平野啓一郎 平成二十九年一月 新潮文庫版
1月に買った文庫、つい最近読んだ。
このひとの書くものはおもしろいんで読むんだけど、新刊が出るたび買うというところまでは行ってないかなという感じ、私にとっては。
文庫でたら読むかってとこで、3年くらいの時間差ができてしまうんだが、それで古くすたれてしまうようなものではないから、いいのだ。
これも、お、新しい文庫か、って買ってはきたんだけど、開いて目次みるまで短編集だとは気づかなかった、なんかその程度の興味ではあるのだが。
読めば、ちゃんとおもしろいから、よかったよかった。
「消えた蜜蜂」
山陰の小さな村で「僕」が知り合った郵便配達員の青年は、色が白くて表情の乏しい二十代後半の男。
彼は他人の書いたものを見て、そっくりの筆跡で文字を書くことができるという特殊能力の持主だった。
「ハワイに捜しに来た男」
ハワイに滞在して人探しをしている「俺」だが、依頼人は探してほしい人の名前も容貌も教えてくれなかった。
人の探しかたは、誰かに会ったら「俺に見覚えがないか?」と訊けという。
「透明な迷宮」
東京の会社員の岡田は仕事の出張でブダペストにいるとき、ヨーロッパを転々としているというミサという八歳年下の女性に出会う。
そこから二人は拉致監禁されてしまったのだが一晩で解放されて、やがて日本に帰って再会する。
拉致されたときの悪夢を乗り越えるのに苦労する岡田にミサは意外な提案をする。
えっ、そーくる、と思わされる展開がよかった、これ。
「family affair」
八十六歳で死んだ父の葬儀をおえた、娘であり晩年の介護をよくした六十二歳の登志江と、妹の五十四歳のミツ子は、後日形見分けなどする。
長男の宏和とは連絡もとれないし、その娘の葵は葬儀にもきたけど、ミツ子は彼女のことが好きではない。
とは言っても、たいした遺産があるわけでもなく、家のなかに残された品を二人で整理しさえすればよかったのだが、新聞紙に包まれた物騒なものが出てきてしまう。
「火色の琥珀」
とある地方の和菓子屋の倅である「私」の告白調の話。
小学生のときに、雑木林の小屋につくった子どもたちの秘密基地が燃えた、それを見てから「私」は火を恋しつづけることになった。
「Re:依田氏からの依頼」
小説家の大野は、知りあいを通じて、かつて対談などしたことのある劇作家で演出家の依田氏からの依頼をもちこまれる。
依田夫人が本人から聴き取った話を、小説にしてくれというのだが、事故にあってからの依田氏のこの二年間の状態は聞くものを惑わせる強烈なものだった。
どうでもいいけど、最終盤に「天気雨の中、白髪のベレー帽の男に瞋恚が憑いた。」(p.259)って文があって、「しんい」はルビ振ってくれてあるんだけど、意味知らなかった。
さすがに辞書(広辞苑)ひいた。【瞋恚】しん-い(シンニ)とも〔仏〕三毒の一。自分の心に逆らうものをいかりうらむこと。怒り。
1月に買った文庫、つい最近読んだ。
このひとの書くものはおもしろいんで読むんだけど、新刊が出るたび買うというところまでは行ってないかなという感じ、私にとっては。
文庫でたら読むかってとこで、3年くらいの時間差ができてしまうんだが、それで古くすたれてしまうようなものではないから、いいのだ。
これも、お、新しい文庫か、って買ってはきたんだけど、開いて目次みるまで短編集だとは気づかなかった、なんかその程度の興味ではあるのだが。
読めば、ちゃんとおもしろいから、よかったよかった。
「消えた蜜蜂」
山陰の小さな村で「僕」が知り合った郵便配達員の青年は、色が白くて表情の乏しい二十代後半の男。
彼は他人の書いたものを見て、そっくりの筆跡で文字を書くことができるという特殊能力の持主だった。
「ハワイに捜しに来た男」
ハワイに滞在して人探しをしている「俺」だが、依頼人は探してほしい人の名前も容貌も教えてくれなかった。
人の探しかたは、誰かに会ったら「俺に見覚えがないか?」と訊けという。
「透明な迷宮」
東京の会社員の岡田は仕事の出張でブダペストにいるとき、ヨーロッパを転々としているというミサという八歳年下の女性に出会う。
そこから二人は拉致監禁されてしまったのだが一晩で解放されて、やがて日本に帰って再会する。
拉致されたときの悪夢を乗り越えるのに苦労する岡田にミサは意外な提案をする。
えっ、そーくる、と思わされる展開がよかった、これ。
「family affair」
八十六歳で死んだ父の葬儀をおえた、娘であり晩年の介護をよくした六十二歳の登志江と、妹の五十四歳のミツ子は、後日形見分けなどする。
長男の宏和とは連絡もとれないし、その娘の葵は葬儀にもきたけど、ミツ子は彼女のことが好きではない。
とは言っても、たいした遺産があるわけでもなく、家のなかに残された品を二人で整理しさえすればよかったのだが、新聞紙に包まれた物騒なものが出てきてしまう。
「火色の琥珀」
とある地方の和菓子屋の倅である「私」の告白調の話。
小学生のときに、雑木林の小屋につくった子どもたちの秘密基地が燃えた、それを見てから「私」は火を恋しつづけることになった。
「Re:依田氏からの依頼」
小説家の大野は、知りあいを通じて、かつて対談などしたことのある劇作家で演出家の依田氏からの依頼をもちこまれる。
依田夫人が本人から聴き取った話を、小説にしてくれというのだが、事故にあってからの依田氏のこの二年間の状態は聞くものを惑わせる強烈なものだった。
どうでもいいけど、最終盤に「天気雨の中、白髪のベレー帽の男に瞋恚が憑いた。」(p.259)って文があって、「しんい」はルビ振ってくれてあるんだけど、意味知らなかった。
さすがに辞書(広辞苑)ひいた。【瞋恚】しん-い(シンニ)とも〔仏〕三毒の一。自分の心に逆らうものをいかりうらむこと。怒り。
