
味の素は味が画一的になると大嫌いだった芸術家、美食倶楽部を創業した北大路魯山人の書いた食に関する文章を、弟子の平野雅章がまとめたもの。海原雄山のモデルの人で、フランスのレストランで鴨のローストをわさび醤油で食べたエピソードも載ってます。
「美を知るものは、たとえ商売が何屋であっても、どこかそれだけちがうものがある」と芸術家としてのスタンスで、料理に器は大事だとかあたりから、料理法の蘊蓄からラジオの料理番組への文句まであれやこれやを語ってます。材料はあますとこなく独自の持ち味を活かせとか、お茶漬けの作り方をとくとくと語っているのは面白いけれど、新鮮な鮎を焼いたり煮たり揚げたりするなとか、料理研究家とやらがテレビやラジオで紹介する料理のひどさを憂いたりと、そこまで言わなくても……と思わないでもありません。
魯山人の「日本料理と言っても、一概にこれが日本料理だと簡単に言い切れるものではない。言い切った後から、とやかくと問題が起こり、水掛け論が長びき、焦点がぼけてしまうのが常だからだ」という言葉は、そのままライトノベル論争にも通じるなと思いました。
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