付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ウェイプスウィード」 瀬尾つかさ

2018-09-05 | 水の世界・海洋冒険SF
「パートナーの機嫌をとるっていうのは、実験用の大型培養漕に湧いたボウフラを掃除するのに似ている」
 面倒な作業だが、手を抜くとあとで大惨事になるという意味で。

 人類の多くが宇宙空間のコロニーを生活圏としている25世紀。地球の大陸のほとんどが海中に没しており、その海洋の多くはウェイプスウィードと呼ばれるミドリムシの変異体エルグレナと肉食菌類ミセリウトが接続した巨大な海草の群体によって支配されていた。
 木星生まれの研究者ケンガセンは調査のためにシャトルで地表に向けて降下していたが、突入時の事故でシャトルが爆発。漂流していたケンガセンを助けたのは、地球の巫女ヨルだった。
 地球に残った人々の多くが迷信に支配されがちになる中、巫女は過去のデータベースに接続して科学文明を継承する数少ない職であった……。

 木星生まれの研究者と巫女が、知性を持つ巨大海藻の謎に挑む物語。帯で「『ソラリス』の系譜に連なる」と豪語しているけれど、まさにその価値はあるかと思います。
 でも、過去の巫女の記憶と人格を移植した海底のデータベースって、神ステーションっぽいなあ。

【ウェイプスウィード】【ヨルの惑星】【瀬尾つかさ】【植田亮】【ハヤカワ文庫JA】【海洋SF】【コロニー】【クローン】【電脳体】【集合知】
コメント
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