作品局部経典』動物(一)(二)というコンパクトな図版集を買っていくことにした。
そうしたらこれには、見覚えのある『安晩帖』の図版が混じっているのだが、どこにも所蔵館の注記がない。ええ~あり得ないだろ。少なくとも日本の美術館や博物館が、所蔵館の記載なしで図版の掲載に同意するとは思えない。いいのか、江西美術出版社。ISBNまでつけて、堂々と出版しているけど。
夕方、南昌を後にし、高山リゾートの廬山泊。いつぞやのろうそく祭りの高野山みたいな感じで、ものすごい人出で賑わっていた。
(8/21記)