付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「剣と魔法と学歴社会5」 西浦真魚

2025-03-28 | 異世界転生
 今度の人生こそ青春を謳歌するぞ!と意気込むアレンだったが、後期最大の青春行事である林間学校はそれどころではなくなっていた。騎士団では〈百折不撓〉とも呼ばれた学園理事にして今はAクラスの担任、ゴドルフェン翁が本気を出して軍事訓練さながらのミッションを押し込んできたのだ。
 限られた時間内に大量の物資を山頂まで運んで城塞跡を奪還、その合間に伝令を遙か彼方の駐屯地まで送り、防衛拠点を構築しながら周辺をパトロールして間諜を捕縛……という無理難題を次々にクリアしていくうちに難易度がどんどん上がり、最後は不眠不休の20名で正規軍一個師団相手に防衛戦を繰り広げることとなった……。

 明るく愉しい異世界学園ライフ。何も考えてなさそうなアレンの言動がちゃんと先の先まで考えているところがポイントですが、周囲がさらにその先まで勝手に想像して感心しまくるあたりはギャップコメディ。アレンくん、さすがにそこまでは考えてないよ?
 そして見せ場見せ場をきちんとイラスト化してくれてますが、今回唯一、フェイとジュエの後ろ姿が描かれなかったことについては遺憾の意を表せざるをえません。

【剣と魔法と学歴社会5~前世はガリ勉だった俺が、今世は風任せで自由に生きたい~】【西浦真魚】【まろ】【カドカワブックス】【小説家になろう】【カクヨム】【コイバナ】【温泉】
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「『無刀』のおっさん、実はラスダン攻略済み 」 末松燈

2025-03-27 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
「じゃ、じゃあなんで脚なんてついているんだね!? 人型にする意味がないじゃないか!」
『それが「脚は飾りで必要なんです!」「えらい人にはそれがわからないんですよ!」なんて、舞依が』

 英二は長官にそう説明したが、正直自信はない。

 藍川英二は37歳のサラリーマン。ダンジョン観光を主催する零細企業の現場主任として、ダンジョン浅層で日々観光客の相手をしている。昔はダンジョンにも年齢制限結界や重火器制限結界などがあり、動員された少年少女が刀剣片手にダンジョンに挑んでは死んでいったものだが、ダンジョンマスターが倒されて年齢制限結界も消え、トラップなども解除された結果、低層にはダンジョン素材や魔素を利用した企業の工場や研究所が建ち並び、観光客がおっかなびっくり物見遊山する光景が普通に見られる。
 そんな中、お嬢様学校に通っている英二の姪っ子、朝霧未衣がダンジョン探索の指導をしてくれと言い出した。彼女の通う私立鳳雛女学院はお嬢様学校。ダンジョン部を作ろうと友だちと頑張っているけれど、中学校には指導役を務めるレンジャー資格を持つ教師がいなく、実績を作ろうにも作れないのだ。
 しかしその頃、大企業の開発が進むダンジョンで異変が起こりつつあった……。

 ダンジョンマスターを倒し、今日の大・ダンジョン時代をもたらした3人の英雄の3人目は誰なのか? 知る者もいないまま20年。ダンジョン探索をになう新しい世代を育てるために中年男が重い腰を上げる話です。つまり、地味なおっさんのカッコいいダンジョン冒険譚。伏線っぽいネタはいろいろあるけれど、一応1巻完結ものとして面白く読めました。
 掲示板が世界を救う話でもありますね。
 現代ダンジョンものも、冒険者たちの活躍を配信してリスナーが感想を書き込む話も多々あり、この配信を見るリスナーの立ち位置も単なる状況説明役にとどまるものと積極的に物語を動かすものに別れますがこちらは後者。最初は未衣と相棒の月島氷芽を応援する中学生の同級生たちのかしましいやりとりが、やがて世界を救う力になろうとは!?

【『無刀』のおっさん、実はラスダン攻略済み】【末松燈】【叶世べんち】【電撃の新文芸】【カクヨム】【ダンジョン探索者】【レンジャー資格】【ネチケット】
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「天才魔術師を弟に持つと人生はこうなる2」 江崎乙鳥

2025-03-26 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「人間が陽気に騒ぐのはいいことなんだ。生きている者の力を示すことで闇の力を押し返す助けになる」
 ガジュラは酒杯をあおった。

 弟の付き添いで魔術学校にやって来たルカは、それまで特にやることもなく弟の従者を務めていたが、それでも時間が余る。そんなとき、討伐したヒュドラの骨買取の打ち合わせを兼ねて招待されたエーデルリンク先生との晩餐の席で、彼はエルダーの森の狩猟番に任命された。白い狩人と呼ばれたルカの腕は誰もが認めるところだしもそれで報酬も出るならルカにも文句はない。リヒトも報酬として貴重な〈空飛ぶ絨毯〉を手に入れてご満悦。
 こうしてルカは森番のホッグウォックに仕事を教わることになったのだが……。

 天才〈魔術使い〉の弟と弟のオマケに見えつつ特殊な〈神の恩恵〉を使いこなす兄が、それぞれ別のルートから魔術学校の秘密に迫っていく話ですが、とりあえず「なんかやっちゃいました?」系の兄と、その兄が好きすぎるブラコン弟のコントラストが面白い話です。学校の先生やクラスメイトたちも秘密やら曰くやらあり、そこにガーゴイルのジュールラックも良いキャラ。だいたいガーゴイルがいいキャラな話は面白いのですよ。
 いばりんぼうでうっかり屋の森番ホッグも、その臆病っぷりにも理由があると判明し……というところで、魔術学校に招聘された天災の弟とその従者として同行することになった兄の物語はなんと書籍は2巻止まりだって!(>_<) スロースターターな作品はどれだけ面白くても、よほど序盤でメディアミックスとかでブースとをかけないと難しいみたいです。
 続きはウェブで!!

【天才魔術師を弟に持つと人生はこうなる2】【江崎乙鳥】【ox】【エンターブレイン】【特殊な〈神の恩恵〉を授かった兄弟による本格ファンタジー】【弓の名手であり、ある特殊能力を持った兄と、天才的頭脳に恵まれた魔術使いの弟が織りなす冒険譚】【小説家になろう】【神界の客もの】【小夜啼鳥】【飛羊】【死の行軍】
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「千早ちゃんの評判に深刻なエラー3」 氷純

2025-03-25 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 新人アクターの千早に回ってくる依頼には碌なものがない。依頼受注候補の一覧は戦闘系ばかり。AIがそっちが向いていると判断しているのだ。そんなことないのに。
 千早のこれまでの実績は本人以外の視点で見れば、信じがたいほどの情報収集能力で各方面の勢力をまとめて手玉にとり、戦場を拡大するだけするように煽り立てたあげく美味しいところだけ持っていくテロリストだ。AIも戦闘向きだと判断するし、戦闘以外の任務でも彼女が参加すると分かると他のアクターがどんどん抜けていく。
 そんな彼女の悪評を広めつつ、彼女の孤立化を図る一派があった。国会議員の角原だ。新界資源庁を恫喝して圧力を掛け、利権漁りしている角原にとって計算できないボマー(千早)の存在は邪魔でしかなかった……。

 今回は新界に出現する謎の巨竜から始まる騒動の顛末。
 青息吐息でパニック状態の千早が見えなければ、まさに1対多数のゲリラ戦で無双するワンマンアーミー。罠を張り巡らし、敵を巧妙に追い込んでいくさまは『パイナップルARMY』かな。
 痛快無類の冒険譚ですね。

【千早ちゃんの評判に深刻なエラー3】【氷純】【どぅーゆー】【電撃文庫】【痛快×異世界コメディ】【ガチンコ漁法】【万色の巨竜】【ブービートラップ】【ジャグラー】
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「悪役令嬢、宇宙を駆ける」 甘味亭太丸

2025-03-24 | ミリタリーSF・未来戦記
 リリアン・ルゾールは高慢で無能な悪役令嬢だった。その彼女の行動が艦隊壊滅を招き、生き残ったものの左遷され続けて60年、異星人の大艦隊の前に捨て石にされ戦死したと思ったら60年前にタイムリープしていた。
 もう愚かな真似はしない。少なくとも軍にすがり続けた60年分の経験と年齢相応の分別はある。かくして79歳のリリアン・ルゾール少将は、まだ18歳の若く高慢なリリアン嬢として人類の存亡を賭けた戦場に立つ。味方は1艦のみで敵勢力圏に孤立無援。そして艦内には工作員が存在する可能性が……。

「来るなら来いってもんよ。やれるところまでやってやるさ。それが、アタシの贖罪なんだからね」

 最近スペオペは多いけど、ここまでしっかり美女とメカを描いたイラストが満載なのは希有。イラストだけ見るとマクロスっぽいけれど、艦隊戦から白兵戦までいろんなスペオペの要素がたっぷり。1巻はマクロスとかバイファムとかリヴァイアスみたいな孤立した艦に乗り込んだ少年少女を主役にした宇宙艦放浪記になりますが、ウェブでは完結してますので続きが気になった人はそちらでどうぞ。

【悪役令嬢、宇宙を駆ける~二度目の人生では宇宙艦隊を率いて星間戦争を勝利に導きます】【甘味亭太丸】【ヨシモト】【ドラゴンノベルス】【人類敗北を招いた艦隊提督が死に戻り――最強の提督令嬢誕生】【小説家になろう】【カクヨム】【ファーストコンタクト】
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「配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信」 佐藤悪糖

2025-03-23 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
「私は、明日がより良くなったら、いいなと思います」
 それが白石の夢だ。

 ダンジョン探索の透明化のためダンジョンに入る探索者はその行動を映像で記録することが義務づけられており、転じて命がけの探索を生配信するダンジョン配信者がトレンドとなった時代。探索者としての力量は上位ながら、白石のリスナー数はせいぜい100名という弱小配信者。コミュニケーションは苦手でファンサは少なく、ひとことも話さず黙々とモンスターを倒していくだけの面白みのないスタイルだが、数少ないリスナーは〈お嬢〉と呼んで、そのコミュ障ぷりをも愉しんでいる。
 そんな〈お嬢〉の配信がとあるスカウトの目にとまった。配信はポンコツだけれど、トラブルに遭った他探索者救助への参加率は高く、その成功率も非常に高い。国内最大の医療法人、日本赤療字社はそんな白石さんを認めたのだった……。

 喋ればポンコツ、黙れば最強、やりたいことは人助け。そんな「日療の白石さん」が国内初の迷宮救命士となるまでの物語。
 自己紹介さえ満足にできないので配信者としては論外だけれど、ひとたび事故発生の連絡が入るやいなや疾風のごとく駆けつけて戦い、窮地に陥った人々を救出する白石さん。そしてそんな彼女をサポートしながらも彼女を英雄にしてはならないとサポートするマネージャーやオペレーターたちの物語。いろいろあるけど、最終的に「レベルを上げて物理で殴る」みたいな話になっちゃう展開が好き。

【配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信】【佐藤悪糖】【福きつね】【ファンタジア文庫】【ダンジョン配信ファンタジー】【シリンダー】【狼煙】【魔力収斂】【収益化】
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「バスタード・ソードマン5」 ジェームズ・リッチマン

2025-03-22 | 異世界転生
「名誉を軽んじたらいけないぜ。それさえ奪っちまったら……自分の命をかけて戦った兵士に、何も残らなくなっちまうからさ」
 戦争はクソだしムダの塊で、人を殺すのはいけないことだけれど、戦った兵士は誇るべきだとモングレルは戦場帰りのライナに言う。だから今は無事に帰れたことを喜んで呑めと。

 ハルペリアと隣国サングレールとの戦いが始まった。戦いが近付いていることはモングレルたちも気がついていた。依頼が保存食になるようなものが増えていたのだ。
 当然、ギルドマンたちにも招集がかかり、シルバー級以上の者は前線に投入されることとなった。モングレルがブロンズ級に甘んじている理由の1つだ。ブロンズ冒険者の仕事は兵站の手伝いと警備だ。しかし、ライナたち〈アルテミス〉は最前線の要塞に配置されることになっていた……。

 決して表舞台には出ないのだけれど、それでいてなんとなく大きな流れに影響を与えていたのかも……というさじ加減が面白いバッソも5巻。今回は戦争の予兆から戦後処理までとけっこう展開はスピーディーというか、主人公が前線に出ないから戦いの大きな部分かはサクッと流されるのね。

【バスタード・ソードマン5】【ジェームズ・リッチマン】【マツセダイチ】【エンターブレイン】【カドカワの新文芸】【中途半端な適当男の、あまり冒険しない冒険譚】【ハーメルン】【小説家になろう】【サウナ】
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「旗本改革男」 公社

2025-03-21 | 戦国転生・歴史改変
 令和のサラリーマンが気がつけば江戸時代に逆行転生していた。宝暦八年(1758年)生まれの貧乏旗本の八男坊、徳山安十郎こそその転生者である。
 家を継げない安十郎は早熟な若者として好奇心のおもむくまま書物を読みあさって知識を深めていたのだが、それが評判となって「本所の麒麟児」と呼ばれるようになった。そして、安十郎は儒学者で蘭学者の青木昆陽に弟子入りすることとなり、そこで『解体新書』を著す前野良沢や杉田玄白とも交流することになったのだが……。

 カクヨムで読んでいて、書籍化すると聞いて「面白いけど、派手な戦いはないし、目立つヒロインもいないし、大丈夫かな」と思ったけれど、ラノベの派手な装丁ではありませんでした。内容に合った表紙です。ラノベレーベルではなく、角川書店として刊行されていますので書店の一版文芸棚でお目見えかな。

【旗本改革男】【公社】【おおさわゆう】【角川書店】【令和のサラリーマンが田沼時代で大活躍!】【カクヨム】【玄米】【肉食】【オーロラ】【ガレット】【解体新書】【白粉】【出島】【平賀源内】【エレキテル】
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「異世界転移、地雷付き。12」 いつきみずほ

2025-03-20 | 異世界転移・召喚
 秘書のダンジョン権利を手に入れ、いよいよ本腰をいれて攻略を始めたナオたちだが、途中に遭遇した断崖絶壁に攻略方法の再考が求められていた。移動が困難な高く切り立った崖、細居桟道と難所が続き、【登攀】系スキルか道具の整備が必要と判断したのだ。そしてまたまたトミーに登山用具開発という無理をオーダーするのはお約束。
 そんなとき、彼らのもとに見知らぬ冒険者3人組が姿を現した。オークイーターの異名を持つ女性3人組〈翡翠の羽〉、つまりナオたちと同じ転移者である……。

 ウェブ連載とは大筋は同じでも細部は大きく違う書籍化の、書き下ろし外伝で青息吐息で冒険していた〈翡翠の羽〉がついに本編合流! ナオたちの優雅な日常に呆然としてます。

【異世界転移、地雷付き。12】【いつきみずほ】【猫猫猫】【ドラゴンノベルス】【小説家になろう】
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「小泉八雲先生の「怪談」蒐集記」 峰守ひろかず

2025-03-19 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「人だって服を着るじゃないか。時と場合に合わせて着飾るし髪も結うし、帽子も被るし化粧もする……! その姿を見て好きになるのは普通のことだ! だろう?」
 武蔵己之吉は本性も知らずに見かけで惚れることはあたりまえだと言い張る。

 明治29年。ラフカディオハーンこと小泉八雲は、急速に変わりゆく東京の風景や、怪異を迷信扱いする風潮に心を痛めていた。しかし、近代化の進む東京でもまだ怪異の残滓は残されていた。
 街でささやかれる数々の怪談に翻弄される書生の己之吉に、八雲は女中の好乃と共に謎解きして聞かせるのだった……。

 妖怪モノを書いて幾年月、コメディからミステリーまで網羅している峰守ひろかずの新作。妖怪はいるのかいないのか、帰化して東京に居を置いた小泉八雲がさまざまな怪事件に巻き込まれながら、最終的に著書「怪談」を書き上げるまでの連作ミステリ怪異譚集でした。

【小泉八雲先生の「怪談」蒐集記】【峰守ひろかず】【こより】【角川文庫】【明治×文豪×怪異ミステリー】【書生】【虫屋】【食人鬼】【雪女】【のっぺらぼう】【耳なし芳一】【果心居士】【茶碗の中】
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「不老不死のお薬だしときますね1」 黒留ハガネ

2025-03-18 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「大丈夫! 自分の性癖に誇りを持って、堂々と生きましょうよ。そっちのが絶対楽しいですって」
 ヤオサカは好きなものと特異なことが一致しているのは素晴らしいことだと、公爵令嬢のウルファイトゥラ・ジナジェナ・ィアエを励ました。
 ウルお嬢様が好きなこととは人殺しなのだが、そんなことはヤオサカにとっては些細な問題らしい。

 魔王らしい依頼人から注文を受け不老不死の薬を造り上げた凄腕霊薬師のヤオサカは、依頼人に届ける旅に出たのだが、旅の仲間のハフティーは賭け狂いの美少女賭博師。ここ一番の大勝負にあっさり負けたハフティーによって奴隷として売り飛ばされてしまう。
 幸いにもヤオサカを購入したのはィアエ公爵令嬢のウル。公爵家は慈善の意味もあって奴隷の扱いはかなり良い。問題と言えば、彼の指導役になった荷担奴隷の男がやけに恋バナ好きで、ことあるごとにヤオサカに女性を薦めてくるのだ……。

 主人公は性根は狂っているけどそれ以外は特に可もなく不可もなく、相棒は騒々しく足引っ張るばかりで役に立ちそうにないし、黒留ハガネ作品にしてはキャラが凡庸かなあと思っていたけれど、お嬢様が本性を現したあたりから俄然面白くなってきて、そこに何を考えているのか恋バナ好きのおっさんにつきまとわれてからの展開が絶品。なんといってもウルお嬢様! 強キャラ美少女は多々あれど、東方不敗(原作版)を凌駕してそうな美少女キャラって前代未聞かも知れません。

【不老不死のお薬だしときますね1】【黒留ハガネ】【れんた】【ブレイブ文庫】【放浪の霊薬師】【大陸間弾道投げ槍】
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「弟子入りした天才魔法使いが実は娘だったんだけど、どうしたらいい?2」 R・S・ムスカリ

2025-03-17 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 うだつの上がらない底辺冒険者から魔導士に転向したラルフこと魔導名カルエル。実は魔導士としては天才的素質があるらしいし、女ばかりの有名ギルド唯一の男として他人が見ればこの世の春かと思うかもしれないが、なかなかそう上手くはいかない。わざわざ女性ばかりのギルドにおっさんを想定した依頼を持ち込む者はいないし、事情を知らない相手はダメダメ冒険者として侮ってくる。それでも師匠であり(おそらくは)実の娘である天才少女カーラのためにも修業の手は抜かず、カルエルは地道な依頼で実績を積み重ねていく。
 そんな彼の所に持ち込まれたのは、前回彼が回収したマンティコアの卵の捜索。魔導士機関が管理していたはずがいつの間にか盗み出されていたのだ……。

 適正が判明して新規まき直しで頑張る中年男の再起譚。
 今回は性格の悪すぎる勇者兄弟の兄との対決とか、王都に潜入したダークエルフによるテロ・暗殺計画の阻止とか、まだまだ波瀾万丈です。そして才が魔法にあったとしても今まで修練してきた剣の技も決して無意味ではないというところも大事です。

【弟子入りした天才魔法使いが実は娘だったんだけど、どうしたらいい?2】【R・S・ムスカリ】【このいけ】【HJ NOVELS】【不器用な弟子(父)と師匠(娘)のハートフルな魔法物語】 【貸衣装】【叙勲】
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「冬嵐記3」 槐

2025-03-16 | 戦国転生・歴史改変
「いずれあなたに死に場所をあげます」
 それが「いつ」とまで言わないところがポイントなのだが、それでも死に執着している相手を洗脳しているようなものだと勝千代は思う。

 父が駿府で地下牢に囚われていると聞いた勝千代は今川館へと向かった。
 今川家当主である氏親は体調が優れず、先が長くないのではないかということから次代の座を巡って悪意や策謀が複雑に絡み合って混沌としている。双子の兄・彦丸が不審死を遂げたのもそのせいかもしれない。
 そして勝千代は御屋形様と対面するが、その容姿はまさに彼と瓜二つであった……。

 今いちばん面白い時代小説の3巻が大幅改稿で刊行。数えで5歳になった勝千代が内憂外患の福島家を守って奔走し、いかにも子供らしい無邪気の言動で切り込みます。あいかわらず体力がないのは年齢というより最近まで続いていた虐待のせい。今回も早々に凶刃に倒れそうになり、怒りのお父様が大暴れします。

【冬嵐記(三)~福島勝千代一代記~】【槐】【上條ロロ】【モーニングスターブックス】【転生×戦国サバイバル物語】【ヘルモード・サバイバルから始まる戦国成長物語】【小説家になろう】【囲碁】【ゴマ豆腐】
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「辺境モブ貴族のウチに嫁いできた悪役令嬢が、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?3」 tera

2025-03-15 | 異世界転生
「間違えてはならない、私はそう自分に言い聞かせて生きてきた--」
 エドワード・グラン・エーテルダムはすべての国民の模範にならないといけないと己を律し続け、周囲が賢者と呼んで自身を見なくなり、鬱屈したものを抱えていたことを認めた。
 ブレイブ領で全身大火傷を負って死にかけ、九死に一生を得たエドワードの人生観は一変したらしい……。

 夏季休暇が終わった。中間試験が終われば二学期最大のイベント「賢者聖祭」だが、成績優秀者として1年生徒会執行部にエドワードともども抜擢されたラグナやアリシア、マリアナはイベント企画に大わらわ。しかも、そんなところに舞い込んだのは、いつの間にか姿を消していたパトリシアが、敵対している公国の聖女として賢者聖祭の来賓で出席するという報せだった……。

 苛めからの決闘騒ぎも瞬殺ですが、それでも一筋縄ではいかないトラブルが頻発するのが飽きさせない理由かな。
 ひたすらコーヒーを煎れているかコーヒー愛を語り続ける(聖女予定)マリアナが良い感じにキャラ立ちし始めてますが、火傷から復活したエドワードの変貌っぷりも良い感じに転がってます。もともと能力は高かったのに、周囲からの期待で歪み、聖女もどきの誘惑に蕩けてしまったのが、巧い具合に流れて固まった感じです。
 そして転生者らしいパトリシアの目的が垣間見えましたが、これまた面倒くさく迷惑な話ですね。

【辺境モブ貴族のウチに嫁いできた悪役令嬢が、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?3】【tera】【徹田】【ドラゴンノベルス】【乙女ゲー世界の悪役令嬢(可愛い嫁)と織り成す夫婦バトルファンタジー!】【カクヨム】【イケメンコンテスト】【まろみ】【学園祭】【十徳ナイフ】
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「辺境モブ貴族のウチに嫁いできた悪役令嬢が、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?2」 tera

2025-03-14 | 異世界転生
「坊ちゃん、誰かに頼って手に入れた力なんて待ち受けているのは破滅ですよ」
 執事セバスはイグナイト家の悪魔憑きをそう評した。

 夏季休暇を利用してブレイブ領に帰省したラグナとアリシアに付いてきたのは、本来なら聖女になるはずだったマリアナ。貴族が怖い内気なメガネっ娘だが実は魔物好きで極度のコーヒーマニアという、こいつこんなに濃すぎるキャラだったっけ?という少女。
 ともあれ、この夏期休暇を利用して2人をレベルアップさせようと領内のダンジョンに向かうラグナだったが、彼はそこでお忍びでやって来ていた王太子エドワードと出会う。エドワードは愛するパトリシアを聖女にするために必要な聖具がダンジョンの奥にあるはずだから、そこに連れて行って欲しいと頼んできた。
 アリシアとの婚約を破棄したエドワードだし、そもそもこのダンジョンは蟻の巣みたいなものなので奥まで行っても何もないことをラグナは知っていたのだが、そこまで言うのならと……。

 「それがブレイブ領だから」のひとことで、どんな無理難題も不条理も許される辺境に帰還した3人の冒険譚。早々に領地に馴染んでは土魔法で土質改善したりでアリシアとマリアナは使用人たちから早々に認められているけれど、事務仕事に追い回されているラグナはちょっと扱いが悪いですね。
 典型的な男をたぶらかして自分の思うがままに動かしているパトリシアに惚れ込んでしまった王太子の転落の軌跡。愚かとは言え、一途な姿には涙を禁じ得ません。胸くそキャラが一周回ってバケましたよ?

【辺境モブ貴族のウチに嫁いできた悪役令嬢が、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?2】【tera】【徹田】【ドラゴンノベルス】【乙女ゲー世界の悪役令嬢(可愛い嫁)を破滅ルートから救えるのは俺だけ!】【カクヨム】【恋は戦争】【ブートキャンプ】【無詠唱魔術】【土質改善】
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