「二度目の人生を異世界で３」 まいん

　アズたちと報酬を山分けにしたレンヤは、ちょうどそれが頭金になりそうな物件を見つけた。工房や倉庫まで兼ね備えた住居兼店舗で、パーティの拠点にするのに好物件だが、案の定、幽霊が出るという話で買い手がつかないらしい。
　ものは試しとシオンと２人で泊まり込んでみることにしたレンヤだったが……。

　主人公が能力的にも精神的にもチート過ぎるのです。話は面白いしテンポも良いけれど、そのために１巻冒頭から登場しているシオンとローナの女冒険者２人組が、出番は多いのに影が薄く感じられてしまいます。
　最初から黒子に徹して一歩下がる色仕掛け要員のローナは置いておくとして、見た目凛とした剣士で、弱い人を守りたいと行動するシオンですらヒロインとして弱い。レンヤ曰く「頭が残念で戦闘で弱い」、状況判断が悪くて色気も無いのですから仕方がないのです。たとえるなら「水戸黄門」のうっかり八兵衛ポジションではないでしょうか。
　そういうわけで、マイホーム篇から妖精（シルキー）のフラウ登場です。
　可愛くて、献身的で、家の切り盛りは万能で金策も有能。それでいて屋敷の防衛に限定すれば無敵というチートキャラ。それでいて無邪気ではなく（献身で相殺されるものの）邪気たっぷりの美少女です。
　これくらいアクが強くて主人公と肩を並べる、あるいは特定分野に於いては凌駕するくらいでないと、学園篇で１クラス分の生意気な生徒の身体と心を蹂躙し、樹海にあふれる魔物を瞬殺するようなクセのあるチートキャラの相手はできないのかもしれません。
　似たような異世界転生のウェブ小説を何本も並行して読んでいると、どれがどの話かわからなくなることはしばしばですが、フラウ＝ヴェルデが登場した瞬間にすべてが一瞬のうちに頭の中でつながって、すとんと落ち着くのです。そんなガイドポストみたいなキャラがついに登場です。

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