見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2015年3月@京都:京(みやこ)を描く(京都文化博物館)

2015-03-23 23:19:20 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都文化博物館 特別展 『京(みやこ)を描く-洛中洛外図の時代-』(2015年3月1日~4月12日)

 16世紀初頭に登場した洛中洛外図屏風をはじめ、江戸時代を経て明治に至る「京都の肖像」60点余を紹介。面白かった。展示の中心は国立歴史民俗博物館(れきはく)のコレクションだと聞いていたので、見たことのあるものが多いかと思ったら、京都国立博物館や京都府立総合資料館、陽明文庫や八坂神社など、関西ならではの作品も多く、充実していた。

 最初期(室町時代後期)の、のどかでひなびた田園風景(応仁の乱で荒廃したんだよね)から、人家が密集し、高楼甍を連ねる京(みやこ)への変貌を、時系列に沿って追体験できたのが興味深かった。同じ「洛中洛外図」でも、室町時代の京都と江戸中期以降の京都では、ずいぶん風景が違うんだな。ずっと描かれ続けているランドマークもあれば、後世に出現する建築物もある。当たり前だが、豊国神社は室町期には存在しないし。豊臣秀吉の京都大改造以前と以後では、たとえば「五条大橋」の示す地点が違うことも要注意だ。

 2013年に東博でも『京都-洛中洛外図と障壁画の美』という特別展があったが、あのときは人が多くて、作品をあまりゆっくり見られなかった。今回はストレスなく、好きなだけガラスケースに張り付いていられたので、大満足である。

 洛中洛外図の中の空間は、独特の歪み方をしている。ランドマークの選択にも現代人と違う感覚が働いているように思う。まわりは、ほとんど京都人の観客だったと思うが「こんなところに清水寺があるの、おかしいやん」「上賀茂神社があるのに、どうして下賀茂神社がないの?」など、聞こえてくる感想が面白かった。

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