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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?

2017-07-01 18:17:35 | 読んだ本
山本一成 2017年5月 ダイヤモンド社
AIがどんなものなのか、ディープラーニングってなんなのか、といったことの本を読みたいんだが、書店でパラパラと見ても、どうもおもしろくなさそうで。
そんなこと迷ってるうちに、本書が並んでるのを見かけて、なら、いちばんとっつきやすそうなのは、やっぱこれかなと買ってみた。
だって、どうせ将棋と囲碁でなんでソフトが強いのかってことぐらいしか、興味ないんだし。
副題は、「最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質」、長いね。
著者はことし名人との二番勝負に勝った「ポナンザ」の作者。
「はじめに」は2月の日付になってるんで名人との対局より前、「おわりに」は4月で第一局で勝利した後、って時期に書かれたもの。
読んでみたら、将棋や囲碁の話は多いし、なにしろイラストが多いしで、読みやすかった。
サイエンスの本は、私にとってはこうでなくちゃ、横書きで数式が出てくるやつは見てるだけで疲れる。
↑つい、サイエンスって書いちゃったけど、本書のなかにも、
>別分野の科学者にそうした状況を解説したところ、「人工知能は科学ではない」と言われたことがあります。私はその言葉に非常に納得しました。(p.109)
なんてところがあって、どうも分析してけば何かが確実にわかるという世界ではないらしい。
なぜか理由がわからないけどうまくいくという、黒魔術な側面に開発・改良のなかで出くわすものらしい。
まあ、知能とか知性とか、わかってるようでわかんないものなのかもしれないから、そういうものなのかも。
あと、人間は意味と物語にとらわれたものの考え方をしてしまうけど、人工知能はそうではないらしい。
ランダムな実験を繰り返してでも問題を解決できてしまうこととか、
>この世界には、私たち人間以外の知能が存在するのです。(p147)
なんて言われてしまうと、なんかとても不思議。
しかし、どうでもいいけど、将棋で人間が機械に負けてしまうと、なんとなーく不愉快になってしまうひとのなかには、もしかして機械が神かよって思わされてしまうとこがあるからなのかもしれない。
どっかに将棋の神様がいて、人間はどこまで近づけてるのかみたいな考え方を持ってたひとは、機械がこれまでの人では思いもよらぬ手を指して圧倒してくると、そこに実力の比較として神的なものをみて、機械が全能なのかとショックに感じてしまうのではないかと。
ちなみに、神様と角落ちの下手で百番指したら何勝できるかという問いに、羽生さんは「うーん、分からない。さすがに勝ち越すとは思うけど。」と謙虚に答えてます。(将棋世界2007年3月号)
コンテンツは以下のとおり、テーマは「卒業」です。
巻末付録は対談だけど、けっこうおもしろい、囲碁の手の意味はわかんないけど、そういう勝負してたのかってのが明らかにされてる。
第1章 将棋の機械学習 ―プログラマからの卒業
第2章 黒魔術とディープラーニング ―科学からの卒業
第3章 囲碁と強化学習 ―天才からの卒業
第4章 倫理観と人工知能 ―人間からの卒業
巻末付録 グーグルの人工知能と人間の世紀の一戦にはどんな意味があったのか?
コメント
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