付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「無双航路02」 松屋大好

2019-01-25 | ミリタリーSF・未来戦記
「ぼくは人間ですから。人間はほかの人間を守るものなんです」
 AIアサガヤシンはAI規範に縛られない。

 ボロボロの艦隊で連合の防衛網を打ち破った皇女ソハイーラは帝都であるローマ星系へと帰投する。
 しかし、それは始まりに過ぎなかった。元老院派によるクーデターで皇帝が暗殺され、裏切り者イムマクが新皇帝として即位していたのだ……。

 新皇帝やら前皇帝やら権力争いで帝国の体制はぐちゃぐちゃだし、AIを司るローマの月は1000を超える人格がわきゃわきゃしているし、裏切りはあるし暗殺者はいるし地球のバックアップはできないし……と、スピーディーな展開で2巻だけでもストーリーが二転三転する勢いが止まりません。
 AIの扱いという一点だけでも面白いよね。

【無双航路02】【転生して宇宙戦艦のAIになりました】【松屋大好】【黒銀(DIGS)】【レジェンドノベルス】【勇敢なる特攻】【廃棄艦の墓場】【仮想世界】【無双世界】【小説家になろう】
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「終わりなき戦火」 ジョン・スコルジー

2019-01-18 | ミリタリーSF・未来戦記
「だれもがおたがいにとってはエイリアンなんです。それでも、このとおり、わたしたちは友人になっています」
 ララン族の顧問官、ハフト・ソルヴォーラの言葉。

 地球とコロニー連合の関係が緊張する中、貨物船チャンドラー号の操縦士レイフは、気がつくと脳だけの姿で宇宙船に接続されていた。コロニー連合に攻撃を仕掛ける兵器にされてしまったのだ。彼らは甘い言葉でレイフに作戦後の解放を囁くが、仲間のクルーにしたことを考えれば信じられるはずもない。
 元プログラマのレイフは、決死の反撃を試みるが……。

 ブレインシップにされてしまった主人公の逆襲譚と、前作の主人公ハリーがコロニー連合と地球、エイリアンの間に争乱を引き起こそうとする秘密結社と攻防を繰り広げる経緯を描いた6冊目。

【終わりなき戦火】【老人と宇宙6】【ジョン・スコルジー】【前嶋重機】【ハヤカワ文庫SF】【ピュロスの勝利】【フランケンシュタインのロボット】【宇宙版デューンバギー】【ルイジアナ買収】
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「無双航路01」 松屋大好

2018-11-11 | ミリタリーSF・未来戦記
 高校2年生の阿佐ヶ谷真は、気がついた時には帝国巡洋戦艦カプリコンのAIになっていた。本来のAIカプリコンがスパイによるシステム攻撃でダウンした際に、建造時に構築された仮AIが出てきたのではないかというのだ。
 真にとっては悪い夢だが、カプリコンのクルーにとってはスパイの工作によって上級士官を失い、艦を制御するAIが消失し、さらに敵艦からの砲火が迫る中では、この挙動不審の仮想AIアサガヤシンが唯一の希望だった……。

 『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』『銀河漂流バイファム』『宇宙空母ギャラクティカ』『漂流艦隊シェラザード』の系譜の、とにかく敵勢力のど真ん中に取り残された艦が必死で味方の支配領域めざして逃走する物語。敵との決戦前に指揮官を失い、想定外の敗走で、敵の支配宙域に取り残された艦隊の生き残りが、過去から蘇った者に指揮されて窮地を脱するという序盤の構図なんかは『彷徨える艦隊』そのままです。しかし、この作品が他の作品と異なるのは、そこからAI視点の宇宙史観に立ち位置を変えてAIの不死性と消失を語ってみたり、仮想世界を配置した上での胡蝶の夢ともいえる自己存在の問いかけ、帝国の権力闘争にまで話を広げていくあたりでしょうか。
 AI規範に縛られないアサガヤシンは、帝国皇女ソハイーラ・ユリウス・メイローザと共にどこまで行くのでしょうか。

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「ヤキトリ」 カルロ・ゼン

2018-10-16 | ミリタリーSF・未来戦記
「他人ってやつは、期待すると裏切るし、信用すると裏切るし、警戒しても襲い掛かってくる」
 なれ合うと言うことは自分の死刑執行書類にサインするようなものだとアキラは思う。

 銀河文明と接触した地球の運命は、ヨーロッパ文明と接触したアフリカ大陸のようなもので、地球人類は国籍の区別なく全員、商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落とされていた。
 閉塞した日本社会から抜け出すため、アキラは商連の惑星軌道歩兵に志願するが、そこは通称ヤキトリ、作戦遂行時の死亡率が平均70%という正規部隊の露払いにして盾代わりの使い捨て部隊だった……。

 実験ユニットK‐321に配属されたアキラによる火星訓練所篇。
 もとの国籍はさまざまだけれど、ひとまとめにしたら誰もが属州民にすぎなくて、訓練所に入ってしまえばタダの新兵で、そのまま戦場に送られたら十中八九死んでしまう現実からはじまる新シリーズ。安上がりな庶民の食い物とされていたものが、いまや手の届かない高級品扱いという日々の物語。
 主人公がすれっからしなのが、返って救いになっている終末感いっぱいのミリタリーSFでした。

【ヤキトリ】【一銭五厘の軌道降下】【カルロ・ゼン】【so-bin】【ハヤカワ文庫JA】【戦争SF】【スリランカ語】【火星】【マクドナルド】【ヤキトリ】
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「ヤキトリ」 カルロ・ゼン

2018-09-22 | ミリタリーSF・未来戦記
 地球は銀河文明と接触した。
 しかし、技術レベルが極度に違う文明と接触した末路はだいたい似たり寄ったりで、今や地球は植民地以下の扱いで、地球人類が国籍の区別なく全員、商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落とされている。
 そんな停滞しきった地球からの脱出方法は、傭兵となるくらい。
 アキラは閉塞した日本社会から抜け出すため、商連の惑星軌道歩兵に志願したが、そこは通称ヤキトリと呼ばれ、作戦遂行時の死亡率が平均70%という世界だった……。

 なんのかのといっても、銀河文明は未開種族を弾よけくらいにしか考えてないよ……という世界での兵隊もの。こういう話だと、銀河文明は停滞しきっていて、地球人の荒々しいバイタリティが戦況をひっくり返すというのがパターンだけれど、そういう話にはなりにくそうなシチュエーション。
 ただ、ひたすらメシが不味そうで、たまにマクドナルドが罠を疑うくらいの大ご馳走というという話です。

【ヤキトリ】【一銭五厘の軌道降下】【カルロ・ゼン】【so-bin】【ハヤカワ文庫JA】【戦争SFシリーズ】【実験ユニット】【訓練施設】【マクドナルド】【戦闘糧食】【焼き鳥】
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「ヤキトリ2」 カルロ・ゼン

2018-08-26 | ミリタリーSF・未来戦記
「うまい話には、いつでも地雷か。糞の真理だ」

 銀河文明の一員に加わる代償に属州化され、隷属階級に落とされた地球でまともに食べていくのは難しい。そんな最底辺の星の最下層から抜け出すため惑星軌道歩兵に志願したアキラたちだったが、所詮はヤキトリと呼ばれる安価で即席(インスタント)かつ使い捨てのできる軍需備品扱いだ。
 そんなアキラたちの部隊K321が配備されたのは、属州惑星の1つバルカだった。安心安全の儀仗任務という触れ込みだったが、K321に与えられたのは重武装過ぎる実戦装備だった……。

 地球文明がどん底な状況で、孤立無援で戦場に放り出される平兵士たちの物語。

【ヤキトリ2】【Broken Toy Soldier】【カルロ・ゼン】【so-bin】【ハヤカワ文庫JA】【戦争SFシリーズ〈実戦篇〉】【大砲のハイジャック】【儀仗兵】【砲艦外交】【海兵隊】【軍事法廷】【マクドナルド】【焼き鳥】【法廷闘争】
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「女王陛下の航宙艦」 クリストファー・ナトール

2018-04-26 | ミリタリーSF・未来戦記
 人類は恒星間航行の技術を手に入れ、銀河世界へと進出してもなお、各国ごとに別れて勢力争いを繰り広げていた。
 イギリス航空軍の戦闘航空母艦〈アーク・ロイヤル〉は艦齢70年の老朽艦で、乗り込むのは島流し同然に送り込まれた70歳の老艦長や問題を起こした癖のある士官たち。しかし、そんなに〈アーク・ロイヤル〉に出撃命令がくだされた。しかも、今回の作戦には他国の艦艇も加わるという。
 覇権争いに明け暮れる各国が唯一合意した非常事態、異星人による侵略が始まったのだ……。

 この〈アーク・ロイヤル〉のオンボロ具合が、いかにも何十年も放置されていた老朽艦で、機関を制御するシステムも純正品は更新されていなくて、怪しげな中国製ソフトで無理矢理動かしているとか胡散臭さ満点です。癖がありすぎて、余所から新任の艦長とか連れてきてもちょっとやそっとでは動かせないというあたりがポイントです。

【女王陛下の航宙艦】【クリストファー・ナトール】【ハヤカワ文庫SF】
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「ガンズ・ハート」 鷹見一幸

2017-12-14 | ミリタリーSF・未来戦記
『本当の誇りとかプライドとかいうものは、金とか地位などというものとは別のものだということが、わからないのだ』
 カルタは上級士族の不良息子らのグループであるパッサーズを見限らざるをえなかった。

 ひょんなことから軍に入って百人隊長なってしまったケリン・ミルダモン。ところが彼が派遣されたのは、辺境配備の厄介者ばかりの部隊だった。
 もともと街の不良グループ「マイヤーズ」の総長だったことから、ケリンは荒くれ者を手なずけながら部隊の改革をしていくが、人間の天敵ともいうべき猛獣が突如大量発生し、周辺で猛威を振るい始めた……。

 銃は剣や弓とは違って、訓練しなくても、年寄りや女子供でもそれなりに使えてしまうところが長所でもあり欠点でもある……というところから始まる物語。

【ガンズ・ハート 硝煙の誇り】【鷹見一幸】【青色古都】【電撃文庫】【銃と硝煙の戦記】【スタンピード】【コスプレ】
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「宇宙戦艦ヤマト2202~愛の戦士たち~第二章」 監督:羽原信義

2017-07-14 | ミリタリーSF・未来戦記
 旧作では朝一で劇場に行列を作っていた世代です(徹夜にあらず)。「宇宙戦艦ヤマト」というコンテンツには、いろいろ期待して感動して失望して翻弄されました。青春の思い出であり、トラウマでした。
 2199では良い意味で予想が裏切られ、最後まで楽しませてもらいましたが、2202の方は「またかつてのように裏切られるのではないか」と、観に行きたい気持ち半分ながら、それを思うと吐きそうになるくらい……ああ、トラウマなんだなあと自嘲。

「バラン星のときと比べれば……」
 そりゃ、たいした苦労なんてないでしょうよ。

 ストーリー的には『さらば宇宙戦艦ヤマト』と『宇宙戦艦ヤマト2』の合わせ取りなので、これに福井節になるのか地球内部や対ガミラスの政治的かけひきを加えた結果、全体のテンポが悪くなり、辻褄合わせの結果として藤堂長官が単なる日和見主義の官僚になっちゃいました。「沖田の子供たちが征く……」としみじみ言ってますが、あんた最後まで自分じゃ何もしとらんでしょと言いたくなります。せめて空間騎兵隊を11番惑星ではなく地球から乗り込ませていれば良かったのにね。艦載機もちまちま合流するので、テンポが悪くて爽快感なし。なんだかなー。
 でも、波動艦隊構想と地球復興の謎も解けたし、『宇宙戦艦ヤマト2』より面白かったですよ。

 ツッコミどころとしては、あいかわらず防衛衛星は予算の無駄。固定砲台が移動目標に射程と威力で負けてたらいかんでしょう?、「機動戦艦ナデシコ」の防衛ラインくらいの守りは欲しいということ。
 それから、アンドロメダ級空母型の発艦機能。ヤマトという作品では、主役が海洋船舶型のデザインなので、あえて銀河系を水面になぞらえるように艦載機も水平方向に発艦していくのですが、アポロノームあたりはX型に垂直発射。ガトランティスの空母だって、わざわざ甲板を回転させて上下方向をきっちりさせて発進するのに! 銀河水面はあるのかないのか。
 設定が世界観を無視してデザイナーの独りよがりになっています。

【宇宙戦艦ヤマト2202~愛の戦士たち~】【第二章 発進篇】【羽原信義】【小林誠】【福井晴敏】【クリスマス】【断層】【アステロイドベルト】
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「帝国宇宙軍1」 佐藤大輔

2017-06-24 | ミリタリーSF・未来戦記
「国防とは『思想』ではなくプラグマティックな判断だけでおこなう『作業』なのだから」
 銀河帝国皇帝ジェーン一世の言葉。

 地球からの文明疎開船が高次元跳躍に失敗、生存のための統治システムとして銀河帝国を選択し建国してから700余年。哨戒中の帝国護衛艦〈ブルーベル〉は、古代ギリシア文明をモチーフとしている隣国のヘレネス統一体の艦艇から砲撃を受け、艦長が戦死するなどの損害を受けた。
 この星系は帝国領ではあったのだが、国威高揚のためにヘレネス統一体が自領と主張しており、相手方は〈ブルーベル〉が領宙侵犯したのだと主張し……。

 残念と言えば、こんな面白い話が序章の段階で絶筆になってしまったということだ。
 一方、不幸中の幸いと言えば、この話の続きはもう出ないと決まったので、あてもなく続刊を待ち続ける必要がないということだ。
 黙祷。
 この無責任ではないけれど、大雑把な銀河帝国の行く末をもう少し見守りたいものでした。

【帝国宇宙軍1】【領宙侵犯】【佐藤大輔】【Rey.Hori】【ハヤカワ文庫JA】【新シリーズ初巻にして最終刊】【ナノマシン】
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「宇宙軍士官学校12」 鷹見一幸

2017-06-18 | ミリタリーSF・未来戦記
「実力とは何か。それは、はっきり言ってしまえば他人の力だ。その者が危機に陥ったとき、その危機に駆けつけ、協力してくれる者の数、その数こそが実力だ」
 ケイローン軍第三緊急展開艦隊総司令官、デグル大将の言葉。

 〈粛正者〉の攻撃はとどまるところを知らず、太陽系防衛艦隊は司令部を失い、恵一もまた戦死してバックアップが戦場へと送り出される。現時点で敵艦隊は32000隻を超え、1発でも太陽に突入したらすべてが終わる恒星反応弾も5000発が確認されていた。
 地球の防衛網は、1枚また1枚と剥がれ始め、戦死者の数、撃沈される艦艇の数もとどまるところを知らなくなっていた……。

 地球を守る官民挙げて……というか、太陽系外からも増援がつぎ込まれた途上種族連合艦隊の総力戦も終盤です。何重もの防衛網、太陽系規模の一大土木プロジェクト、そのすべてが少しずつ食い破られていき、その穴が埋まる、また破られるの繰り返し。まさに地球防衛最終巻にふさわしい一大攻防戦でした。

【宇宙軍士官学校】【前哨(スカウト)12】【鷹見一幸】【太田垣康男】【銅大】【ハヤカワ文庫JA】【戦争SF】【女の子の愛の力は無限大だからね】【悪いオトナは、諦めないのだ】【じじいに新しいことやらせんな】
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「勅命臨時大使、就任!」 マイク・シェパード

2017-03-10 | ミリタリーSF・未来戦記
「この世に防水仕様の機械はあっても、防水夫仕様の機械はない」
 ベニ兵曹長の父親の教え。言うこと聞かない機械は壊してしまえと。

 辺境星域の調査をしていたワスプ号が遭遇したのは、交戦中のイティーチ族とグリーンフェルドの宇宙船だった。
 どちらも今は休戦状態とはいえ、惑星連合の仇敵である国家。しかも、異星人のイティーチ族は厳格な身分制度に裏打ちされた戦闘民族で、人類とは滅亡寸前まで戦った相手。可能な限り戦闘は回避したい。
 ところがクリスの秘書AIネリーは、先手必勝こそ最善の方法と、船の管制を乗っ取って攻撃しようと言い出した……。

「わたしのやり方はこうよ。問題にぶつかったら、わたしかその問題が血を流して倒れるまで徹底的に殴りあう」
 それがクリス・ロングナイフのやり方。

 ありのまま起こった事を話すぜ! 辺境でついこの前まで殲滅戦を繰り広げていた異星文明と接触したと思ったら、いつの間にかテキサスコロニーでカウガールになっていた。な、何を言っているのか分からねーと思うが、おれもどうしてこうなったか分からなかった……みたいな7冊目。
 戦闘要員から科学者、法律顧問まで搭載して未知の星域を進む光景は、まるでスタートレックの世界ですね。転送装置はないし、イティーチ族は目は4つで足は4本だけれども。そして、知識はたっぷりのAIが半端にユーモアを身につけ、人格が変わり始めてタイヘン……という感じかな。
 そして、あいかわらず表紙イラストでは豊かな胸を披露していますが、別に体型が変わったわけではなく、「胸じゃなくて壁」とまで言われてますので、またいつもの様にプラスチック爆弾か何かで補正しているんじやないかと思います。

【勅命臨時大使、就任!】【海軍士官クリス・ロングナイフ】【マイク・シェパード】【エナミカツミ】【ハヤカワ文庫SF】【熱血戦争SF】【旧式コンピュータ】【バッチグー】
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「宇宙戦艦ヤマト2202~愛の戦士たち~第一章」 監督:羽原信義

2017-03-04 | ミリタリーSF・未来戦記
 公開日の2月25日に長男連れて名古屋のミッドランドスクエアシネマ2へ。こっちも2か。
 夕方17時55分の回は満席。ちらほら小学生連れの家族もいるし、高校生大学生らしき姿もあるけれど、全体的にはなんとなく敬老会の映画鑑賞会みたいな客層で、平均年齢は50歳くらいかも。40以下ということはないね。

 時に西暦2202年。
 宇宙戦艦ヤマトがイスカンダルへの大航海で持ち帰った〈コスモリバース・システム〉により、地球は復興への道を歩み始めていたが、一方では同盟国となったガミラス帝国と共にガトランティス帝国との戦いに加わっていた。
 まだ大都市周辺には荒地が残る中、地球は軍拡への道を歩み始めていたのだ。波動砲を封印するというイスカンダルとの約束すら反故にして……。

 オリジナル版のストーリーの骨格は変えず、ただ今から見ると不具合な設定やストーリー上の矛盾を辻褄合わせてテンポ良くブラッシュアップした2199と比較しちゃうと、いろいろアラの多さとテンポの悪さが気になる出来映えです。
 まず、前作の「宇宙戦艦ヤマト2199」や「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」とか前作をきちんと見てないというか、設定を引き継ぐ気がないよね? ガミラス高官の前で芹沢参謀長がガミラスにとって信仰の対象ですらあるイスカンダルとの条約を単なる「口約束」と切って捨てちゃう気の使わなさとか、7割の確率で回避できるとされていた火炎直撃砲に鰯の群みたいに突っ込んだあげく艦隊壊滅とか頭悪すぎ。戦艦にでっかい盾をつける絵面を優先したのかもしれないけど、艦隊戦のレベルが2199の1話より後退してるってのは悲しいよね。
 それから現スタッフの見せたい絵、カッコイイと思うシーンを優先にしすぎて、ストーリーや設定の穴を埋めるどころか大きくしている気がします。たとえば単艦で突撃して活躍する〈ゆうなぎ〉、設定を見たら「スコードロン・リーダー」とあるのを見てびっくり。戦隊指揮艦だか小艦隊旗艦というなら独行艦になってちゃいかんだろ? 黒メガネが銃を振りかざしての追跡劇とか、場面としては緊迫感があるけれどあそこで隠れん坊する必然性があるのかとかよく分からない。そのシーンだけ見ているとカッコイイとか面白いとかあるんだけれど、そこに持っていくまでの流れが粗いので、全体としてみるとチグハグ感が残ります。2199だと、土方とか山南とか後にベテラン艦長、名艦長として登場してくるキャラの影も形もないのはおかしいと脇で配置して彩りつけてましたが、そういう細かい仕事が足りません。
 『さらば宇宙戦艦ヤマト』とか『宇宙戦艦ヤマト2』とか好きだし面白くはあったのだけれど、当時から「こんなきっかけで主人公たちが動くのおかしいよね」「これは少し単純すぎない?」「もっとやりようはあるよね」とか不満点も多く、そこを手直しするどころか放置したまま、それらしい説明もつけないままツッコミ所だけ増やしていくというのは、それはそれでヤマトらしくはありますけどね……。
 ヤマト2の平面甲板空母デザインでいいじゃない? なぜ急に三次元を意識するかな……のアンドロメダ級航宙母艦の三番艦〈アポロノーム〉ですが、他はアンドロメダ、アルデバラン、アキレス、アンタレスとすべてAで始まる天文用語です。けれど、アポロノームだけは違うんですね。語源不明。正確には、小沢さとるの海洋冒険マンガ「サブマリン707」に登場する超巨大潜水空母アポロノームより先行例が見当たらず、そのアポロノームというのは乗っ取られて敵になる艦の名前で、つまり客船にタイタニックとつけるくらい縁起の悪い名前なのです。やめときゃいいのに。もしくはそれにインスパイアしたストーリーにすればいいのに。

 仲間内では「星巡る方舟」での太鼓ドンドコなガトランティスの野蛮性がウケていたけれど、ああいう中華系大帝国ならではのごった煮感が好きだったので残念。もともと彗星帝国はアメリカ軍を意識したキャラクターと、本拠地が放浪しながらあちこち荒らし回る蛮族感がミスマッチだったのだけれど、そのどっちつかず感もさらに拡大しちゃったかな。
 『宇宙戦艦ヤマト2』、誰かリメイクしないかなあ。(2019/10/30改稿)

【宇宙戦艦ヤマト2202~愛の戦士たち~】【第一章 嚆矢篇】【羽原信義】【小林誠】【福井晴敏】【湖川あおり】
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「ローグ・ワン」 監督:ギャレス・エドワーズ

2017-02-04 | ミリタリーSF・未来戦記
「われはフォースと共にあり」

 共和国が帝国と化してから20年近くが経過していた。
 弱体化していても元老院はいまだ存在していたし、反乱軍の抵抗も続いていたが、帝国軍の巨大要塞デス・スター完成も間近となり、これが稼働してしまえば帝国の支配はもはや揺るがないものになると思われた。
 誰もが諦め、反乱軍が空中分解するかと思われていたそのとき、デス・スターの設計図が保管されている、惑星スカリフの機密データ保管庫を目指して1隻の宇宙船が離脱した……。

 小説ではいろいろ出ていたけれど、映画としては初になるスターウォーズ・シリーズのスピンオフ作品で、エピソード4『スターウォーズ 新たなる希望』が始まる10分前までの物語。本編がいわばフォースを駆使する善悪ヒーローたちの親と子、師匠と弟子たちの英雄譚なのに対し、こちらは普通の人間に過ぎない、ジェダイの騎士でもなんでもない戦士たちの戦いの記録です。「機動戦士Zガンダム」と「MSイグルー」くらい雰囲気が違います。
 舞台が二転三転してスピーディーに展開するので、1つ1つのエピソードの印象は薄め。つまらないというのではなく、あっという間にストーリーが流れていくので、最後に残るのはキャラクターのインパクトだけ……という清く正しい宇宙戦争(スターウォーズ)。そして、エピソード4で「なんであんな方法で情報を運んでいたんだ?」とか「どうして巨大要塞にあんな弱点があるのに誰も気づかなかったのか?」とかいう突っ込みどころへの回答編
 女戦士ジン・アーソはかっこいいキャラだったけれど、一番印象に残ったのは盲目の戦士チアルート・イムウェ(ベイズ付)の無双っぷり、次がドロイドのK-2SO。日本人のいかにも好きそうなロボット・キャラではないかしら。

【ローグ・ワン】【スターウォーズ ・ストーリー】【ギャレス・エドワーズ】【フェリシティ・ジョーンズ】【フォレスト・ウィテカー】【ドニー・イェン】【触手】【死して屍拾う者なし】【一石二鳥】



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「Z0096」 峰川弘行

2017-01-11 | ミリタリーSF・未来戦記
 昔、「Postal☆Tale」というPBM同人誌があり、そこでトータル100ン本運営されていたゲームのうち、きちんと面白いまま完結し、しかも参加しなかった者が今リアクションを読んでも面白く、総頁数もほどほど……という条件にかなって書籍化されたもの。
 他にも人気作品はいくらでもあったけれど、今あらためて読むとリストやプレイヤー同士のやりとりまで収録しないと意味が分からないとか、文章が粗くて手直しが必要とかいろいろ問題があって、該当するものがこの1作だけというあたり、ゲームは水物だなあと思いました。ライブでの疾走感が大きいのですね。

「そうです。これまでのパターンから推察すれば、ティターンズは遅くとも12時間以内にこのサイド6に攻め込みます」

 一年戦争の際に生じたサイド6と連邦政府間の亀裂は戦争終結後も埋まらなかった。
 地球連邦政府とティターンズによる、あからさまな恫喝にも関わらず、サイド6市民は自治権拡大を求めてやまなかったが、同時に連邦市民とマスコミも悪役としてのスペースノイドを求めていたのだ。
 そして宇宙世紀0096年。ティターンズは遂にサイド6懲罰作戦を開始した。オペレーション・ピースキーパー、すなわち〝平和の守護者〟作戦である。
 迎え撃つサイド6は第1艦隊のみを予備兵力として本土宙域に待機させ、残る第2から第4艦隊を暗礁宙域へと送り込んでいた。しかし、戦闘艦艇の3割はムサイ級、7割はサラミス級で、すべて一年戦争に参加した老朽艦である。モビルスーツは国産のディアスだが、その設計のベースとなったのはリック・ドムだった。その戦闘力は、高く見積もってもゲルググ程度でしかなく、ティターンズの最新鋭機には及ぶべくもなかった……。

 アニメ「機動戦士ガンダム劇場版」三部作、「ポケットの中の戦争」、「STARDUST MEMORY」のみを正史とし、当時既に発表されていた「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「逆襲のシャア」についてはフレーバーにとどめたり、大胆な解釈変更を加えたりするなどして、ミリタリー的にらしさを追求したリスペクトと思い入れの塊。
 100名前後のプレイヤーがモブキャラとして参加し、運良く最後まで生き残り、うまくストーリーにキャラクターがはまった者が主役……かな?というゲーム企画でした。アニメのつもりで参加していてクワトロ・バジーナの正体に、あれがバジーナなの!?とか驚くのも楽しみのうち。ちゃんと作品内での整合性はとれてます。あとはGガンダムもちらほらと。
 本文そのものは今でも「郵便遊技資料編纂室」で読めますが、書籍版が欲しい方は秘密財団ODAの援助がありますのでお問い合わせ下さい。

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