木原浩勝+中山市朗 1990年 扶桑社
瑠璃宮なんとかもそうだけど、こないだ『あもくん』読んだりしたんで、なんか怪談っぽいものなかったかなと、探して出てきたのが、これ。
江戸時代に「耳袋」という書物があったんで、「新耳袋」としたそうだが。
副題は「あなたの隣の怖い話」、英題(?)だと「100 Stories From The Dark Side」ってことで、いわゆる百物語をつくろうとしたもの。
それも古くからの怪談を並べるんぢゃなくて、著者は、アニメ制作、ビデオ・イベント企画制作といった仕事だそうだが、著者自身か身近なひとの体験談を中心に、現代に起きた怪異を集めたってことらしい。ずいぶんいろんな目にあってるねえ。
「まえがき」にいわく、
>(略)基本的には一切の究明、解釈を求めず、ただ起こった現象を記しただけのものである。(略)唐突で意味不明の不思議な出来事も、あえて多く収録してある。(略)
ということなんだが、そういうの私はキライぢゃない。
いかにも起承転結つくりました、オチついてます、あるいは、因縁というのはおそろしいものです、という話よりも、ワケわかんないほうがジワジワ怖くていい。
たとえば。
「自宅に帰る坂道にさしかかると、上の方から、一人の人間がまるまって、ばたばたと坂道を転がってくる、それがスーツを着た男性だった。」
とか、
「アパートの部屋のなかを、女性の群れが壁から壁へ、部屋を斜めに横切り、抜けていく、その女性たちの年代に統一性がまったくない。」
とかってのが、私の好みの話である。無意味なとこがいい。
あと、これ読み返したの初読以来だから二十何年かぶりなんだけど、とても印象に残ってたのがひとつ。(あ、この本のなかにあったんだ、って今回気づいた、再発見。)
母親から家に帰ったら必ず玄関や部屋の戸は閉めるように躾けられた女性の話で、
>「戸や襖が開いていると、そこから何者かが覗くんや。それは隙や。生活で隙を出したらあかん。(略)部屋にも隙を作ったらあかん」
っていうフレーズが、妙に私の記憶にひっかかってたんだけど、それはいいとして。
あるとき、この女性が、ふと部屋の襖が少し開いているのに気づくんだが、閉めなきゃって思うと、その隙間に何かを見てしまう。
…って話、きゃー、そんなもの見たくないよー、って思うんだが、この話のいいところは、実は彼女の母も、同じこと言って母を躾けたそのまた母も、おんなじもの見たことがあるってとこ。
第一章 幼い時に見聞きした六つの話
第二章 大学時代に見聞きした七つの話
第三章 車や路上に出るものの十三の話
第四章 家の中に出るものの十六の話
第五章 得体の知れないものの六つの話
第六章 写真やビデオに写るものの八つの話
第七章 狐狸妖怪を見たという十三の話
第八章 不思議な空間の六つの話
第九章 植物に関する三つの話
第十章 死んだ者に関する十三の話
第十一章 聖域であった三つの話
第十二章 “くだん”に関する四つの話
第十三章 百物語に関する不思議な二つの話
どうでもいいけど、今回ひさしぶりに書店の紙カバーをはずしてみたら、装丁凝ってんのね、カバーに切り込みが入ってる。
瑠璃宮なんとかもそうだけど、こないだ『あもくん』読んだりしたんで、なんか怪談っぽいものなかったかなと、探して出てきたのが、これ。
江戸時代に「耳袋」という書物があったんで、「新耳袋」としたそうだが。
副題は「あなたの隣の怖い話」、英題(?)だと「100 Stories From The Dark Side」ってことで、いわゆる百物語をつくろうとしたもの。
それも古くからの怪談を並べるんぢゃなくて、著者は、アニメ制作、ビデオ・イベント企画制作といった仕事だそうだが、著者自身か身近なひとの体験談を中心に、現代に起きた怪異を集めたってことらしい。ずいぶんいろんな目にあってるねえ。
「まえがき」にいわく、
>(略)基本的には一切の究明、解釈を求めず、ただ起こった現象を記しただけのものである。(略)唐突で意味不明の不思議な出来事も、あえて多く収録してある。(略)
ということなんだが、そういうの私はキライぢゃない。
いかにも起承転結つくりました、オチついてます、あるいは、因縁というのはおそろしいものです、という話よりも、ワケわかんないほうがジワジワ怖くていい。
たとえば。
「自宅に帰る坂道にさしかかると、上の方から、一人の人間がまるまって、ばたばたと坂道を転がってくる、それがスーツを着た男性だった。」
とか、
「アパートの部屋のなかを、女性の群れが壁から壁へ、部屋を斜めに横切り、抜けていく、その女性たちの年代に統一性がまったくない。」
とかってのが、私の好みの話である。無意味なとこがいい。
あと、これ読み返したの初読以来だから二十何年かぶりなんだけど、とても印象に残ってたのがひとつ。(あ、この本のなかにあったんだ、って今回気づいた、再発見。)
母親から家に帰ったら必ず玄関や部屋の戸は閉めるように躾けられた女性の話で、
>「戸や襖が開いていると、そこから何者かが覗くんや。それは隙や。生活で隙を出したらあかん。(略)部屋にも隙を作ったらあかん」
っていうフレーズが、妙に私の記憶にひっかかってたんだけど、それはいいとして。
あるとき、この女性が、ふと部屋の襖が少し開いているのに気づくんだが、閉めなきゃって思うと、その隙間に何かを見てしまう。
…って話、きゃー、そんなもの見たくないよー、って思うんだが、この話のいいところは、実は彼女の母も、同じこと言って母を躾けたそのまた母も、おんなじもの見たことがあるってとこ。
第一章 幼い時に見聞きした六つの話
第二章 大学時代に見聞きした七つの話
第三章 車や路上に出るものの十三の話
第四章 家の中に出るものの十六の話
第五章 得体の知れないものの六つの話
第六章 写真やビデオに写るものの八つの話
第七章 狐狸妖怪を見たという十三の話
第八章 不思議な空間の六つの話
第九章 植物に関する三つの話
第十章 死んだ者に関する十三の話
第十一章 聖域であった三つの話
第十二章 “くだん”に関する四つの話
第十三章 百物語に関する不思議な二つの話
どうでもいいけど、今回ひさしぶりに書店の紙カバーをはずしてみたら、装丁凝ってんのね、カバーに切り込みが入ってる。