「推しが俺を好きかもしれない」 川田戯曲

　夜宮光助はネットで人気の音楽ユニット『満月の夜に咲きたい』のボーカル・U-Ka(ユーカ)を好きすぎて、ブログで思いっきり熱い投稿を綴っては悦に入ってる高校１年生。そんな光助がU-Kaの初めての顔出し配信を視聴して愕然とした。そこで歌声を披露していたのは、クラスメイトの花房憂花だったのだ。
　しかし、現実のU-Kaは性格を取り繕っていて、性悪で、腹黒で、自分が可愛いことを鼻にかけていた……。

　誰でも良いところと悪いところがあって、それを好きすぎる推しがリアルで隣の席に座っている陰キャが言い様に弄ばれているうちに、それはそれこれはこれと割り切っていたはずの２人の関係が変わっていく物語。
　ちゃんとそれぞれの内面の変化が描かれていくので、この最初のギスギスした雰囲気がドロ甘に変わっていくのに説得力があって愉しいのです。

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「ネトゲの嫁が人気アイドルだった １」 あボーン

「ネトゲで結婚しているのだから、リアルでも夫婦に決まってるでしょ？」
「やだ自分の妹が何を言ってるか分かんない」
　凛香の主張は姉の香澄にも理解できない。

　友達がさほど多くなく、クラスでも余り目立たない高校生、綾小路和斗の楽しみはネットゲーム。
　そんな彼にも嫁がいる。ネトゲ廃人と自認するほどやり込んでいるＭＭＯ「黒い平原」の中での話だが、４年以上つるんでいる親しいプレイヤーと結婚したとシステム登録してアイテムと称号確保しているのだ。その彼の結婚相手のリンとチャットしているときに、彼のもう１つの趣味がアイドルだと白状すると、イチオシのアイドルを訊かれ、素直にスター☆まいんず、その中でも水樹凛香の推しだと答えてしまったのだ。
　返ってきた反応は、『私、水樹凛香』。
　同じ学校の同じクラスにいる、『男嫌い』と噂される同じクラスのアイドルがリンとは信じられないカズだったが、『２年３組。担任は佐藤先生。私が座っている席は窓際から２番目の列、最前席』とさらなる追加情報が。
　そして、「これからは、リアルでも一緒に居られるわね」と、現実でも嫁として振る舞い始めるのだが……。

　「ネトゲの嫁」と言ったら『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った？』が真っ先に名前が挙がるけど、中年男女が主人公だと転生したら若返って前回の経験から巧くやって幸せになるように、高校生あたりが主人公だとゲームが強かったりやり込んでいることで異世界でも強かったり現実世界で彼女ができたりするのは普通なのだ。特別な事をしなくても幸運が転がり込むのは基本です。
　ただ、誰もがうらやむ可愛い現役アイドルが彼女になるのはいいけれど、リアルを知らないままに育まれる愛こそ至高！みたいに思われ、粘着されるのはヤンデレみたいでちょっと怖いかも。一歩間違うとスティーブン・キングの『ミザリー』とかになりかねません。コメディで良かった……。

【ネトゲの嫁が人気アイドルだった １～クール系の彼女は現実でも嫁のつもりでいる～】【あボーン】【館田ダン】【オーバーラップ文庫】【クールだけど愛が重い『嫁』と過ごす、悶絶必至の青春ラブコメディ】

「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」 七斗七

　清楚系お嬢さまVTuberとしてデビューした泡雪だったが人気は今ひとつ。ところが、ある日、配信を切り忘れて酒盛りを始めてしまったことから素の性格が全世界に露見し、SNSのトレンド一位となって一躍脚光を浴びてしまう。しらふになって真っ青になってしまった淡雪には、もはやストゼロなしに配信する勇気はなかった。「ストゼロと結婚した女」の誕生である……。

　一切脳のフィルター通さずに喋りまくる、元清楚系アイドルの物語。
　ここ数年、YouTuber、Ｖtuberものが一気に増えたのだけれど、配信メインの話になるとバーチャルＲＰＧのスローライフものと同じで、ただ日々の話が流れるだけで起伏にかけがち。けれど、いちばん熱いジャンルかも知れません。女性ばかりが人気を集めがちな業界に30過ぎた男がデビューしてみたり、Ｖtuberの中身が本当に魔王だったり妖怪だったり吸血鬼だったりダンジョンマスターだったりとバリエーションはさまざま。Ｖtuber本人ではなく、周囲の家族やスタッフというパターンもありますね。個人的には、主人公と周囲の人々、そしてリスナーとの交流が１つのドラマに帰結する「現代にＴＳ転生したけど馴染めないから旅に出た」、タイトルそのままの逆行ＴＳ転生Ｖtuberもの「逆行転生したおじさん、性別も逆転したけどバーチャルYouTuberの親分をめざす！」あたりが好きで、他人にチューバーものを勧めるときは、この３作品をまず挙げてましたが、まさかこれが真っ先にファンタジア文庫で書籍化するとは思いませんでした。面白いけれど本当に汚い主人公の勢いだけで突っ走っている作品なので、確かにこの手のジャンルの切り込み隊長としては適役かもしれません。商標がらみで書籍化は難しいかと思っていたけど、ストゼロはストゼロという名前の飲み物でした。
　本の作りも、ネットの投稿が縦書きになってしまったのは仕方がないとして、モニター画面風の表紙イラスト、TwitterやYouTubeで作品そのままのプロモを配信するなど売り手は本気です。

　Ｖtuberものはあちこちの小説投稿サイトでいろんな作家が書いていますが、読むならハーメルンイチオシ。投げ銭とか本当にそれっぽい画面を小説として体験できるので、単に小説を読む以上に楽しめるものがあります。

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「ホラー女優が天才子役に転生しました２」 鉄箱

　「妖精の匣」の放送が始まった。評判は上々。視聴率もうなぎ登りだ。
　そうなるとメインを務める４人の少女たちにも注目が集まってくる。良い意味でも悪い意味でも……。

　撮影が進む中、少女たちの内面にどす黒いものが浮かび上がり始めます。こんな演技で良いのか、あんな演技ができるあの子が憎い妬ましい、自分は良い子でなければいけない……そんな心の闇が芝居を通じて１つ１つ解決されていく、少女たちがわきわきゃしている演劇ストーリー。

【ホラー女優が天才子役に転生しました２～今度こそハリウッドを目指します！～】【鉄箱】【きのこ姫】【ガガガ文庫】【この、おそるべき５歳!!】【未来転生型サクセスストーリー】【小説家になろう】【エクソシスト】【ポッキー】

「コスプレ温泉」 吉岡平

 そげな銀行は国営化され、専門職以外の職員は一斉解雇。無職になった窓口ＯＬの乾岬は、かつての同僚に誘われてレイヤー地獄へと足を踏み入れたが、そこもまた銀行と同じ女の世界だった……

と、前半は失業ＯＬがコスプレの世界に足を踏み入れ頭角を現すところまで。そこで、いきなり母親から呼び出しがかかり、九州に呼び戻されてしまいます。２億円の負債を抱えて実家の旅館が今にも破綻しそうだというのです。銀行の担当者は目先の利益しか考えず、とにかく手放させようとします。いるんですよ、そういうのは。

「人間、誰しも挫折を知ることで、魂の叫びに耳を傾けるようになるものなのよ」

 そこから、岬は期限ギリギリまで旅館の建て直しと借金返済に奔走することになります。頼りになるのは人と人とのつながりだけ。地元の幼なじみたち、そしてコスプレクイーン時代のコネクション。今、オタクの聖地が生まれようとしています……。
　ある意味、ちょっとだけ時代を先取りしたというか、時代がやっと追いついてきた話です。

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「クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件」 夜桜ユノ

　白星高校に通う須田凛月は、学校では陰キャラでどちらかというとバカにされがちな地味な生徒。けれど、その正体は、中高生に大人気でクラスメートにも熱狂的なファンが多い覆面バンド「ペルソニア」のボーカル、シオンだった！
　凛月は今日も素性を隠し、正体がバレないよう目立たず生きていこうとするのだが……。

　まあ、芸能コースのある高校に転校した方が良いよ？　こうやってまとめ読みすると、本当に周囲の同世代の男女のクズっぷりが目立ちます。人を見た目でしか評価せず、気に入らない奴は無視しても苛めてもいいという奴ばっかりですよ。そんな中、人に気を遣い、親切に生きていく主人公って仏ですよ。聖人君子。生前に聖人の列に加えられてもいいくらい。
　「小説家になろう」とか「カクヨム」で芸能・役者系の話が減ってアイドル・アーティストものが増えて来たなあと思ったら、そろそろ書籍化にも反映されてきました。
　ストーリーのメインは二重生活によるドタバタとラブコメ。せっかくのアーティストものなので、もうちょい音楽性に悩むとかバンドメンバーとの関係で戸惑うとかあっても良い気がしますが、そちら方面は今のところ順風満帆です。

【クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件】【夜桜ユノ】【みすみ】【PASH! ブックス】【小説家になろう】

「僕がプロデュースする４人の軽音女子」 生島いつつ

　備糸市にあるロックカフェ店主の菱神大和は、元はインディーズバンド『クラウディソニック』のメンバーだったが、メジャーデビュー目前でバンドは解散。今は祖父の店を継いで、おっさんばかりの常連客相手に商売している24歳。ところが、そんな大和のところに高校時代の軽音楽部の恩師から電話がかかってきた。新入生の１人に彼の店を教えたというのだ。
　やって来たのは元気な美少女、雲雀古都。『クラウディソニック』のファンで、憧れて同じ高校に入ったものの部員が居なくなって廃部だという。それで元クラウディソニックのＹＡＭＡＴＯこと軽音部ＯＢの大和に音楽を教えてもらえないかと飛び込んで来たのだ。
　今さら女子高生に音楽を教えるなんて面倒くさい。断るつもりで「じゃぁ、バンドメンバーをまともに集められたらな」と言ったのだが、そんなことでこの娘が止められるはずもなかった。
　後のダイヤモンドハーレム伝説の始まりである……。

　メジャーデビュー目前まで行きながら、果たせず挫折した元ロックミュージシャンの前に軽音をやりたいという女子高生が飛び込んできて……という、青春音楽小説。活き活きとした女の子たちのバンド活動と、屈折した青年との交流を軸に進む、少女たちの３年間。
　芸能アイドルものにありそうな障害はちゃんと立ちふさがるし、親兄弟は必ずしも音楽活動に理解がある人ばかりじゃないし、質の悪い業界人やら通りすがりもいて、世の中そんなに順風満帆じゃないし、善人ばかりでもありません。特に若くてかわいい女の子の集団だったら、舐めてかかって悪さをしようとする人間だって、いくらでもいます。
　それでも、少女４人ががっちり（いろんな方向で）まとまっているので、まさにバンド名通りのダイヤモンドハーレム。だから、安心して彼女たちの波瀾万丈なライブ人生を追いかけていけます。あと、こんな美少女４人のダイヤモンドハーレムにがっつり取り込まれた大和が、決して聖人君子ではないけれど、奔放な彼女らに対して節度ある姿勢で指導者兼プロデューサー稼業に徹する姿勢が見事。つまり節度あるゲス。だから、安心して最後まで読んで良いよ……の416話完結。。

　架空の都市が舞台で都心がどうのとかいうから、最初は東京近郊の話かと思ったら茶臼山に埋めるだの三河湾に沈めるとかいう話になって……愛知県じゃん。すると、あそこのライブハウスはカゴヤハウスかも。

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「ホラー女優が天才子役に転生しました」 鉄箱

「なにせ私の夢は、ハリウッドで人々を恐怖の渦にたたき落とすことですから！」

　一人の女優が交通事故で死んだ。
　貧乏育ちの苦労人で、幽霊やら死体役が専門のホラー女優で世間一般の知名度はなかったが、その演技力から知る人は知る存在だった桐王鶫30歳は、気がつけば銀髪碧眼のお金持ち令嬢、美少女つぐみとして転生していた……。

　分かっていても共演者やスタッフがマジで恐怖し卒倒するような演技をしていたホラー女優が美少女に転生。新たに出会った子役ライバルやかつての共演者らとの再会を通じて、本当の自分を見つけていく物語。周囲に恐怖と驚愕をまき散らす５歳の美少女の演劇サクセスストーリーだけれど、本質は演技というものに対してストイックなので、単なるドタバタコメディに終わらないのです。
　ライトノベルといえば、ウェブ小説発の作品なんかとよく「同じパターンばかり」みたいに言われることがありますが、そんなことは全然ないのです。「同じパターン」が王道であることは否定しないし、ヒットして残るのはそういうものが多いのは確かですけれど、読み手としてバリエーションの豊富さを大事にしていきたいですね。　

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「クソ雑魚メンタルなTS娘はマッマの所為でVTuberデビュー」 totto

　コミュ障ボッチなまま大学生になった乙倉湍だが、母親が勝手に応募した、とある企業のVTuber３期生になぜか合格。挙動不審なまま動画配信することになるのだが……。

　コミュ障の内気な少女が周りの応援でネット配信の世界に飛び込み、のキャラクターが愛され可愛がられ、ぼっちのコミュ障でも居場所があるんだ！と自信を少しずつつけていくサクセスストーリー……というより、ゆる百合ネット配信もの。一昔なら「ガラスの仮面」とかの路線だよね。インターネットの普及で、「会いに行けるアイドル」以上に一般人とアイドルの境界線がさらにあやふやになった時代の産物。ほんのちょっとだけ勇気とか後押しがあると世界は一気に広がるんじゃ！

　しかし、なんだろう？　ネット配信ものって、なぜか百合っぽいのが多いよね。一応、ＴＳ転生ネタではあるのだけれど、あまりＴＳ転生である必然性が感じられないんだけど、アイドルもののバリエーションとして面白いです。

【クソ雑魚メンタルなTS娘はマッマの所為でVTuberデビュー】【totto】【小説家になろう】【ハーメルン】【VTuber】

「幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件」 すばう

　小学生の頃からつきあいのある小夜が、大手事務所のオーディションに合格してVTuber、鈴科リンとしてデビューすることになった。
　幼なじみが頑張って人気を獲得していく様子を見守るのは“あーちゃん”にとっても嬉しいことだったが、１つだけ問題があった。小夜はなにかとドジっ子だったのだ。何かと彼女のことを「友達のAちゃん」として話題にするリンだったが、ついにある日、配信中寝落ちしてしまったのだ。
　慌ててリンの家に駆けつけた“あーちゃん”は幼馴染兼保護者として後始末することになるのだが、それ以来「Ａちゃんママ」として彼女自身が有名になり始めてしまった。配信者でもなんでもないのに……。

『終わり方分からない、助けて』

　小柄な少女と大柄な少女の凸凹コンビがネット配信の世界で認知度を上げていくサクセスストーリー。
　この２人の関係性が微笑ましくて良いのよ。絵になるし。

【幼馴染がVTuber始めたら友人Aちゃんと呼ばれるようになった件】【すばう】【ハーメルン】【配信切り忘れ】

「現代にＴＳ転生したけど馴染めないから旅に出た」 漆間鰯太郎

　外資系の製薬会社に勤めていた久慈直人は、取引相手の接待にゴルフ場に出かける途中で事故に遭った。
　しかし、次の瞬間、彼は見知らぬ高級マンションの一室で目が覚めた。スマホの日付は記憶よりも10年近く未来。鏡に映るのは見知らぬ銀髪の美少女。免許証には高科さくらという名前。そしてキッチンの脇にあったゴミ箱には睡眠薬の錠剤の入っていたゴミのかたまり。
　つまり、交通事故に遭った彼の心が、ちょい未来の自殺した少女の身体に入ってしまったらしい。いわゆるＴＳ転生。けれども、それを簡単に受け入れるには、直人は男としての人生を生き過ぎた。いきなり女性としての生き方はできないし、さくらの家族や知り合いに出くわしても困る。
　そこで、とりあえず引きこもりながらもウェブ配信者として、高科さくらでも久慈直人でも無い別人になりきってみることにした……。

　久慈直人の身体は死んでしまって、高科さくらの心も死んでしまって、あとに残ったのは直人でもさくらでもない、男とも女とも言い切れないニンゲンが１人。自分はいったい何なんだろう？というところから、新たな人格を生み出して、新しい生き方と居場所を見つけてみよう……というところから始まるネット配信ロードムービー。

　ネット配信ものもＭＭＯＲＰＧものと同じく、単にキャラの魅力だけで突っ走ると「昨日と同じ楽しい明日が来ました」の繰り返しに陥りがちなんだけれど、そこにＴＳ転生した自分が何者か探す、見知らぬ家族との再会と再構築が加わることで物語全体としての序破急が定まり、それに旅先からのネット配信がメリハリをつけて、自分だけ、自分と家族だけとの関係に、会ったこともなかった大勢のリスナーたちとの関係が加わって物語が広がっていきます。２０話完結＋後日譚＋番外編。

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「ふつおたはいりません！」 結城十維

　デビュー作のヒロイン役以来、まともな名前のつく役が来ない、一発屋で終わりそうなアラサー声優の吉岡奏絵にラジオ番組のパーソナリティーの仕事が来た。相方は人気作品を幾つも抱える売れっ子女子高生声優の佐久間稀莉。ところが最初の顔合わせから稀莉は愛想が悪く喧嘩腰。ならばと奏絵は開き直って喧嘩腰でもいいじゃないかと助長してみた。もはや次のチャンスはなかろうというところからの開き直りだったのだが……。

　主にラジオ番組でのやりとりを中心に展開するお仕事小説＋百合コメディー。
　ちゃんとお仕事小説ならではの栄光と挫折からの再起、パートナーとの対立、葛藤、依存と自立とか基本をちゃんと押さえてあるので読んでいて面白いですね。登場人物の１人１人が「この人にこんな一面が」という深みが与えられているのもツボ。

【ふつおたはいりません！】【結城十維】【カクヨム】

「コントラクト・スプラウト～ 受肉した俺と異界の種 ～」 縁樹

　仮想空間とバーチャルアバターを駆使した動画配信、人呼んで『ＵＲキャス』がブームになっていた。
　これを機会に脱サラし、ＵＲキャス『木乃若芽（きの・わかめ）』としてデビューしようと思ったその日、突然の事故でアバターのデータが完全消滅。しかし、絶望にくれる脱サラ男は、気がついたらデータそのものの肉体に変貌してしまっていることに気がついた。可愛らしいロリエルフである。
　なにがなんだか解らないが、一攫千金メジャーデビューを狙って借金をしてまで始めようとしていた動画配信。中止できようはずもなく、男はバーチャルのふりをしたリアル配信を始めるのだが……。　

　最近ちらほら良作が目立つＶチューバーものに魔法少女ものを足して二重構造の設定が、うまくストーリーとして練り込まれていて期待大。まだ序盤だから、どきどきしながら追いかけてます。
　あとは後輩にして神絵師の烏森明がもう少し積極的にストーリーに絡んでくると面白いかな。

【コントラクト・スプラウト～ 受肉した俺と異界の種 ～】【縁樹】【小説家になろう】【Vtuber】【魔法少女】

「逆行転生したおじさん、性別も逆転したけどバーチャルYouTuberの親分をめざす！」 ブーブママ

　ライブ鑑賞中に落雷で死んだ男が悪魔に転生させられた。悪魔の経験値稼ぎ用として面白い人生をやってくれないかというのだ。
　もし、人生をやり直せるなら……Ｖtuberになりたい！と蓮向ナルトは過去に遡って４歳からやり直すことにした。そして世界初のVtuberを目指すのだ。今から英才教育で頑張れば、キズナアイはおろかAmi Yamatoにだって勝てる。本当は世界初のバーチャルアイドルを名乗りたかったのだが、彼が生まれる以前に時祭イブがいるので、さすがにこれには勝てなかったのだ……。
　かくして幼年期から完璧なVtuberをめざし、プログラミングから音楽、語学、空手と英才教育を受けていくのだけれど、なかなか思ったようにはいかなくて……。

　人生やり直しＴＳ転生Vtuberもの。素直に社交界とか芸能界にデビューした方が成功しただろうに、かたくなにバーチャル世界を目指したものの、あまりに完璧すぎて大企業の仕込みと思われて人気がいまいちな前途多難。
　波瀾万丈の幼年期を経て、42話で本編完結。現在はVtuberによる配信アーカイブ編。

【逆行転生したおじさん、性別も逆転したけどバーチャルYouTuberの親分をめざす！】【ブーブママ】【小説家になろう】【ＴＳ逆行転生】

「ホラー女優が天才子役に転生しました」 鉄箱

　ホラー映画の悪霊役なら右に出るものはないと謳われた女優、桐王鶫は、交通事故に巻き込まれてその生涯に幕を閉じた。
「あ、これ、ぜったい死後に“ホラー映画の呪い”って言われるヤツだ」
　ところが、目を覚して鏡を見れば、そこに映るのは銀髪青目の妖精系美少女。彼女は20年後の世界に大企業の令嬢、空星つぐみとして生まれ変わっていたのだ。そして、再び歩み始める芸能界への道。
　しかし、ホラー女優として生涯を終えた鶫だったが、彼女の演技を今も高く評価する俳優や映画製作者は数多く、少女の演技に往年の鬼才の才能の片鱗を見いだすのだった……。

　交通事故死したホラー女優がそのまま転生。今度は子役として演劇界に乗り込んでいくサクセスストーリー。
　「身体は子供で頭脳は大人」なやり直し系転生はそこそこ多いけれど、大半はスポーツものか学園もの。子役ものは意外に少なく、面白いものはさらに少なく、まともに連載が進んだり完結したものはほぼ皆無じゃないかというなかで楽しみな作品の登場。
　演技の面白さ、奥深さがきちんと描かれ、前世もホラーや死体専門と言っても、知る人からはその演技力を高く評価されていた主人公が美少女として転生。努力の秀才が恵まれた天才として新たな人生のスタートを切り、そこから前世で知り合っていた人たちとの再会していくなど物語としても面白くなりそうな序盤です。
　『アクター』とか『ガラスの仮面』とか『アクタージュ』とか、登場人物らのドラマも劇中劇も面白いよね。そういうテイストですが、エクソシストのアレを素でやれる天才女優というのがツボです。おかしいよ、つぐみさん……。

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