○足立区立郷土博物館 区制80周年記念特別展『足立の仏像-ほとけがつなぐ足立の歴史-』(2012年10月20日~12月9日)
最終日に駆け込み。私は東京下町(足立区のすぐ南の江戸川区)の生まれだが、この展覧会の噂を聞いても、足立区に仏像?あるの?と、にわかに信じられなかった。そうしたら、一週間ほど前、同展のポスターを目にして、これはなかなかいいかもしれない、と思い、最終日に行ってみた。足立区立郷土博物館までは、綾瀬駅からバス。へえ~東京東部の区立博物館って、こんなに立派なのか、とびっくりした。(ひとむかし前の貧乏地区のイメージが抜けていない…すいません)
1階の「第1部 足立の仏像」では、仏像・仏画等、およそ35点(入れ替えあり)を紹介し、2階の「第2部 仏教文化と足立のくらし」では、古文書・浮世絵・地誌・板碑など、仏教文化を通じて地域の歴史や民俗を解説する。メインホールで目立っていたのは、常善院の大日如来像(これはいい!)と吉祥院の弁財天坐像。どちらも元禄時代の仏像だ。こんな新しい時代の仏像には、あまり心を動かされることがないのだが、虚心に見てみると悪くないものもあるなあ、と思った。
ほかに「鎌倉時代」とか「鎌倉後期~南北朝時代」というキャプションを添えた仏像もある。ええ、マジ?と近寄って、よく説明を読んでみると、頭部と手先は後補、などの説明がある。なるほど、印象を決定づける頭部をあえて見ないようにして、体部の衣文の表現だけに視線を合わせてみると、古い、優れた仏師の作かもしれない、と納得がいくものもある。
会場には、所蔵先のお寺の名前と住所、そして写真も掲げてあって、親切だと思ったが、残念ながら知っているお寺は全くなかった。でも、入谷とか千住とか西新井とか…言われてみれば由緒のある土地柄なんだな、と初めて気づいた。そして、江東区や台東区、荒川区などが、太平洋戦争下の空襲で、甚大な被害を受けたのに比べると、これだけの文化財が残っているということは、足立区って、意外と焼けなかったのかな、と思った。
展示・第2室に「近・現代の仏像」というコーナーがあり、高村東雲(光雲の師匠で養父)、高村光雲、森鳳声らが制作した仏像を興味深く眺めた。さらに美しい白木の大日如来坐像があって、その前で会話しているおじさん二人がいた。主に質問をしている初老のおじさんの声が大きいので(本人は至って真面目なんだけど…)気が散って閉口したが、会話の内容から、質問に答えている方が、大日如来坐像の作者らしいと気づいた。足立区内に彫刻工房を構える、渡邉宗雲さんである(※ホームページ)。
2階を見終わって戻ってきたら、メインホールでギャラリートークらしきものが始まっていたので、もう一周しながら聞かせてもらった。「真田」の名札をつけていたのが、同展の企画をされた専門員の真田尊光さん。もうおひとり、時々掛け合いをしていた職員の方(たぶん)がギャラリーに混じっていた。この展示に先立つ、現地寺院での調査の様子なども聞けて、興味深かった。
※参考:YouTube版『足立の仏像-ほとけがつなぐ足立の歴史-』紹介
これはいいなあ! 登場するお坊さんたちが素直に誇らしげなのがステキ。
最終日に駆け込み。私は東京下町(足立区のすぐ南の江戸川区)の生まれだが、この展覧会の噂を聞いても、足立区に仏像?あるの?と、にわかに信じられなかった。そうしたら、一週間ほど前、同展のポスターを目にして、これはなかなかいいかもしれない、と思い、最終日に行ってみた。足立区立郷土博物館までは、綾瀬駅からバス。へえ~東京東部の区立博物館って、こんなに立派なのか、とびっくりした。(ひとむかし前の貧乏地区のイメージが抜けていない…すいません)
1階の「第1部 足立の仏像」では、仏像・仏画等、およそ35点(入れ替えあり)を紹介し、2階の「第2部 仏教文化と足立のくらし」では、古文書・浮世絵・地誌・板碑など、仏教文化を通じて地域の歴史や民俗を解説する。メインホールで目立っていたのは、常善院の大日如来像(これはいい!)と吉祥院の弁財天坐像。どちらも元禄時代の仏像だ。こんな新しい時代の仏像には、あまり心を動かされることがないのだが、虚心に見てみると悪くないものもあるなあ、と思った。
ほかに「鎌倉時代」とか「鎌倉後期~南北朝時代」というキャプションを添えた仏像もある。ええ、マジ?と近寄って、よく説明を読んでみると、頭部と手先は後補、などの説明がある。なるほど、印象を決定づける頭部をあえて見ないようにして、体部の衣文の表現だけに視線を合わせてみると、古い、優れた仏師の作かもしれない、と納得がいくものもある。
会場には、所蔵先のお寺の名前と住所、そして写真も掲げてあって、親切だと思ったが、残念ながら知っているお寺は全くなかった。でも、入谷とか千住とか西新井とか…言われてみれば由緒のある土地柄なんだな、と初めて気づいた。そして、江東区や台東区、荒川区などが、太平洋戦争下の空襲で、甚大な被害を受けたのに比べると、これだけの文化財が残っているということは、足立区って、意外と焼けなかったのかな、と思った。
展示・第2室に「近・現代の仏像」というコーナーがあり、高村東雲(光雲の師匠で養父)、高村光雲、森鳳声らが制作した仏像を興味深く眺めた。さらに美しい白木の大日如来坐像があって、その前で会話しているおじさん二人がいた。主に質問をしている初老のおじさんの声が大きいので(本人は至って真面目なんだけど…)気が散って閉口したが、会話の内容から、質問に答えている方が、大日如来坐像の作者らしいと気づいた。足立区内に彫刻工房を構える、渡邉宗雲さんである(※ホームページ)。
2階を見終わって戻ってきたら、メインホールでギャラリートークらしきものが始まっていたので、もう一周しながら聞かせてもらった。「真田」の名札をつけていたのが、同展の企画をされた専門員の真田尊光さん。もうおひとり、時々掛け合いをしていた職員の方(たぶん)がギャラリーに混じっていた。この展示に先立つ、現地寺院での調査の様子なども聞けて、興味深かった。
※参考:YouTube版『足立の仏像-ほとけがつなぐ足立の歴史-』紹介
これはいいなあ! 登場するお坊さんたちが素直に誇らしげなのがステキ。