○東京都美術館 特別展『生誕300年記念 若冲展』(2016年4月22日~5月24日)
今年の連休は、ほとんど東京(関東)にいないので、今のうちに見たい展覧会に行っておこうと思い、日曜日、混雑を覚悟して出かけた。9時半くらいについて、意外とスムーズに建物の中に入れたので、これはいけると思ったら、会場入口に到達するまで結局40分くらい並んだと思う。会場内は広いので、人がたくさんいても、あまり圧迫感がないのは、ありがたかった。
入ってすぐ目に入るのは、鹿苑寺大書院障壁画の『葡萄小禽図襖絵』。相国寺の承天閣美術館に常設展示されているものなので、飛ばして別の作品に行こうか迷う。しかし、若冲の作品は飛ばせない。どんな小品でも、見ているだけで快感物質が分泌されて、体温が上がる気がする。特に私は、若冲の描くツル植物やニワトリの尾羽の、くるくると巻いたかたちを見ていると、なぜか幸せになる。選んで見るなどというセコイことを考えるのはやめて、1点ずつできるだけゆっくり味わうことにした。
やっぱり色彩の華やかな作品が人気なので、水墨画の前は比較的空いていて、展示ケースに張り付くように見ることができた。鹿苑寺大書院障壁画(裏表、計4面)は、いつものケースより接近できて、細やかな墨の濃淡が鑑賞できて嬉しかった。細見美術館の『糸瓜群虫図』、三の丸尚蔵館の『旭日鳳凰図』など、噂どおり名品揃いで、若冲ファンなら「あ、○○が所蔵している△△」とすぐ分かる作品が多く、ひとりクイズが楽しめる。きちんと見ておこうと思ったのは、和歌山・草堂寺の『隠元豆・玉蜀黍図』。岡田美術館からは『孔雀鳳凰図』二福対をはじめ、目を見張る作品が多数出ていた。どちらも現地に行きたいと思いつつ、まだ実現していないところ。
次室の『乗興舟』(京博)は低い展示ケースで人だかりに埋もれていたので諦める。大好きな『花鳥版画』シリーズ(平木浮世絵財団)は壁に飾られていて、なんとか見られた。『玄圃瑤華』(青裳堂書店)は写真パネルで全体を想像しつつ鑑賞。
上階(1階)へ。かなり広い楕円形の展示室で、中央の三本の弁柄(べんがら)色の円柱が仏殿をイメージさせる。相国寺の『釈迦三尊像』を真ん中に、その両側を楕円形の壁に沿って『動植綵絵』30幅が取り巻く。並び順は『釈迦三尊像』の隣から遠ざかる方向へ以下の通り。
右(上手)/左(下手)
1 老松孔雀図/老松白鳳図
2 薔薇小禽図/牡丹小禽図
3 梅花皓月図/梅花小禽図
4 老松鸚鵡図/老松白鶏図
5 梅花群鶴図/棕櫚雄鶏図
6 向日葵雄鶏図/南天雄鶏図
7 芙蓉双鶏図/紫陽花双鶏図
8 群鶏図/大鶏雌雄図
9 芍薬群蝶図/秋塘群雀図
10 雪中鴛鴦図/雪中錦鶏図
11 芦鵞図/芦雁図
12 池辺群虫図/貝甲図
13 諸魚図/群魚図
14 蓮池遊魚図/菊花流水図
15 紅葉小禽図/桃花小禽図
題名を見て分かるとおり、左右が一対になるよう配慮されている。実は『動植綵絵』の並び順に「定番」はなく、2009年、東博の『皇室の名宝』では制作年代順に並べたそうだ。今回と同じく『釈迦三尊像』の左右に15幅ずつを並べた、2007年の承天閣美術館の『若冲展』はどうだったんだろう? 探せば図録は持っているはずだが、よく覚えていない。しかし、今回の並び順は、全体を概観すると統一感があって、好ましかった。
2階では、久しぶりに大好きな『百犬図』を見る。う、嬉しい~! これ「個人蔵」なんだなあ。以前はよく京博で見た記憶があるのだが。西福寺の『蓮池図』は、蓮の花が美しく咲き、散り、枯れてゆく時間経過を描いたもの。2010年の千葉市美術館でしみじみと哲学的な印象を持った作品だが、今回の会場は落ち着かなくて、いまひとつ心に響かなかった。京博の『石燈籠図屏風』があり、MIHOミュージアムの『象と鯨図屏風』があるという、とんでもない贅沢さ。さらに奥にはプライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』が待っているし。佐野市立吉澤記念美術館の『菜虫譜』は、人の山に埋もれていて諦めた。やっぱり軸物は難しい。
出口を出ても、ミュージアムショップがまた楽しい。私はTシャツとマグカップと『果蔬涅槃図』(5/10~展示)のエコバッグを購入。もちろん図録も買った。これ相当な売り上げになるだろうなあ。若冲さん、楽しい絵画を本当にありがとう。
今年の連休は、ほとんど東京(関東)にいないので、今のうちに見たい展覧会に行っておこうと思い、日曜日、混雑を覚悟して出かけた。9時半くらいについて、意外とスムーズに建物の中に入れたので、これはいけると思ったら、会場入口に到達するまで結局40分くらい並んだと思う。会場内は広いので、人がたくさんいても、あまり圧迫感がないのは、ありがたかった。
入ってすぐ目に入るのは、鹿苑寺大書院障壁画の『葡萄小禽図襖絵』。相国寺の承天閣美術館に常設展示されているものなので、飛ばして別の作品に行こうか迷う。しかし、若冲の作品は飛ばせない。どんな小品でも、見ているだけで快感物質が分泌されて、体温が上がる気がする。特に私は、若冲の描くツル植物やニワトリの尾羽の、くるくると巻いたかたちを見ていると、なぜか幸せになる。選んで見るなどというセコイことを考えるのはやめて、1点ずつできるだけゆっくり味わうことにした。
やっぱり色彩の華やかな作品が人気なので、水墨画の前は比較的空いていて、展示ケースに張り付くように見ることができた。鹿苑寺大書院障壁画(裏表、計4面)は、いつものケースより接近できて、細やかな墨の濃淡が鑑賞できて嬉しかった。細見美術館の『糸瓜群虫図』、三の丸尚蔵館の『旭日鳳凰図』など、噂どおり名品揃いで、若冲ファンなら「あ、○○が所蔵している△△」とすぐ分かる作品が多く、ひとりクイズが楽しめる。きちんと見ておこうと思ったのは、和歌山・草堂寺の『隠元豆・玉蜀黍図』。岡田美術館からは『孔雀鳳凰図』二福対をはじめ、目を見張る作品が多数出ていた。どちらも現地に行きたいと思いつつ、まだ実現していないところ。
次室の『乗興舟』(京博)は低い展示ケースで人だかりに埋もれていたので諦める。大好きな『花鳥版画』シリーズ(平木浮世絵財団)は壁に飾られていて、なんとか見られた。『玄圃瑤華』(青裳堂書店)は写真パネルで全体を想像しつつ鑑賞。
上階(1階)へ。かなり広い楕円形の展示室で、中央の三本の弁柄(べんがら)色の円柱が仏殿をイメージさせる。相国寺の『釈迦三尊像』を真ん中に、その両側を楕円形の壁に沿って『動植綵絵』30幅が取り巻く。並び順は『釈迦三尊像』の隣から遠ざかる方向へ以下の通り。
右(上手)/左(下手)
1 老松孔雀図/老松白鳳図
2 薔薇小禽図/牡丹小禽図
3 梅花皓月図/梅花小禽図
4 老松鸚鵡図/老松白鶏図
5 梅花群鶴図/棕櫚雄鶏図
6 向日葵雄鶏図/南天雄鶏図
7 芙蓉双鶏図/紫陽花双鶏図
8 群鶏図/大鶏雌雄図
9 芍薬群蝶図/秋塘群雀図
10 雪中鴛鴦図/雪中錦鶏図
11 芦鵞図/芦雁図
12 池辺群虫図/貝甲図
13 諸魚図/群魚図
14 蓮池遊魚図/菊花流水図
15 紅葉小禽図/桃花小禽図
題名を見て分かるとおり、左右が一対になるよう配慮されている。実は『動植綵絵』の並び順に「定番」はなく、2009年、東博の『皇室の名宝』では制作年代順に並べたそうだ。今回と同じく『釈迦三尊像』の左右に15幅ずつを並べた、2007年の承天閣美術館の『若冲展』はどうだったんだろう? 探せば図録は持っているはずだが、よく覚えていない。しかし、今回の並び順は、全体を概観すると統一感があって、好ましかった。
2階では、久しぶりに大好きな『百犬図』を見る。う、嬉しい~! これ「個人蔵」なんだなあ。以前はよく京博で見た記憶があるのだが。西福寺の『蓮池図』は、蓮の花が美しく咲き、散り、枯れてゆく時間経過を描いたもの。2010年の千葉市美術館でしみじみと哲学的な印象を持った作品だが、今回の会場は落ち着かなくて、いまひとつ心に響かなかった。京博の『石燈籠図屏風』があり、MIHOミュージアムの『象と鯨図屏風』があるという、とんでもない贅沢さ。さらに奥にはプライスコレクションの『鳥獣花木図屏風』が待っているし。佐野市立吉澤記念美術館の『菜虫譜』は、人の山に埋もれていて諦めた。やっぱり軸物は難しい。
出口を出ても、ミュージアムショップがまた楽しい。私はTシャツとマグカップと『果蔬涅槃図』(5/10~展示)のエコバッグを購入。もちろん図録も買った。これ相当な売り上げになるだろうなあ。若冲さん、楽しい絵画を本当にありがとう。