付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

★コバルト文庫の変遷 1980-1990

2021-10-25 | 雑談・覚え書き
 そんな大層な論を語るわけじゃないのだけれど、1990年あたりにはパソコン通信ニフティサーブのSFフォーラムで「最近のソノラマ文庫やコバルト文庫みたいに、マンガ・アニメの絵を表紙やイラストに用いた少年少女向けの本をなんと呼ぶか」という議論があり、12月には「ライトノベル」と命名された……という顛末があり、なぜそこで名付けなければいけなかったかという話です。

 

 コバルト文庫の翌年1977年から1985年まで、代表的と思われる作品の表紙をずらりと左から右に並べると「これ、本当に同じレーベル?」と言いたくなります(同月発行のものでもジャンルやイラストの傾向がまったく違う徳間文庫なんてのもありますが)。創刊直後の青春小説・少女小説に告白・体験系が加わり、さらに芸能・アニメ・コミック・SF・ファンタジーとごちゃごちゃに詰め込み始めたところでレーベル独自の作家が育ち始め、1990年頃にはまったく違った様相を呈することになります。

 こちらが1980年刊行のコバルト文庫から8冊選んで並べてみたもの。
 赤川次郎とか占星術から体験告白系までごった混ぜ。立原あゆみのコミックも混じってますが、これも女子の間で大人気で男子には決して回ってきませんでした。



 それでこっちがその10年後の1990年。
 氷室冴子がいて久美沙織がいて前田珠子がいてと、このあたりからがコバルト文庫の黄金時代かな。



 この変わりようには、確かに名前を付けたくなります。
 古来より日本人は、不可解な出来事や原因がわからない未知の恐怖に名前を付けることで形を与えて、いわゆる「妖怪」という既知の概念として落とし込むことで生活に取り入れていったわけですが、同じく「ライトノベル」も突如として変貌した少年少女向け小説の新たな潮流に名前を与えることで「そういうもの」として認識できるようになったわけです。
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