東近江・北近江で週末を過ごしたあとは東京に戻る予定だったが、勤務先から、急遽、月・火は大阪に出張を命じられた。月曜の用務は夕方からだが、13時からオンライン会議の予定がある。それでも関西に居残れば、半日は自由行動ができると思ったので、日曜は奈良に宿泊した。目的は、東大寺で開山良弁僧正1250年遠忌を記念して行われている秘仏・国宝特別開扉である。
■法華堂(三月堂)秘仏 国宝・法華堂執金剛神立像特別開扉(2023年10月14日~10月16日)
平日の朝に東大寺境内を歩くのは久しぶりで、さすがに人が少なくて気持ちよかった。法華堂の礼堂(外陣)に入ると、右手の隅に案内の方がいて「こちらへどうぞ」と、いつもは通れない須弥壇の裏側に通してくれる。むかし12月16日の開扉日に拝観に来たときと同様である。お厨子が高い位置にあるので、正面には階段上の見仏台(?)が設けられていた。混んでいると周りを気にして譲り合わなければならないが、空いていたので、好きなだけじっくり眺めることができた。目線を右に向けると、突き当りのお堂の隅には、東京藝術大学の執金剛神立像復元プロジェクトチームによる彩色の模刻像(※写真あり)が据えられている。その色彩を目で記憶しては、お厨子の中の執金剛神立像に重ね合わせたりしてみた。執金剛神の武器は金剛杵だが、ちょうど見ていた中国ドラマ『虎鶴妖師録』に金剛杵(金剛橛)を武器にする少年が出てくるので、なんだか執金剛神にも親しみを感じてしまった。
■二月堂
せっかく来たので二月堂でもご朱印を貰っていく。一人で窓口に座っていたおじさんが「はい、ちょっとお願い」というと、奥から女性が出てきて「南無観」を書いてくれた。私は高校生の頃から、もう何十年も東大寺に来ているが、おそらく二月堂で女性の方にご朱印を書いてもらったのは初めてだと思った。そのことを申し上げたら、おじさんが「去年の暮れからです。少し変えなければいけないと思って、女性にもシフトに入ってもらうことにしたんですよ」とのこと。へええ、まあいいことだと思う。
■戒壇堂(戒壇院)国宝・戒壇堂四天王立像拝観再開(2023年10月1日~)
2020年7月から耐震対策と保存修理に伴う工事のため閉堂していた戒壇堂が拝観を再開し、東大寺ミュージアムに預けられていた四天王像も、もとの位置にお戻りになった。3年間、早かったなあという印象である。スーツ姿の男性二人連れが来ていて「ここの板は半分くらい替えた」とか「敷石の下に太い竹の根っこが通っていてね」と話していて、工事にかかわった業者さんらしかった。この日は大仏殿で法要が予定されていたので、来賓としていらしていたのではないかと思う。
■東大寺ミュージアム 特別展示・東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌記念『良弁僧正と東大寺』(2023年10月1日~12月21日)
四天王像がいなくなった東大寺ミュージアムには、実忠和尚坐像がいらしていた。ふだんは開山堂に良弁僧正坐像と背中合わせに安置されており、開山忌の12月16日だけ公開されるものだ。ちなみに隣りに写真パネルの置いてあった良弁僧正坐像は、10月28日~11月19日まで法華堂で公開が予定されている。この二人の師弟関係には、いろいろ興味と妄想が湧いている。
戒壇院を出て東大寺ミュージアムに向かおうとしていたとき、南大門の方角から雅楽の音色が流れてきて、大仏殿に向かって華やかな行列が進んでいた。先導の僧侶に続いては、胡蝶と迦陵頻伽! 同行するお姉さん、古装ドラマの男装キャラみたいでカッコいい。
楽人の先頭を行く二人。右方(緑色の衣裳)が腰につけているのは鞨鼓か。左方(オレンジ系の衣裳)は上から叩く形式の小太鼓? どちらも撥を持っている。
管楽器の人々。
後ろ姿もステキ。
そして裹頭(かとう)をつけた法師の一団が来たので、笑ってしまった。悪そうだな~。
こちらは、現在の東大寺別当・橋村公英氏だろうか(間違っていたらすみません)。
最後に輿に担がれて進んで行かれた方はどなただろう。
ニコニコ生放送で法要の様子がアーカイブ配信されているので、時間があったら見てみようと思う。
こうして月曜午前も充実の見仏タイムを過ごしたあと、大坂・日本橋のレンタルブースで職場のオンライン会議に参加(もちろんPC持参)。夕方から梅田で用務を果たし、火曜も終日仕事をして帰京した。