付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ひとがた流し」 北村薫

2009-05-10 | その他フィクション
「人が生きていく時、力になるのは何かっていうと、《自分が生きていることを、切実に願う誰かが、いるかどうか》だと思うんだ」
 人間は誰かがつなぎ止めてくれている風船のようなものだと玲に語る千波。

 少女たちが高校を卒業してから25年。今も彼女たちの友情は続いている。
 アナウンサーの千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢されるが、その直後に乳ガンを宣告される。一方、彼女の高校からの友人である作家の牧子や写真家の妻となった美々は……。

 3人の女性の日々の情景を通じて、さまざまな家族の形、夫婦の形を描いていくのですが、その根幹には幼なじみとの友情がありました。そんな女友達の心のつながりで編み上げられた物語。この前日譚ともいうべき『月の砂漠をさばさばと』も読んだことがなかったのに気がついて反省。またすぐ入手します。

 鴨足屋(いちょうや)さんは本当に良い人だと思いました。小さな納豆が上を向いて落ちたって良いじゃないか。小さな喜びをほらねと笑って語り合える人が側にいるってのは嬉しいことです。『OL進化論』を読んでても思ったことですが。

【ひとがた流し】【北村薫】【幼なじみ】【離婚】【ガン】【友情】【鍵】
コメント
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