many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ゴルフ場殺人事件

2015-05-06 19:51:58 | 読んだ本
クリスティ/蕗沢忠枝訳 昭和59年 新潮文庫版
たいした数は持ってないけど、あるだけは読み返してみるかと思っているアガサ・クリスティの文庫本、原題は「The Murder on the Links」。
南米の大富豪からの、ある秘密をもっているために生命の危機にさらされているっていう、助けを求める手紙をもらって、名探偵ポワロはフランスへ赴いたんだけど、現地ではすでに殺人事件が起きていた。
関係者の話をきいて、いつもどおりの推理をするポワロ。
それに対して、わざわざパリ警視庁イチの刑事って設定でキャラクターをひとりつくって、犯行現場を一寸刻みに調べあげて足あととかタバコの灰とかをみつけさせたうえで、そういうホームズ的なものをバカにしてる。
ポワロの考え方の中心は、そのひとが殺されて得するのは誰かとか、人間心理の分析である。
筋のとおるように考えてった結果、事実にたどりつくってことに自信をもってて、予想外の出来事が起きたときも、
>(略)おれが間違ってたまるか! 整然と、規則正しく積み上げた事実の中からは、ただ一つの解決しか生れない筈だ。(略)
と言ったりする。
ところで、このタイトルは、殺人事件の起きた場所が、富豪の別荘の敷地のすぐ近く、完成前のゴルフ場であることから付いている。
被害者はナイフで刺されてたんだが、新しく掘られた墓穴のなかに倒れているところを発見された。
それはいいんだけど、ゴルフに対するポワロの意見が、らしくて秀逸、笑わされる。
「なんたるゲームだ!」って、いらいらして言う、その理由は、
>考えてもごらんなさい、どの穴も、みな距離がちがう。オブスタクルが、これまた数学的に配置されていない。グリーンさえ、しばしば一方にかたむいている!(略)
っていう、整理整頓、均整のとれてることを何よりの価値とする、ものの見方である。
(上の引用文の「どの穴も」ってのは、holeの直訳だとは思うけど、ゴルフの各ホールのことだよね。)
コメント
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