付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「三千世界の鴉を殺し(17)」 津守時生

2013-11-22 | 超能力・超人・サイボーグ
 流民街の地下から宇宙船が確認され、秘密組織の息がかかった惑星軍によってクーデターが起きる前に基地を制圧しようと宇宙軍の特殊部隊が強襲がかけられるが時遅く、2発の弾道弾が発射されてしまう……。

 マチズモな猛者たちの独断場だろうと思われた強襲シーンはさらりと流され、男たちのバカなお子様っぷりばかりが強調されて男性読者涙目。後半はただ病院でのやりとりで今回は終わり。
 軽妙な会話で進む惑星規模の陰謀劇ですが、本当に会話劇になってます。

【三千世界の鴉を殺し】【津守時生】【麻々原絵里依】【ウイングス文庫】【ESP治療】【冬眠】【メガネっ子】
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「ファンタジスタドール イヴ」 野まど

2013-11-06 | 超能力・超人・サイボーグ
「僕の、嘘にまみれたくだらない人生、ずっと周りを騙し続けて、自分自身も騙し続けた。無為無益な人生の中で、君だけは僕の汚れた本質を見抜いて、その上それを認めてくれた」

 それは乳房であった。
 少年は女性に肉体に惹かれ、それでいて恐怖し、聡明な人間として成長したものの人間と、特に女性との関わりは苦手であり、やがて人と離別することになる……。

 160ページほどの最近にしては薄めのハヤカワ文庫ですが、今回の野まどはどことなく明治文学テイストで、青年の苦悩に満ちた人生を反芻しています。
 アニメ『ファンタジスタドール』の前日譚ということですが、そんなアニメのことは知らないまま、世界を変革する技術が誕生する過程を1人の人格が歪んだ男の成長譚として描いたものとして楽しめました……というか、おっぱい大好きマッドサイエンティストの誕生物語。
 登場人物が大兄、入鹿、遠智と続くものだから「大化の改新かよ!」と思ったら単なる人類の変革で、最後に介入してくる謎の組織も、怪しげな秘密結社のはずなのになんとなくダメ人間の集団にしか見えなくて困ります。開き直ったゼーレとかネルフって感じで……。

【ファンタジスタドール】【イヴ】【野まど】【ハヤカワ文庫SF】【谷口悟朗】【ミロのヴィーナス】【テスラシステム】【非接触電力送電技術】【ありきたりな乳】【傾斜実験】
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「フェアリィフィールド2」 榊一郎

2013-09-15 | 超能力・超人・サイボーグ
「古来より『男子3日会わざれば割礼してみよう』と言ってだな」
 玖珂タツキは血迷っている。

 5体の戦闘用小型バイオロボット「フェアリィ」と出会って隊長役を押しつけられた高校生のタツキの共同生活は、彼とスキンシップを図りたいというフェアリィたちとそれに負けじと張り合う義妹アカネによっていつも大騒ぎ。
 そんなある日、フェアリィを開発した巨大企業のお嬢様コトコに誘われ、開発中のフルダイブ型の実験台になったタツキたちだったが……。

 AIによって自立稼働する美少女兵器が民生化しているという、よく考えてみたら恐ろしい社会に、今度はプレイヤーの全感覚と意識を投影できるフルダイブ・タイプのフェアリィの開発が始まっているという話。どう考えても、人類VSコンピューターによる最終戦争の前フリだろ!?という感想は、心の奥底に押し込めて読了。指揮官不在の軍は脆いなあ。
 家族でも恋人同士でも仲間同士でも意思疎通が大事だという話でした。
 冒頭のエピソードが見事に結末に直結したハッピーエンドに喝采すべきか、かなり悩むけれど、これはこれでハッピーには違いない。

【フェアリィフィールド2】【妖精触媒】【榊一郎】【BLADE】【朝日ノベルズ】【ハイスピードバトル×ラブコメ】【アイドル】【救出作戦】【キャットファイト】【ニンジャスレイヤー】【ヤンデレ】【貧乳はステータス】
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「know」 野まど

2013-08-29 | 超能力・超人・サイボーグ
 周囲の情報を自動的に取得して内包する「情報材」が開発されて40年、それを使いこなすための「電子葉」が人に植えられるようになって10余年。
 内閣府情報庁の審議官である御野・連レルは、その高い情報処理能力からクラス5の権限を与えられている。彼にとって、すべての個人情報も企業秘密もないも同然。それより上は政府の閣僚レベルの人間に与えられるクラス6があるだけだ。
 しかし、彼の前に現れた少女は、クラス9に相当するというのだ……。

「大切なのはただ1つ。開示情報(オープンソース)であることだ」
 京都大学知識情報学研究室、道終・常イチ教授の言葉。

 失踪した天才がプランを立てた、新しい時代の物語。今年のベストSFの1つじゃないかな。
 『電脳コイル』や『この空のまもり』のさらに一歩先を行く、人の認識能力がハードウェアとソフトウェアの相乗効果によって高度に発展したIT社会を舞台にした話で、雰囲気としては『人間以上』とか『アトムの子ら』みたいな話ですが、主人公もヒロインもやることやってます。大丈夫か、淫行条例。
 「ダンスはシンプルな情報交換手段の1つです」という言葉には、『スターダンス』と同じだなと感じて、まさかここからファーストコンタクト!?かと思ったら、もう1つ先まで飛んで行ってしまいました。さすが野まど。

【know】【野まど】【シライシユウコ】【ハヤカワ文庫JA】【情報カースト】【量子コンピュータ】【悟り】【暗号】【木を隠すなら森】【京都】【生と死】【ブラックホール】【曼荼羅】【京都御所】
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月刊OUT12月号「超人ロック ついに登場!」 

2013-07-19 | 超能力・超人・サイボーグ
 表紙には大きく「宇宙戦艦ヤマトこおなあ!」とあるけれど、これは単なる読者投稿ページの話なので、本当の特集は「超人ロック」のみ。
 『超人ロック』は、いまだに新作が発表され続けている聖悠紀のSFコミックなのだけれど、そもそもは1967年に肉筆同人誌の回覧用として描かれた作品。それが仲間内で評判となり、2作目、3作目と続いて、ついには自費出版となり、1977年にはみのり書房の「ランデヴー」で5回連載、1979年には「週刊少年キング」で連載開始。以後、「月刊MEG」「ヤングキングアワーズ」「コミックフラッパー」と、掲載誌は休刊・廃刊しても作品は止まらず40年超。
 まさに主人公と同じく不死身っぷりをいかんなく発揮するのですが、この時点では4作目の『コズミック・ゲーム』までしか出ていません(しかも3作目までと4作目では絵のレベルが全然違いますし)。それをあえて総ページ数の半分を費やす大特集! 先物買いの大博打というかなんというか……。

【月刊OUT12月号】【超人ロック ついに登場!】【みのり書房】【科学忍者隊ガッチャマン】【さなぎロマンシリーズ】【SF特撮教室1】【世界初のアニメ小説】
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月刊OUT7月号「超人たちがやってくる!!」 

2013-07-15 | 超能力・超人・サイボーグ
 まだ方針がアニパロに定まらない頃の、月刊OUTの昭和53年7月号です。
 スーパーヒーロー&ヒロインをテーマに、キャラクター紹介やらパロディやら。カラーイラストは、ひおあきら、牧村ジュン、石井まゆみ、すがやみつる他。ヒロイン淑女録は、サファィア王子から始まり、三条雅、009ノ1、ユキ2号、けっこう仮面、阿修羅王、エスパー魔美、麻宮サキ、干草カオル、ジュディス・ド・グラッセ、ノーラ・スコラあたりまで。内容としてはたいしたものではないのだけれど、これを参考にマンガを読みあさった時代もありました。
 掲載コミックはもろほし★だいじろうと米田仁士。今ではホラーな諸星大二郎の軽妙なファンタジーや、すっかりファンタジーイラスト界の重鎮となった米田仁士のスラップスティックSFとか読めたワタシは幸せ者。

「役者です、声優じゃないよ」
 声の仕事はいろいろある役者の仕事のジャンルの1つにすぎないと山田康雄。

【月刊OUT7月号】【超人たちがやってくる!!】【みのり書房】【華麗でファッショナブルでブリリアントなラブリーマガジン】【SFののしり図鑑】【スペース・スカル】
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「フェアリィフィールド」 榊一郎

2013-06-11 | 超能力・超人・サイボーグ
 ランドクルーザーとかジムニーとか、誰でも手に入る普通の乗用車だけれど、装甲をちょいと補強して銃座を溶接すれば立派な戦闘兵器になってしまう。使おうと思えばハンガーでも鉛筆でも四駆車でも何でも兵器になってしまうのだけれど、その逆に兵器として生まれたものの民生品として降りてきて市民の日常に溶け込んだものも少なくありません。
 これはそんなところから始まる、『武装神姫』みたいなお話。

 小型バイオロボット<フェアリィ>は、先の大戦で実戦投入されたバイオロボット<ゴブリン>の民生品で、フェアリィ・コンバットはこのフェアリィが活躍する疑似戦闘競技だ。
 高校生の玖珂タツキは顔も見たことのない親戚から相続で引き継いだフェアリィたちを率いることになるのだが……。

 虚無的に日々を過ごしていた少年が、新たな世界に足を踏み入れ、そこで自分以外の周囲との関わり方を見直すことになります。スポーツもののパターンですし、たとえニセモノでも限りなく本物に見えればそれは本物と同じ……という家族や作られた命のあり方について問いかける話でもあります。キョウが怒ったとおり、確かに彼はなめてると思いましたけれど、登場人物が怒っているならそれで良しです。
 続きが出るかどうかは不明だけれど、伏線というか引きは「テロリストの行方」「なぜタツキなら任せられると思ったのか」「本来の5番機はどういう形で失われたのか」あたりが明らかになるのか、気になるところです。

【フェアリィフィールド】【妖精戦陣】【榊一郎】【BLADE】【朝日ノベルズ】【ハイスピードバトル×ラブコメ】【妖精の輪】【チェンジリング】【テロ】【美少女ですよ?】【混浴】【出会い頭にばったり】
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「NOVA9」 編:大森望

2013-02-17 | 超能力・超人・サイボーグ
「正しい人というのは基本的に腹が立つものなのだ」
 宮内悠介『スペース蜃気楼』より。

 「ぱ」が自己主張をはじめたり、お客さまサポートセンターに閉じ込められたひきこもりだったり、本能寺で織田信長がモンガーになったり、都市奇譚的なホラーだったり、マルドゥック・スクランブルみたいなカジノの対決あり、百合ありメロン熊あり……と、いろいろなタイプの作品が押し込められたSFアンソロジー。
 なんでもありってのがSFの魅力の1つですね。それをしっかり堪能できる1冊。

【NOVA9】【書き下ろし日本SFコレクション】【大森望】【眉村卓】【浅暮三文】【斉藤直子】【森深紅】【田中啓文】【小林泰三】【片瀬二郎】【宮内悠介】【木本雅彦】【谷甲州】【扇智史】【河出文庫】【ペケ】【実験小説】【フロギストン】【口蹄疫】【ベルター】【太陽系宇宙土木】【拡張現実】
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「武道館にて」 アレステア・レナルズ

2012-11-15 | 超能力・超人・サイボーグ
 日本でまた世界SF大会を開催しようと運動している、SFファンが主催するコンベンション「はるこん」。その「はるこん」が刊行している「はるこんブックス」最近刊は、イギリスの作家レナルズのSF短編集。『雪玉に地獄で勝算はあるか?』、『見上げてごらん』に続き、日本ではなかなか翻訳されないけれど面白い作家というセレクトです。
 未来世界の武道館で世紀のライブを演じたロックグループは誰なのか? 人を殺してしまい逃走した少年が逃げ込んだ宇宙船の正体は?、そして冷凍睡眠から目覚めた未来で待っていたものは……という3本。 

【武道館にて】【宇宙船医の助手】【未来への眠り】【アレステア・レナルズ】【鷲尾直広】【はるこん実行委員会】【啓示空間シリーズ】【冷凍睡眠】【遺伝子操作】【宇宙海賊】【ゾンビ】【デビルフィッシュ】
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「三千世界の鴉を殺し(16)」 津守時生

2012-10-06 | 超能力・超人・サイボーグ
 フェアファックス大統領から呼び出されたオスカーシュタイン大尉は、不承不承に大統領の私邸へと向かう。しかしそれは、バーミリオン政府中枢まで食い込んだ謎の敵によって孤立無援となった彼女が、O2の息子を巻き込もうと仕組んだ罠だった。
「たまには普通に外出し、何事もなく戻ってきたいと思う」
 それが宇宙軍の最強兵器というか、問題児の宿命だった。

 角川スニーカー文庫から刊行されていた、超能力SFというかスペースオペラな『喪神の碑』は本当に面白くて続きが楽しみだったのだけれど、その続編は約一世代後の話の『カレワンギ・サーガラ』で、こちらはファンタジー寄りの超能力SFでこれもなかなか面白かったわけです、そして、これが時を経て、またまた一世代後の物語としてスタートしたのが『三千世界の鴉を殺し』。
 ただ、気がつくとストーリーの進みよりも登場人物同士のやりとりに紙幅が割かれる量が増えていて、16巻になっても話はあまり進展していない気がします。水滸伝的に、一癖も二癖もある面々が集まって、やいのやいの言い合い絡み合うのを楽しむ話……かな?
 そして、やたらと女が強い。
 そりゃあ、戦闘になればマチズモな猛者たちの独断場だろうけれど、それ以外だとみんな女の尻に敷かれていま……あ、今回は強襲部隊の指揮も需品科のおねーさまか……。男連中の立つ瀬がない話。しかも、そんな女たちがことごとく腐っているわけで、兵士も警察官も看護師も、みんな腐っているのです。これが賄賂や薬物で腐敗しているというなら、まだ救いがありそうな……。

【三千世界の鴉を殺し】【津守時生】【麻々原絵里依】【ウイングス文庫】【カツ丼】【薄い本】【先祖返り】
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「アスガード7」 細井雄二

2012-09-22 | 超能力・超人・サイボーグ
 1974年から2年間、学研の学習雑誌に連載されていた、科学的知識を盛り込んだ学習マンガ。石森章太郎原作の戦隊ヒーローものの体裁で、これは1974年4月号から1975年3月号にかけて『5年の科学』で連載されていた細井版。他の執筆陣には、ひおあきらやすがやみつるの名前もあり、今思うとけっこう豪華なラインナップです。

「科学でたいせつなのは、変わったことを見つけたら、あまり関係ないと思うことでもはっきり記録しておく態度だ」
 欄外のコメントも学習マンガらしいね。

 主人公の名前は研マナブで、これは学研のもじり。今見ると、第1話には「未来救助隊」の文字がないので、これは後付けなのかな。
 
【未来救助隊アスガード7】【地球の自然を守る7人のメンバー】【細井雄二】【石森章太郎】【学研】【化石の森】【飛行機事故】【臓器移植】【偵察衛星】【人工カビ】【森の治水機能】【光の屈折】【機雷】【空気の振動】【二酸化硫黄】【熱伝導】
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「エスケヱプ・スピヰド」 九岡望

2012-07-08 | 超能力・超人・サイボーグ
 最後の戦いから20年あまりが経過した昭和101年の夏。
 戦争の決着がどうついたのかは不明だが、地上には暴走した機械兵以外の姿はほとんどなく、廃墟と化した尽天の街では冷凍睡眠から回復した50人あまりが外部との連絡をとろうと街の探索を続けていた。
 だが、街からの出口には、八洲軍最強の兵器“鬼虫”が今なお封鎖を続けており、何者も出入りできない状況にあった……。

 太平洋戦争当時の雰囲気で、暴走した無人兵器や独自判断で戦闘を継続する戦略兵器たちの戦いを、戦災孤児であり置屋に売られた少女・叶葉と戦闘兵器“蜂”の交流を通じて語られます。
 書店員さんの「評判が良いです」の言葉で購入。確かに面白い。語られる物語は「大きな戦争が終わった後も戦い続ける兵器と無垢な少女との交流」という枠組みで、ファンタジーの異世界でも未来の宇宙でも置き換えできるのだけれど、この昭和初期のテイストにかなり引っ張られてます。

【エスケヱプ・スピヰド】【九岡望】【吟】【電撃文庫】【第18回電撃小説大賞<大賞>】【閉じられた町を舞台に、最強の兵器たちが繰り広げるノンストップ・アクション】【主従の契約】【ナノマシン】【蜻蛉】
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「乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル」 牧野修

2012-05-08 | 超能力・超人・サイボーグ
 これ、絶対に読者にタイトルを覚えてもらおうという気がないよね?

「俺は神を信じられない。しかし、人を信じることは出来る。神に賭けはしないが、おまえに賭けてみてもいい」
 レートは低いがと抵抗軍第4部隊ホドリクル司令官。

 人類は自ら生み出した人造人間「擬人種(ヒトデナシ)」に駆逐され、宇宙の片隅で細々と生き延びているだけだった。
 そんなある日、敬虔な少女ピュセルは「神」の啓示を受ける。
 旅立ち、王を助けて戦えと……。

 表紙イメージもプロローグも、いかにもジャンヌ・ダルクのスペオペ版をやります!……と見せかけ、やっちまったのは『新造人間キャシャーン』でした。役割は男女逆転してますが、ピュセルがやらねば誰がやる!?
 まあ、この次に書いたのが『超人バロム1』なので、それに比べれば大人しい方かも。

【乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル】【牧野修】【羽住都】【ソノラマ文庫】【戦闘美少女】【謎の円盤UFO】【物語】
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「不完全神性機関イリス」 細音啓

2012-01-28 | 超能力・超人・サイボーグ
 拾ってきてリストアしたダメ家政婦アンドロイドが実はロストした軍の秘密兵器で、最終兵器になっちまったという話。

 正体不明の化け物に人類の3/4が滅ぼされた世界の描写に、あまりリアリティを感じられず。なんか余裕?と感じられてしまったのは残念。残された国は3つかそこらで、主人公は傭兵学校の生徒だけれど、コメディ部分が強いので一般市民の生活が苦しいとか締め付けが厳しいとか言論統制があるということもなく、職業選択も自由みたいだし。
 重い設定でコメディというのは難しいですけど、ラブコメがメインなら最初からそんな人類滅亡寸前みたいな設定にしなければ……と思いました。

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「ねじまき少女」 パオロ・バチガルピ

2011-07-12 | 超能力・超人・サイボーグ
 上下セットで一組の表紙イラストは珍しくないけれど、1冊だけでは意味不明な絵になるというのは珍しいなあ。
 けっこう売れ行きが良いらしく品薄気味で、本屋に下巻が1冊だけ追加で入ってきてもわけがわからんです。

 石油エネルギーが枯渇し、巨大な獣によってネジを巻かれたゼンマイ動力が全盛となった未来。電気もあるけれど、パソコンでもラジオでも足踏み式や手回し式はあたりまえ。汚染された海面が温暖化によって上昇し、遺伝子操作で生まれた害虫や疫病が猛威を振るっている時代。
 タイ王国は徹底的な検疫をおこなうことで疫病や害虫ばかりでなく、伝染病に耐性を持つ遺伝子操作作物を握ることで世界経済を掌握しているバイオ企業(カロリー企業)の干渉をも排除してきていた。
 しかしカロリー企業がそのような隔離政策を認めるはずもなく、さまざまな形で介入を試みていたが、そのエージェントの1人が、タイ王国が密かに隠し持っている種子バンクと遺伝子スポッターの存在に気がつき……。

 ……というストーリーラインで展開される群像劇。
 日本が遺伝子工学によって生み出した人造人間、飼い主に捨てられて秘書から場末のダンサー兼売春婦に落とされたエミコ。新型のゼンマイ工場のオーナーであり、カロリー企業の代理人でもある西洋人アンダースン・レイク。その部下であり、虐殺を逃れてマレーシアから逃走してきた「イエローカード」、没落した老華僑ホク・セン。賄賂を受けつけない鉄の男、環境省の検疫隊“白シャツ隊”の隊長ジェイディーと笑わない副官カニヤ。死んだはずの天才的技術者で、世界の災厄の幾ばくかはこいつの責任だという遺伝子スポッターのギ・ブ・セン。
 さまざまな登場人物が交錯しながら、蒸し暑く腐敗と汚濁と暴力にまみれたバンコクでの暴力的な日々が描かれています。それぞれが腹の中に欲望とか飢餓感とかを抱えていて、互いに直接関わらなくても、それぞれの行動が周囲に影響を与えて事情が二転三転。いかにも熱しやすく移ろいやすい東南アジア的な展開に、誰も彼も成功か失敗か生か死か、どちらに転ぶか最後まで分からないジェットコースター・ストーリー。
 個人的には、出番が少ないながら状況を大きく動かす、ギ・ブ・センがお気に入り。面白ければすべて良しという、はた迷惑なマッド・サイエンティストで、ねじまきこそ新人類と言い放つ鬼才。捕囚の身で、死にかけていて残り時間はわずかなはずなのに、あの精神的パワフルさはなんだっ!? ある意味、人類の未来を握っているというか天秤にかけてもてあそんでいる男。

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