付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「マツリカ・マジョルカ」 相沢沙呼

2012-12-31 | 学園小説(ミステリ)
 高校に入っても今ひとつクラスに馴染めなかった柴山が偶然知り合ったのは、学校近くの廃ビルに住み込んでいるという謎の少女マツリカ。
 彼女に弱みを握られ、また不得手な勉強を教えてくれることを交換条件に、使い走りとなった柴山の最初の仕事は、放課後の校舎裏に出没するという原始人の調査だった……。

 学校にも行かないで学校の怪談を調べて回る少女と、彼女の犬になった少年のミステリー。それにカメラ少女が少々。
 前作『午前零時のサンドリヨン』より好きだし面白いと思うけれど、謎は解かれるけれど事件は解決しません。なるたま君が後始末しない「子ひつじは迷わない」、あるいはひかげが動かない「生徒会探偵キリカ」みたいな話です。
 謎解きと事件解決は別物なんですね。そういう比較をする意味でも、この3冊は平行して読みたいですね。

【マツリカ・マジョルカ】【Matsulica Majorca】【相沢沙呼】【moka】【角川書店】【学校の怪談】【原始人】【手すり女】【肝試し】【ゴキブリ男】【文化祭】【メイド喫茶】【卒業式】
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「生徒会探偵キリカ(3)」 杉井光

2012-10-26 | 学園小説(ミステリ)
 ついに夏休み。
 といっても生徒会の面々は、生徒会室で執務に励む日々で、なんやかやと舞い込むトラブルもいつも以上。
 カンニング疑惑の捜査で風紀委員長が暴走気味と揶揄される中、生徒会探偵のもとに、カンニングに使われたと思しきプログラムの作成者を突き止めて欲しいという極秘の依頼が舞い込み……。

 巨大学園の生徒会で会計をしているキリカの探偵物語。
 学校を舞台としている日常系ミステリとして、今いちばんのおすすめ。対抗馬だった「子羊…」はちょっと「学校を舞台とした日常系ミステリ」の範疇から外れちゃったよね。
 主人公がたんに、“周囲の女子からモテモテなのに鈍感さからスルーしちゃってる、ちょっと良いやつ”ではなく、案外と黒いってあたりが指摘されて、ますます面白くなりました。

【生徒会探偵キリカ】【杉井光】【ぽんかん⑧】【講談社ラノベ文庫】【ハイテンション学園ラブコメ・ミステリ】【スクール水着】【水泳対決】
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「子ひつじは迷わない~贈るひつじが6ぴき」 玩具堂

2012-09-19 | 学園小説(ミステリ)
 この巻でとりあえず一区切りとかいうことで、巻末に作者による既刊解説がついてます。ちょろっと。

「後悔もできない死なんてくそ喰らえよ。悔恨こそが生きた証でしょう」
 理由のない死は許されないと葉村倉子の言葉。

 クリスマスも間近という時機に「迷わない子ひつじの会」に持ち込まれた依頼は、家族親戚が集まる山荘に代理で行って欲しいというもの。
 しかし好事魔多し。
 山荘は吹雪に閉ざされ、“なるたま”たちは密室殺人の謎を解かねばならなくなる……。

 日常系学園ミステリの最新刊は雪の山荘で密室殺人に挑むというもの。この巻で一区切りということですが、この生徒会有志による「迷わない子ひつじの会」による探偵物語はしっかり愉しませてもらいました。
 しかし、お風呂シーンのイラストは湯気がひどくて残念でした。ブルーレイ版を買うときれいになってますか?

【子ひつじは迷わない】【贈るひつじが6ぴき】【玩具堂】【籠目】【角川スニーカー文庫】【雪の山荘】【学園の人喰い大統領】【探偵!ナイトスクープ】【密室殺人】【ロールプレイング推理】
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「“末摘花 ”~ヒカルが地球にいたころ……(5)」 野村美月

2012-09-17 | 学園小説(ミステリ)
「気づくことが進歩だよ。失敗したと思ったらやり直せばいい」
 生きているならやり直しはできるとヒカル。

 ヒカルの次なる心残りの女性は“サフラン”。ネット上で知り合っただけで、名前も歳も容姿も知らないというのだが、是光はそれどころではなく、紫織子や帆夏とプールに行くはめになったり、さらには他の女性陣とも次々に遭遇し……。

 本人はともかく周囲から見れば「是光ハーレム」ですね。でも、末摘花の姿に反射的に可愛いと断言し、流れるように賛美の言葉を垂れ流すヒカルには勝てませんが。
 みんな幸せになって終わって欲しいなあ……。

【末摘花】【ヒカルが地球にいたころ……】【野村美月】【竹岡美穂】【ファミ通文庫】【学園ロマンス】【ロリ疑惑】【サンタクロース】【ツチノコ】【パンダのプリント】【夜のプール】【目つき悪い主人公】
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「月光」 間宮夏生

2012-09-01 | 学園小説(ミステリ)
「様々な生き方を自分の意思で選べると人は言うが、俺からすればそんなの素敵な勘違いだ。何せ俺は今の生き方しか選べなかった」
 違う生き方を選ぶと言うことは、今の自分を捨てて違う人間になることだと虎南。

 面白いけれど、狭かった。
 バイト先の凶暴なお姉さんも、食えない軽薄そうな刑事も、まっすぐで明るい同級生も登場し、時にストーリーに深く関わりそうになるけれど、結局は主人公である野々村と謎多きクラスのアイドル・月森葉子の会話劇に回帰して、そこで完結してしまう。
 いちばん面白い2人の会話のかけひき以外は、(事件の真相も含めて)すっぱり切り落とす豪快さが魅力な作品でした。

【月光】【間宮夏生】【白味噌】【遺書】【殺人レシピ】
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「ふたりの距離の概算」 米澤穂信

2012-07-25 | 学園小説(ミステリ)
 無駄な努力はしたくない省エネタイプの主人公が身近な謎を解いていく、古典部シリーズの第5作。

『回避は好きだし省略は大好きだ。しかし先延ばしは好きではない。厄介事を見て見ぬふりをしても、いずれやらねばならない処理がより厄介になるだけだ……』
 うちの子供にも言い聞かせたい、折木奉太郎の判断基準。

 古典部にも1年生が入部した。
 仮入部ではあったけれど、このままうまくいきそうだったのに、あるとき突然に入部しないと言い出した……。

 表紙はいつもの写真加工版とアニメ版のリバーシブルで、最初から買っていた人もアニメ化に合わせて読み始めた人にも優しい表紙です。謎のおねえさんも帰宅。ストーリーにまったく貢献しない名探偵ぶりを披露してくれます。それ、どうして解ったんですか?
 ほぼマラソン大会の中だけの話で、それまでの経緯はすべて回想。珍しく積極的だなと思ったけれど、最後の突き放しぶりはさすがは省エネ男と感心。

【ふたりの距離の概算】【米澤穂信】【西屋太志】【角川文庫】【古典部】【目からビーム】【朔太郎】【誕生会】
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「子ひつじは迷わない~騒ぐひつじが5ひき」 玩具堂

2012-05-28 | 学園小説(ミステリ)
「(戦国時代に発生した)男同士の関係は、もはや戦いの一部。女性を護り庇うための『戦い』でございます。この夏、赤と黒のエクスタシーでございます。古き良き日本男児の心意気でございます」
 ならば大和撫子がそれを見守るのは義務なのだと宮野先輩の言葉。

 またまた会長の独断で生徒会執行部も文化祭に出店することに。
 それが“ひつじ”ならぬ“しつじ”喫茶なのはいいけれど、なぜか“なるたま”こと成田真一郎は執事服ではなくメイド服を着る羽目に陥り……。

 1冊丸ごと文化祭の話。正確には準備期間から1日目の終わりまで。次巻は2日目になるかというと、小旅行篇になりそうだけれども。
 文化祭で大わらわの中で、しっかり相談業務をおこなう「迷わない子ひつじの会」。小説の中に登場する伝説の必殺剣の正体を調べろとか、『 々人事件』なる奇妙な同人小説を読み解けとか、あいかわらずの事件に加えて貴腐人的発言ありの5冊目。
 悩み相談の本質で悩む会長に、すっぱり割り切るなるたまが格好良いです。こういう言動を繰り返していくと、へんたいハーレムになっちゃいそうですよ?

【子ひつじは迷わない】【騒ぐひつじが5ひき】【玩具堂】【籠目】【角川スニーカー文庫】【毒舌ツンダラ名探偵】【文化祭】【天と地と】
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「“朧月夜 ”~ヒカルが地球にいたころ……(4)」 野村美月

2012-05-17 | 学園小説(ミステリ)
 夭逝した希代のプレイボーイ、ヒカルの心残りを晴らして成仏させようと、遺された彼の恋人たちの後始末に奔走する是光だが、驚天動地の“葵”の申し出があり、式部帆夏の思わぬ告白もあり、是光までもがヒカルに影響されてきたのかという昨今、まだ小学4年生ながら“紫”こと紫織子の言動も怪しい。
 そんな是光の前に姿を現したのは、日舞研の月夜子。
「蜘蛛が月を隠したら、あの女が、現れる」
 そんな月夜子が是光にした頼みとは……。

 正体不明の相手から嫌がらせを受ける葵。葵を溺愛している頭条や朝衣会長は怒り心頭に達し、そのしわ寄せが是光に来ます。そして、兄嫁の“朧月夜”の登場。もちろん、その“兄”の一朱も登場し、頭条や朝衣の動きにも大きな変化が生じます。
 それぞれのキャラクターの役回りがやっと読み解けてきたような気がして、話がますます面白くなってきました。

【朧月夜】【ヒカルが地球にいたころ……】【野村美月】【竹岡美穂】【ファミ通文庫】【学園ロマンス】【日舞研】【花宴】【お兄ちゃん】【目つき悪い主人公】
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「生徒会探偵キリカ(2)」 杉井光

2012-04-25 | 学園小説(ミステリ)
「探偵は、人を不幸にすることしかできないの」
 探偵が探らなくちゃいけない真実は、誰かが隠したものだからと聖橋キリカ。

 生徒総数8000人の白樹台学園だから文化祭も巨大なものとなり、だから当然のように文化祭実行委員会も1年中活動することになり、その権限も大きなものとなる。
 その結果、文実の委員長選挙は、生徒会長、中央議会議長、監査委員長の代理戦争と化していて……。

 生徒会の書記にして探偵のキリカと人呼んで“詐欺師”のひかげくんの、学園探偵ストーリーの第2弾。いきなりパターンを崩して、中学1年生の神林薫の登場や委員長選挙を絡めて、生徒会で活躍する探偵の話ではなく、探偵の活躍する生徒会の話にシフトしています。
 総務生徒会長こと天王寺狐徹の屈折したラスボスぶりも次第に明らかになり、ますます先が楽しみになってきました。

【生徒会探偵キリカ】【杉井光】【ぽんかん⑧】【講談社ラノベ文庫】【ラブ】【教科書詐欺】【うさみみリボン】【文化祭プロデュース】
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「“若紫”~ヒカルが地球にいたころ……(3)」 野村美月

2012-01-01 | 学園小説(ミステリ)
「年を経るに従って、去るものが多くなりますが、来るものもあります。それを大事にしてゆければと思うのですよ」
 若木朋彦の言葉。

 周囲からは怨霊より怖いヤンキーとか言われている赤城だが、幽霊となっているヒカルの頼みを断り切れず、彼が遺してきたガールフレンドたちの後始末をして回っている。
 ところが、今度の“女”は若紫。
 詐欺まがいの手段で大人の男から金を巻き上げているような小学4年生だった……。

 光源氏が早く死に過ぎた源氏物語の現代版……のような青春小説。短編『斎賀朝衣の休日 または 近江ひいなのつぶやき』も収録。
 カラオケボックスに赤城を誘い、ちょっとエッチな写真集を一緒に見ようという帆夏が可愛いよね。野村美月の書く女の子は可愛いなあ。 

【“若紫”】【ヒカルが地球にいたころ……】【野村美月】【竹岡美穂】【ロリヤン】【踏まれたい足】
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「生徒会探偵キリカ(1)」 杉井光

2011-12-18 | 学園小説(ミステリ)
「必要なだけのお金が、必要なときに、必要な場所にあることが幸せということ。それ以上の幸せは心の中にしかない」
 キリカの母の言葉。ひとことでいうと「幸せってお金のこと」なんだそうな。

 なにを間違ったか、中高一貫の巨大学園「白樹台学園」に高等部から編入してしまった牧村ひかげ。勝手が分からずクラスでも浮きまくっていた彼は、生徒会長の天王寺狐徹に強引にスカウトされて庶務を務めることに。
 庶務の仕事とは、雑用で、使いっ走りで、会計の少女・聖橋キリカのもう1つの仕事の助手を務めることだった……。

 生徒数8000人、年間の生徒会予算が8億円という、破天荒にならないギリギリの巨大学園もの。面白い。超巨大学園でも、校内に電車は走っていないし、戦車も潜水艦も持っていないし、警察・司法権もありません。
 そんな学校の生徒会を主役にした、日常の謎+学園小説。タイプとしては『子ひつじは迷わない』と同じかな。単に生徒会メンバーで謎を解くということではなく、少女が謎を解くけれど、謎を解くだけでは事件は解決せず、凡庸な少年が詐欺まがいに収拾をつけるという構図が同じということ。単なる名探偵+助手(または記録者)ではないところが面白いですよね。二段構えのミステリ。
 巨大学園の生徒会ものとしては、誇大妄想気味だけれど、それを達成しかねない天才肌の生徒会長を中心にした物語で、異能バトルにならなかった『めだかボックス』といえないこともないかな。なんにせよ、登場人物それぞれの物語の中での役割がきちんとしていて、読んでいて心地良いです。

 ところで、生徒会長といえば時代劇なら殿さま、現代日本なら総理大臣とか社長。有能な者もいるかもしれないけれど、現実世界をみていれば実力ではなく派閥の年功序列とか家柄でなっちゃったとか、人柄は良いけど無能とか、いくらでもいるわけです。それを思うと物語の生徒会長って、主役かライバルか脇役かにかかわらず、有能だけれど人格に難ありというパターンが鉄壁すぎてつまらんなあと思います。

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「子ひつじは迷わない~うつるひつじが4ひき」 玩具堂

2011-11-15 | 学園小説(ミステリ)
「たとえ罵倒であっても、正しい認識の下に返ってきた反応は己を知るための鏡になります」
 理解されることと好き嫌いは別の問題だと寄絃芳花(よつらほうか)。

 人里離れた山荘に、資料生徒のアルバイトにやってきた生徒会一行だったが、その山荘は「万鏡館」という名前に反して、鏡の1枚もなく、姿を映すような鏡も湯船もない。
 そして屋敷の主であり、平安時代に遡る旧家の当主でもある少女は、まだ中学生の美少女だった。
 その少女、寄絃芳花は成田真一郎の考えを、彼が口に出す前に寸分の違いもなく当ててみせる。彼の表情は読みやすいと……。

 今まで短編で続いてきた話がここに来て1冊の長編ストーリーで、投影による自己認識の物語。面白い。江戸川乱歩か綾辻行人かと思わせる出だしから、雰囲気を壊さないぎりぎりのところで日常系ミステリに踏みとどまってます。これで正解。

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「仮面教師SJ(2)」 麻城ゆう

2011-10-18 | 学園小説(ミステリ)
 教育機構監査局の潜入教師となった笹蔵十蔵は、新たな赴任地である螺杯ドリンク総合学園で顔なじみと出会ってしまう。かつての教え子と同僚。前任地を自ら廃校に追い込んでいるので、居場所を失った生徒や教師とどこかで出会う可能性は0ではないのだが……。

 今回はカクテル教室の講師。必要な知識を驚異的な記憶力によって付け焼き刃で詰め込んで、ドラマ『特捜司法官』のような潜入任務をしろと送り込まれたクラクラ先生の命運はいかに?
 1巻の出だしではどう転ぶのか不安だったけれど、もうすっかり安心して読める流れができています。毎回のシチュエーションのバリエーションとお約束パターンがかみあって良い感じです。女の子の行動力は怖いなー。
 そして後日談を絡めた短編が1つ。

 知識を詰め込んでシロウトをプロにしてしまうというのは『ジョー90』、学校に潜入捜査というと『スケバン刑事』だけれど、教師として潜入するのは『バイオニック・ジェミー』とかのアメリカドラマにそういうエピソードがあった気がするな……と「潜入教師」でググってみたら、どこまでいってもエロDVDばかり……役に立たんな……。

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「“夕顔”~ヒカルが地球にいたころ……(2)」 野村美月

2011-09-05 | 学園小説(ミステリ)
 源氏物語をモチーフに、幽霊となってしまったプレイボーイに頼まれるまま、後に残された少女たちを助けて回るはめになった嫌われ者の少年の物語は第2巻。光源氏の死から始まるので54巻は続かないと思うけれど……。

 ヒカルの次なる心残りは夕雨のことだった。
 学校での苛めと両親の不和から引き篭もりになってしまった夕雨は、オンボロアパートに1人で住んでいる。そんな少女とヒカルがした約束を果たそうと訪ねた赤城是光だったが、ヒカルは彼に約束の内容を伝えようとはせず……。

 頭中将の登場篇。ヒカルの死の謎や周囲の状況も少しずつ明らかになっていきますが、全体的にはまだまだ。悪人顔の赤城一家も登場しません。
 プレイボーイの幽霊と不良(に間違われやすい)少年のバディものミステリ。ヒカルの頼みを聞けば聞くほど、周囲から怪しいと思われていく是光。まだ生きている彼こそ、最後までには報われて欲しいと思います。

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「まもなく電車が出現します」 似鳥鶏

2011-06-12 | 学園小説(ミステリ)
 最近多い日常系ミステリの中でもイチオシの、「にわか高校生探偵団」こと美術部の葉山くんシリーズの新刊は、『理由あって冬に出る』の直後から始まる短編集。
 誰も入れないはずの部屋に鉄道ジオラマを設置したのは誰か、シチュー皿にジャガイモが入っていなかったのはなぜかなど、高校生が出会う日常の謎の数々を、美術部の葉山くんや演劇部の柳瀬さん、そして文芸部の伊神さんたちが解決していく話。
 部室争奪戦は学園ものの定番だし、恋のさや当てとかばっちりだけれど、さすがに今回の葉山くんに彼女ができる話は痛いなあ……

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