many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

虚空

2015-11-18 20:05:30 | 読んだ本
ロバート・B・パーカー/菊池光=訳 2002年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
スペンサー・シリーズの第22作目。原題は「THIN AIR」。
90年代前半に読んでいたスペンサー・シリーズなんだけど、前回、押し入れから発掘してきて、ここにとりあげた1994年翻訳版発行の「歩く影」を最後に、読むのやめちゃった私。
理由は、パターンがマンネリで正直なんか飽きたってのと、最初のころはカッコいいと思ってた主人公たちの行動様式やらディスカッションやら人生観みたいなものやらが、繰返されることによって、食傷気味というか、いけ好かなく感じられてきちゃった、ってあたりである。
たぶん、私という人間のほうが変化しちゃったのが原因だとは思うけど。
で、それが読みかえしてたら、あるもんだったら、もうすこしだけ読んでみるか、って気になってきたのは不思議なもんで。
なつかしさで動いちゃったのかな、ま、絶対読むもんかって思ってヤメたわけでもなかったしね、当時も。
ところが、探してみたら、これが無いんだ、どういうわけか、書店に。
たいがい文庫本になってるんだが、最近というかかなり後のころに書かれたらしいものは確かに並んでるんだけど、それより前は見当たらない。
ぐっと初期のころの、「失投」とか「ゴッドウルフの行方」とかになると、ちゃんと置いてあるのに、あいだにはさまれた時代のものが無い。
まさに私がちょうどシリーズ読むのヤメたころのものが、書店に皆無。
こうなると、初期のころのものは面白くていまだに売れるけど、やっぱ私が戦線離脱したころのものは、世間一般からみても人気無いんぢゃないの、って思わざるをえない(笑)
まあ、それはいいとして、このシリーズは登場人物たちの過去からのつながりでいろいろあるので、途中をすっ飛ばして読む気にはなれない、やっぱ順番に読みたい。
一年以上になるかな、大きめの書店でふだん行かないとこ行った機会とか、古本屋のぞいたときは必ずハヤカワ文庫並べてる棚はチェックしたりとか、ずっと探してた。
で、とうとうあきらめて、ことし9月にリサイクル本屋のネット上の店で中古を購入した。
自分の足で探して手にとることができなかったのは、なんだかとてもくやしい。便利だったら何でもいいというものでもないのだ、本を探すのって。
って過程に不満を言ってもしょうがないので、とりあえず読んでみた。
今回の事件は、長年スペンサーと協力しあっている、よき理解者ともいえる、地元ボストンの殺人課部長刑事のフランク・ベルソンの妻(二度目の結婚)が失踪する。
もちろん、ベルソン自身が妻を探し当てることはできるだろうと思ってたスペンサーだが、ベルソンは銃で撃たれてしまう。
スペンサーが捜査を進めるうちに、前作はたしか中国系の移民のギャングが相手になったと思ったけど、本作ではヒスパニックのギャングの争いにぶちあたる。
そこで、スペイン語ができて腕の立つ相棒が必要になり、毎度おなじみのホークぢゃなくて(ホークはビルマにいるって?)、チョヨというガンマンが出てくる。誰だっけ?チョヨって?
ロス・アンジェルスのデル・リオって男に電話をかけて、彼を借り受けるんだが、スペンサーは「フル・ネイムすら知らないメキシコ人の拳銃使い」なんて表現つかってるとこすらある。
チョヨ本人は「俺は人を撃つことについてなんの感情もない。金を払ってくれるからやってるんだ」と宣言する、冷酷なガンマンを自覚してる。
そういえば前作では、かつて敵方だったヴィニイ・モリスを味方に引き入れていたし、スペンサーは。毒をもって毒を制すってことか。
そのへんのとこを知った、当のチョヨにさえ、「スペンサー、あんたは悪い連中と付き合ってるな。(略)」とまで言われたりして、妙におかしい。
(いまちょっとパラパラと調べたら、チョヨが登場したのは『スターダスト』のときみたい。)
しかし、こうやって、事件はスペンサーの仲間の周辺で起きるし、以前の登場人物が助っ人で出てくるし(なんか少年ジャンプ系みたいじゃん?)で、やっぱシリーズ長いと、そのへんマンネリって感じがしてきちゃう。
(マンネリ打破するために、角度を変えたところから、事件が起きて解決策を探ってるんだろうけど。)
ま、とにかく、異色のコンビではあるが、当然事件は解決する。
本筋とはなんにも関係ないけど、翻訳もの読んでると、ときどきわからないボキャブラリーに出会う。
今回気になったのは「タン色」って色。以前の作品にも何度かスペンサーの着ているものとかで出てきたとは思うけど、わからないものは調べないで流しちゃう私。
ちょっと調べてみたら、なめし皮の色らしい。ふーん。



コメント
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