many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ファニー・ヒル

2010-08-20 20:07:51 | 読んだ本
ジョン・クレランド 吉田健一訳 1966年 河出書房 人間の文学1
きのうの続き。
これ、有名なんだろうか?
帯には「性文学の最高傑作 待望の決定訳公開」ってあるんだけど
私が四方田犬彦を読むことがなければ、私は『ファニー・ヒル』なんて知らないままだったろうと思う。
『読むことのアニマ』に、>わたしが最初に接したポルノグラフィーは、ジョン・クレランドの『ファニー・ヒル』であった。 って挙げられているんだけど、私がこの書名を知ったのは、『感情教育』のほうである。
12歳=中学に入った年にこの本を手に入れたときのことに一章を割いて書かれているんだけど、>その名前をどうして知ったのかは忘れてしまった。なぜ、それをどうしても手に入れて読まなければいけないと決意したかも、憶えていない。ただそれがひどくいけない本であり、もっているというだけで罰せられるかもしれない本であると人に教えられたことだけを、憶えている。 という書き出しで、書店で見つけてもレジのところまで本を持って行く勇気がなくて、何軒か書店をまわって、最後に用意しといた代金420円きっかりを差し出し、エイヤって勢いで買うところまでが語られている。
それを読んで、私は、そこまでして手に入れる価値のあるものなら、何としてでも読んでみなくては、と決心した
で、いつだったか、どこだったかも忘れちゃったんだけど(まあ二十代前半のどこかですね)、古本屋で『ファニー・ヒル』を見つけたとき、飛び上がって買った。
版を変えたちゃちな文庫とかぢゃなくて、ちゃんと四方田犬彦の本で読んだとおりの、河出の「人間の文学シリーズ」で、赤い表紙に何故か鹿の絵が金で描かれてる装丁、初版で帯の後ろに¥420ってあるんで、おお、まさにこれだと、満足した。
それで、さっそく読んでみようと思ったんだけど、最初の方なんだか面白くないんで、まあいつでもいいやって感じで、読まずに放っておいたもんだから、実は全部を通して読んだのは、つい最近のことである。
感想としては、べつにヒワイだなぁとは思わない。いろんな表現があって、勉強になります
物の描写もそうなんだけど、行為とそれに伴ってる感情を述べるとこなんか、原語が知りたくなるくらい上手な日本語に訳されていると思いますよ。
ほんの一例
しかし私たちのはそれを刺戟するだけで満足させない感覚にそう長くは堪えていられなくて、二人が何よりも望んでいることを目指してまた求め始め、私もそれを手伝わないでいるわけにはいきませんでした。
文学的だなーと思う
コメント
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