バンド「FACE」でヴォーカルをやっている加野湘子は、西東京の私立高校、逝川高校の二年生。その湘子が不良と噂される少女・美砂に連れ込まれたのは図書館の資料調査室。そこは文芸部の溜まり場になっていたのだ。
文芸部の水淵季里は占いが得意なので、気になったことがあれば頼めという、美砂に勧められた湘子は音信不通になった「FACE」のリーダー、友樹の所在を占ってもらう。だが、そこで彼女が見たのは不思議な扉をくぐって出て行く友樹。思わず後を追おうとした湘子は、占いの鏡に呑み込まれそうになってしまう……。
水淵季里シリーズの1冊目。というか、作者の小説家デビュー作。
当初は超能力バトルアクションのつもりで企画していたけれど、できあがってみたら都市奇譚になってしまったそうです。また、水淵季里シリーズとはなっていますが、この話の主人公は加野湘子。基本はホラーなので被害者になる側が湘子で、助ける側が季里なのですが、バトルアクションではなくなったので2人揃って大変なことになり、代わりに他の文芸部員たちが走り回って何とかしようと頭をひねることになります。
作者のブログ「うらそえ日記」によれば、本人が水淵季里シリーズと認めているのは、デビュー作である『夏街道』、その続編『水路の夢』、細かな設定を変えてリブートした『夏の鬼 その他の鬼』、沖縄を舞台にした『精霊海流』、連作短編集『ずっと、そこにいるよ。』と『何もない、夏の一日。』の6作ですが、季里の遺児が活躍するSF武侠小説『野良猫オン・ザ・ラン』、季里がカメオ出演する沖縄を舞台にした都市奇譚『となりのウチナーンチ
ュ』などもありますので、もうちょい増えます。
このシリーズは、あくまで都市奇譚なので、背筋も凍る学園ホラーとか、邪霊と戦うバトルアクションを期待すると拍子抜けだし、かといって普通の青春小説のつもりで読むと、誰もいないのに足音だけするとか、写真に少女が写るとか不思議な現象を誰もが自然に受け止めていて調子が狂うかも知れません。この静かで不思議な空気を味わうのがこの作品の楽しみ方ではないでしょうか。
【夏街道[サマーロード]】【早見裕司/早見慎司】【川原由美子】【アニメージュ文庫】
文芸部の水淵季里は占いが得意なので、気になったことがあれば頼めという、美砂に勧められた湘子は音信不通になった「FACE」のリーダー、友樹の所在を占ってもらう。だが、そこで彼女が見たのは不思議な扉をくぐって出て行く友樹。思わず後を追おうとした湘子は、占いの鏡に呑み込まれそうになってしまう……。
水淵季里シリーズの1冊目。というか、作者の小説家デビュー作。
当初は超能力バトルアクションのつもりで企画していたけれど、できあがってみたら都市奇譚になってしまったそうです。また、水淵季里シリーズとはなっていますが、この話の主人公は加野湘子。基本はホラーなので被害者になる側が湘子で、助ける側が季里なのですが、バトルアクションではなくなったので2人揃って大変なことになり、代わりに他の文芸部員たちが走り回って何とかしようと頭をひねることになります。
作者のブログ「うらそえ日記」によれば、本人が水淵季里シリーズと認めているのは、デビュー作である『夏街道』、その続編『水路の夢』、細かな設定を変えてリブートした『夏の鬼 その他の鬼』、沖縄を舞台にした『精霊海流』、連作短編集『ずっと、そこにいるよ。』と『何もない、夏の一日。』の6作ですが、季里の遺児が活躍するSF武侠小説『野良猫オン・ザ・ラン』、季里がカメオ出演する沖縄を舞台にした都市奇譚『となりのウチナーンチ
ュ』などもありますので、もうちょい増えます。
このシリーズは、あくまで都市奇譚なので、背筋も凍る学園ホラーとか、邪霊と戦うバトルアクションを期待すると拍子抜けだし、かといって普通の青春小説のつもりで読むと、誰もいないのに足音だけするとか、写真に少女が写るとか不思議な現象を誰もが自然に受け止めていて調子が狂うかも知れません。この静かで不思議な空気を味わうのがこの作品の楽しみ方ではないでしょうか。
【夏街道[サマーロード]】【早見裕司/早見慎司】【川原由美子】【アニメージュ文庫】