○『関西Art Book 2014-2015』「一冊まるごと今から見られる関西アートガイド」 京阪神エルマガジン社 2014.4
関西の楽しい情報を発信する京阪神エルマガジン社の本。写真の多いムックスタイルの出版物は、旅行に出られないときの無聊(つれづれ)の慰めによいので、たいてい私の部屋には何冊か転がっている。同社は2009年にも『完全保存版・京阪神アートブック』を刊行しているが、今回は「2014-2015年」の情報にフォーカスしたところがミソ。今後も年報形式で続けてくれたら嬉しいなあ。
巻頭は「MINPAKU VS KYOHAKU」とうたった「ニュースな二大ミュージアム」国立民族学博物館と京都国立博物館の特集記事である。今年9月にオープンする京博の「平成知新館」美しいなあ。「この建築自体がアート作品です。」というのはまさに。
しかし、それ以上に私が目を見張ったのは、11頁から、ひときわ小さな活字で掲載されている平成知新館オープニング記念「京へのいざない」展(2014年9月13日~11月16日)の「主な出品作品」リストである。えっ、まだ京博のサイトにも詳細が公開されていないのに…と思って見に行ったら、見どころや関連イベント情報が、ほんの少し掲載されていた(それ以上に、サイトがすっかりリニューアルしていたことにびっくりした。しかも、あまり好みでないデザインに…)。
ともかく、この出品リストは、泣いていいのか笑っていいのか迷うくらいすごい。絵画は基本的に第1期と第2期で展示替え。まず第1期には、神護寺三像の『伝頼朝像』と『伝重盛像』。『花園法皇像』と聞いて、アレか?と思ったけど、画像検索したら、妙心寺蔵は比較的穏やかな顔立ちのほう。満願寺(和歌山県)の『鳥羽天皇像』は全く浮かばないので楽しみ。
『釈迦金棺出現図』も久しぶりに見られる! 聖衆来迎寺(滋賀県)の『六道図』に『山越阿弥陀図』に知恩院の『阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)』かあ。こんなに一遍に見てよいものだろうか。雪舟の『天橋立図』に如拙の『瓢鮎図』も。中国絵画では、昨年、大徳寺・高桐院の曝涼で見た李唐筆『山水図』と『牡丹図』。展示期間が短いのは、曝涼に備えるためだろうか。
『十二天像』は第2期。絵画ばかりでなくて、書も彫刻も工芸も名品揃いである。ただ、このリストは「国宝」「重文」に限って掲載しているらしく(にもかかわらず、3頁にわたる長大なリストになっているのがすごい)指定外の作品は掲載されていない。かつて、京博の平常展が大好きだった私の記憶によれば、指定を受けていない名品も(江戸絵画や室町時代の絵巻物など)たくさん持っていたはずである。早く、あの作品たちと再会したい。
本誌掲載の写真で目を引いたのは、豊臣秀吉所用の『鳥獣文様陣羽織』(高台寺)。大阪城天守閣所蔵の『富士御神火文黒黄羅紗陣羽織』もいいと思ったけど、これもいいなあ。大河ドラマで、ぜひ秀吉に着せてほしい。
みんぱくは、しばらく行っていなかったら、2014年3月に東アジア展示のリニューアルが完了したとのこと。これは行ってみなければ。本題の2014-2015ミュージアムカレンダーは、漏らさずチェック。
「美術館もGMT(じもと)主義!」では、美術館が所蔵する作家の魅力について、学芸員が語る。京都市美術館が数あるコレクションから梶原緋佐子を取り上げている点、兵庫県立美術館が金山平三を取り上げつつ、その奥さん(金山らく)にちょっとだけ触れているのが嬉しかった。続いて「歴史博物館こそ、GMTの総本山です!」では、右ページに大阪歴史博物館、左ページに大津市歴史博物館を取り上げ、学芸員さんが勢ぞろい。いつもお世話になっております。本誌担当スタッフによる「Discussion」のページでも「あらためて学芸員に注目したいな」「学芸員追っかけ、ええやん」「自分好みの作品があるように、自分好みの学芸員を何人つかまえとくか」と、学芸員トークが盛り上がっていた。私自身は何年も前からそういう行動をとっているのだが、学芸員のみなさんは、本誌を読んで、どう思われるでしょうか。
※表紙画像は京阪神エルマガジン社のサイトから。
※ブログ生活10年を経過し「読んだもの」900件目の記事となりました。

巻頭は「MINPAKU VS KYOHAKU」とうたった「ニュースな二大ミュージアム」国立民族学博物館と京都国立博物館の特集記事である。今年9月にオープンする京博の「平成知新館」美しいなあ。「この建築自体がアート作品です。」というのはまさに。
しかし、それ以上に私が目を見張ったのは、11頁から、ひときわ小さな活字で掲載されている平成知新館オープニング記念「京へのいざない」展(2014年9月13日~11月16日)の「主な出品作品」リストである。えっ、まだ京博のサイトにも詳細が公開されていないのに…と思って見に行ったら、見どころや関連イベント情報が、ほんの少し掲載されていた(それ以上に、サイトがすっかりリニューアルしていたことにびっくりした。しかも、あまり好みでないデザインに…)。
ともかく、この出品リストは、泣いていいのか笑っていいのか迷うくらいすごい。絵画は基本的に第1期と第2期で展示替え。まず第1期には、神護寺三像の『伝頼朝像』と『伝重盛像』。『花園法皇像』と聞いて、アレか?と思ったけど、画像検索したら、妙心寺蔵は比較的穏やかな顔立ちのほう。満願寺(和歌山県)の『鳥羽天皇像』は全く浮かばないので楽しみ。
『釈迦金棺出現図』も久しぶりに見られる! 聖衆来迎寺(滋賀県)の『六道図』に『山越阿弥陀図』に知恩院の『阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)』かあ。こんなに一遍に見てよいものだろうか。雪舟の『天橋立図』に如拙の『瓢鮎図』も。中国絵画では、昨年、大徳寺・高桐院の曝涼で見た李唐筆『山水図』と『牡丹図』。展示期間が短いのは、曝涼に備えるためだろうか。
『十二天像』は第2期。絵画ばかりでなくて、書も彫刻も工芸も名品揃いである。ただ、このリストは「国宝」「重文」に限って掲載しているらしく(にもかかわらず、3頁にわたる長大なリストになっているのがすごい)指定外の作品は掲載されていない。かつて、京博の平常展が大好きだった私の記憶によれば、指定を受けていない名品も(江戸絵画や室町時代の絵巻物など)たくさん持っていたはずである。早く、あの作品たちと再会したい。
本誌掲載の写真で目を引いたのは、豊臣秀吉所用の『鳥獣文様陣羽織』(高台寺)。大阪城天守閣所蔵の『富士御神火文黒黄羅紗陣羽織』もいいと思ったけど、これもいいなあ。大河ドラマで、ぜひ秀吉に着せてほしい。
みんぱくは、しばらく行っていなかったら、2014年3月に東アジア展示のリニューアルが完了したとのこと。これは行ってみなければ。本題の2014-2015ミュージアムカレンダーは、漏らさずチェック。
「美術館もGMT(じもと)主義!」では、美術館が所蔵する作家の魅力について、学芸員が語る。京都市美術館が数あるコレクションから梶原緋佐子を取り上げている点、兵庫県立美術館が金山平三を取り上げつつ、その奥さん(金山らく)にちょっとだけ触れているのが嬉しかった。続いて「歴史博物館こそ、GMTの総本山です!」では、右ページに大阪歴史博物館、左ページに大津市歴史博物館を取り上げ、学芸員さんが勢ぞろい。いつもお世話になっております。本誌担当スタッフによる「Discussion」のページでも「あらためて学芸員に注目したいな」「学芸員追っかけ、ええやん」「自分好みの作品があるように、自分好みの学芸員を何人つかまえとくか」と、学芸員トークが盛り上がっていた。私自身は何年も前からそういう行動をとっているのだが、学芸員のみなさんは、本誌を読んで、どう思われるでしょうか。
※表紙画像は京阪神エルマガジン社のサイトから。
※ブログ生活10年を経過し「読んだもの」900件目の記事となりました。