many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

薬局通

2014-05-14 19:40:36 | 読んだ本
唐沢俊一 1996年 ハヤカワ文庫版
持ってるのは1999年の8刷。
きのうのつづき。
というのは、『星を喰った男』は、単行本として出たときの著者は潮健児名義だったが、文庫にしたとき編著者・唐沢俊一という形に改めたんだけど、それは著者データを統一するための早川書房からの要望だった、ということが文庫版のまえがきに書いてあるんだけど、ハヤカワ文庫で著者の作品としてそれより前に出てるのが、これ、っていうそれだけのことなんだが。
これが著者が文筆業としてやっていくことになった最初の出版物らしい。
なんで薬局ってことになると、著者が生まれ育った家は薬局だったってことも関わってるんだろう。
冒頭の「はじめに」では、
>本書は日本人とクスリのかかわりあいを、街の薬局の店頭という、いわば最前線で観察しながら考えてみようというモノである
という宣言がなされてる。
どう考えるかというと、「あとがき」では、
>(略)風邪をひいたときに迷わず葛根湯をのむ人間と、コルゲンコーワをのんできた人間とでは、どこかでアイデンティティーが異なっているはずなのである。そこを考えたくて、ぼくはこの本を書いた
と明かしている。
基本的には、医薬品を利用する人々は自分自身でもっとクスリのことを知るべきであって、「クスリを薬剤師の手から取り戻さねばならない」というスタンスである。
そこには、苦いので砂糖とまぜて飲んでいいかという質問に、「わたしはその病状にあったクスリを調剤して売るのが商売で、それをのむかのまないかは知ったことじゃない。」と答える薬剤師とか、ドリンク剤をくださいという客に「わたしは薬剤師だ。ドリンクくらいはそこらの店員から買え。」とどなりつけた薬剤師とか、そういうヘンな考えがいつまでもまかりとおってちゃダメでしょ、って思いがある。
コメント
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