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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

夢の女・恐怖のベッド 他六篇

2016-07-20 19:49:07 | 読んだ本
ウィルキー・コリンズ作/中島賢二訳 1997年 岩波文庫版
『月長石』と『白衣の女』がたいそうおもしろかったもんで、読んでみたコリンズの短編集。
ほんとは『ハートの女王』という短編集が読みたくて、探したんだが、どうやら日本で翻訳、出版されてないみたい。
で、この文庫の巻末の解説をみたら、このうちのいくつかは『ハートの女王』に収められているやつだというので、どうも完全に原書の構成どおりぢゃないのが甚だ不満だが、とりあえずこれ読むことにした。
読んでみたら、とてもおもしろいので、やっぱ他のやつも読んでみたくてしかたない、なんとかならんかね。
「恐怖のベッド」A Terribly Strange Bed
赤と黒というカードゲームのギャンブルで大勝ちした若者、持ちきれないほどの金貨を手にする。
他の客とシャンパンを大いに飲んだあと、その賭博場の客室で一晩泊まることになる。
あてがわれた部屋のベッドは、天蓋のついた立派なものだった。
「盗まれた手紙」A Stolen Letter
このタイトルは、ポーの短篇にもあった、盗んだ手紙をどこに隠すかというテーマで、これもおんなじ。
近く結婚式を控えている友人から相談を受けた弁護士が語り手。
結婚が中止になりかねない、不名誉な事実の書かれている手紙を探す。
「グレンウィズ館の女主人」The Lady of Glenwith Grange
完全に世間から身を隠して暮している、館の女主人の名はミス・アイダ・ウェリン。
彼女は11歳年下の妹ロザモンドの面倒をみると、亡くなった母親に約束していた。
やがて妹は、ある男爵と結婚するが、一緒に住むことになった姉としては、どうしても男爵が好きになれない。
このへん『白衣の女』に似ているんだが、それって男爵が悪党だってこと意味してるのは明らか。
「黒い小屋」The Black Cottage
石工の娘は、父と二人で荒れ地のまっただ中、まわりに人家のない小屋で暮らしていた。
父が留守になったある夜、大金を預かっていることがばれてしまったために、夜中に二人組の悪党が小屋を襲ってくるが、彼女は果敢に戦う。
「家族の秘密」The Family Secret
>どんな過程でも、戸棚の中に骸骨をひとつ隠し持っている、で始まるが、それは外聞がはばかられる一家の秘密という意味の慣用句だそうだ。
この医者の家では、父の一番下の弟のジョージ叔父さんがそんな存在だった。
皆に可愛がられた姉のキャロラインが12歳で亡くなってしまったあと、当時8歳だった弟は、二度とジョージ叔父の名を口にしてはいけないと言われる。
「夢の女」The Dream Woman
仕事にあぶれることにかけては、とにかく運の悪いと定評のある馬丁のアイザック。
仕事を求めに行ったある晩のこと、泊まった宿屋で夜中の二時ころ、女にナイフで刺されるリアルな夢をみる。
うちに帰って寡婦の母親にその話をすると、その日がアイザックの誕生日であることを重視した母親は、詳しく女の容姿を紙に書いて記録する。
「探偵志願」The Biter Bit
副題「ロンドン警視庁の往復文書からの抜粋」というとおり、書簡形式をした推理小説。
うぬぼれの強い新米捜査官のトンチンカンな動きのせいでイライラさせられる警察だが、おかげで事件の真相は容易に見えてくることになる。
「狂気の結婚」A Mad Marriage
メアリー・ブレイディングは兄の療養のために出かけた海辺の土地で、慎ましやかで優しく気取らない若い紳士に出会う。
ときどき無意識に黙り込んでしまうような癖のある彼キャメロンは、夕食に招かれたりしても必ず九時きっかりには帰ってしまうという習慣をもっていた。
コメント
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