夢枕獏 昭和61年 祥伝社ノン・ノベル(上・下巻)
きのうから怪談つながりで、なんか怪奇小説をとも思ったのだが、見当たらないので“伝奇小説”とやらを。
ずっとしまいっぱなしだったのを引っ張り出してきて、読み返してみた、「興奮小説(エキサイティングノベル)」(ウラ表紙カバーにそう書いてある)の「サイコダイバー・シリーズ」の第五弾と六弾。
私の持ってるのは、平成2年発行の上巻が23刷、下巻が21刷。
今回の主人公は、いままでのシリーズのどっかに、名前だけは出てきたような気がする、毒島獣太(ぶすじまじゅうた)。
いわばスピンオフ作品なのかと思ったんだが、いずれどこかで他の登場人物たちと合流する話が書かれるんだそうである。
私はその後、中途半端なとこで、このシリーズをほっぽりだしたので、どこでどうなるのか知らないんだけどね。
(だって、そんな展開ばっかなんだもん、はなし横道にそれて、それがまた膨らむいっぽうで長くなるというか。)
まあ、もし、こうして読み返してるうちにまた興味もてたら、最近出てるっぽい文庫で、続編でも読もうかという考えはなくもない。
で、この毒島獣太さん、職業はもちろんサイコダイバーなんだが、女好きでしかたない、そのことについては己に正直というキャラである。
性格が「明朗なるも、極めて下品」、容姿が「端麗なるも、極めて野卑」っていう設定である。
それはいいけど、なんかっつーと「おれは美男子(ハンサム)である」とかなんとか言う。
「おれ」が一人称で語るストーリーだからしょうがないんだけど、ハンサムなる語彙は今だったら用いてないような気もしないでもない。
意外な特技がピアノで、しかも「ショパンの楽曲のほとんどを、譜面を見ずに終わりから逆に弾くことができる」という、役に立つんだか立たないんだかわかんない技をもってる。
しかし、この音楽が特技という設定は、本業のサイコダイビングに活かされてて、ひとの意識のなかに潜っていくのに、音楽の姿に化けて深層へと入り込んでいくという、おっと思わされる描写がある。ここんとこは、とても興味をひかれる。
メインの仕事は、人気絶頂の清純な女性アイドル、公称18歳、二年前のデビュー以来出す曲すべてヒットチャート1位という、叶雪(かのうゆき)を救うこと。
叶雪は、誰かのかけている呪いのせいで、真夜中になると狂ったように淫らな女に変身してしまう、それをサイコダイビングで解決しようというのだが、「ひるこ」とかいう妖怪みたいな婆さんの敵役も出てきたりしているうちに、事件のウラに隠されてたドロドロしたものが明らかになってくる。
誰が味方で誰が敵で誰がホントに悪い奴かってあたりも混沌としてくるんだけど、主人公・毒島獣太は常にスタンスが明快、信用するのはやらせてくれた女で、約束のカネを払わないのが悪い奴である。
きのうから怪談つながりで、なんか怪奇小説をとも思ったのだが、見当たらないので“伝奇小説”とやらを。
ずっとしまいっぱなしだったのを引っ張り出してきて、読み返してみた、「興奮小説(エキサイティングノベル)」(ウラ表紙カバーにそう書いてある)の「サイコダイバー・シリーズ」の第五弾と六弾。
私の持ってるのは、平成2年発行の上巻が23刷、下巻が21刷。
今回の主人公は、いままでのシリーズのどっかに、名前だけは出てきたような気がする、毒島獣太(ぶすじまじゅうた)。
いわばスピンオフ作品なのかと思ったんだが、いずれどこかで他の登場人物たちと合流する話が書かれるんだそうである。
私はその後、中途半端なとこで、このシリーズをほっぽりだしたので、どこでどうなるのか知らないんだけどね。
(だって、そんな展開ばっかなんだもん、はなし横道にそれて、それがまた膨らむいっぽうで長くなるというか。)
まあ、もし、こうして読み返してるうちにまた興味もてたら、最近出てるっぽい文庫で、続編でも読もうかという考えはなくもない。
で、この毒島獣太さん、職業はもちろんサイコダイバーなんだが、女好きでしかたない、そのことについては己に正直というキャラである。
性格が「明朗なるも、極めて下品」、容姿が「端麗なるも、極めて野卑」っていう設定である。
それはいいけど、なんかっつーと「おれは美男子(ハンサム)である」とかなんとか言う。
「おれ」が一人称で語るストーリーだからしょうがないんだけど、ハンサムなる語彙は今だったら用いてないような気もしないでもない。
意外な特技がピアノで、しかも「ショパンの楽曲のほとんどを、譜面を見ずに終わりから逆に弾くことができる」という、役に立つんだか立たないんだかわかんない技をもってる。
しかし、この音楽が特技という設定は、本業のサイコダイビングに活かされてて、ひとの意識のなかに潜っていくのに、音楽の姿に化けて深層へと入り込んでいくという、おっと思わされる描写がある。ここんとこは、とても興味をひかれる。
メインの仕事は、人気絶頂の清純な女性アイドル、公称18歳、二年前のデビュー以来出す曲すべてヒットチャート1位という、叶雪(かのうゆき)を救うこと。
叶雪は、誰かのかけている呪いのせいで、真夜中になると狂ったように淫らな女に変身してしまう、それをサイコダイビングで解決しようというのだが、「ひるこ」とかいう妖怪みたいな婆さんの敵役も出てきたりしているうちに、事件のウラに隠されてたドロドロしたものが明らかになってくる。
誰が味方で誰が敵で誰がホントに悪い奴かってあたりも混沌としてくるんだけど、主人公・毒島獣太は常にスタンスが明快、信用するのはやらせてくれた女で、約束のカネを払わないのが悪い奴である。