ロバート・B・パーカー/加賀山卓朗訳 2011年 ハヤカワ・ミステリ文庫版
年明けぐらいに買っておいた文庫、例によって先月下旬の飛行機での移動の時間とかで読んだ、順番に読んでってるスペンサー・シリーズの36作目。
原題は「Rough Weather」、なんで邦題「灰色」になるかっていうと、「灰色の男(グレイ・マン)」が登場するから。
グレイ・マンっていうのは、シリーズ三度目の登場かな、最初のときはスペンサーを銃撃して瀕死の重傷を負わせた、危険な男。
本作でも、灰色のブレザー、灰色のスラックス、ウィンザーカラーでサファイアのカフスボタンのついた灰色のシャツ、サファイアのタイピンで留めた濃い灰色のネクタイ、爪先のとがった黒い靴というカッコで現れる。スペンサーに言わせると「声まで灰色」。
スペンサーの依頼人は、金持ちの婦人、正確にいうと金持ちとの結婚を繰り返すことで金持ちになっている婦人。
「キリンの家族も通り抜けられる玄関」のある大邸宅のある島で、娘の結婚式を挙げるのに、スペンサーを「何かあったときに頼れる人として、いてほしい」というワケわかんない理由で雇いたいという。警備チームは他にたくさんいるのに。
引き受けるときスペンサーは、恋人のスーザンも連れていっていいかと訊いて了承もらう。いっしょにいないと寂しいからだというんだけど、そういう探偵ふつう雇われないよ。
で、雷をともなう暴風雨のなか結婚式が始まるんだけど、そこにグレイ・マンが武装集団を率いてやってきて、邪魔な奴にはかまわず銃撃して、花嫁を誘拐してく。
こういう場合、スペンサーの守るべき優先順位は当然スーザンになるわけで、敵の一人をやっつけて依頼人なんかぢゃなくてスーザンを救出するだけのために現場に戻ったりする。
その場はなんとか危機を脱したんだけど、やっぱ自分がいながら事件を防げなかったことにはこだわるスペンサーは、例によって、もはや誰にも依頼されていないのに、報酬もどこからも出ないのに、事件から手を引かない。
そうするとグレイ・マンが直接やってきて、首を突っ込むなと言ってくる、スーザンもいる目の前で。
「殺したくないのだ」なんて言う、しかたないからスペンサーは「好かれてるようだ」なんて言う。(p.152)
「世界はつまらなくなるだろうな。きみがいなくなると。好敵手。戦う価値のある男」なんてグレイ・マンはスペンサーに言う、手段を選ばないわりには礼儀正しい。
スペンサーの背後を守るために当然のことながら、相棒のホークがやってくる、スペンサーが呼ぶより前に今回は心配したスーザンがホークに電話した。
でもホークは「ほかに理由は?」と問われて、「いまだにこわっぱ(ピカニニー)なんてことばを使う、世界でただひとりの人間を失いたくないからだ」なんて言う、よき友人。
スペンサーの依頼人は何の狙いがあったのか、グレイ・マンは何のために嵐のなか襲撃してきたのか、「スペンサーの万人向け探偵心得第四項によれば、行き詰まって何をすべきかわからないときには、誰かを困らせろ(p.214)」のルールに従って、スペンサーとホークはあちこち突っつきまわる。
いろいろ関係者を困らせたり怒らせたりするものだから、また余計に死体が転がるようなことになるが、やがて意外な形で事件は解決に向かってく。
たまにはバイオレンスから始まるストーリーもいいね。
年明けぐらいに買っておいた文庫、例によって先月下旬の飛行機での移動の時間とかで読んだ、順番に読んでってるスペンサー・シリーズの36作目。
原題は「Rough Weather」、なんで邦題「灰色」になるかっていうと、「灰色の男(グレイ・マン)」が登場するから。
グレイ・マンっていうのは、シリーズ三度目の登場かな、最初のときはスペンサーを銃撃して瀕死の重傷を負わせた、危険な男。
本作でも、灰色のブレザー、灰色のスラックス、ウィンザーカラーでサファイアのカフスボタンのついた灰色のシャツ、サファイアのタイピンで留めた濃い灰色のネクタイ、爪先のとがった黒い靴というカッコで現れる。スペンサーに言わせると「声まで灰色」。
スペンサーの依頼人は、金持ちの婦人、正確にいうと金持ちとの結婚を繰り返すことで金持ちになっている婦人。
「キリンの家族も通り抜けられる玄関」のある大邸宅のある島で、娘の結婚式を挙げるのに、スペンサーを「何かあったときに頼れる人として、いてほしい」というワケわかんない理由で雇いたいという。警備チームは他にたくさんいるのに。
引き受けるときスペンサーは、恋人のスーザンも連れていっていいかと訊いて了承もらう。いっしょにいないと寂しいからだというんだけど、そういう探偵ふつう雇われないよ。
で、雷をともなう暴風雨のなか結婚式が始まるんだけど、そこにグレイ・マンが武装集団を率いてやってきて、邪魔な奴にはかまわず銃撃して、花嫁を誘拐してく。
こういう場合、スペンサーの守るべき優先順位は当然スーザンになるわけで、敵の一人をやっつけて依頼人なんかぢゃなくてスーザンを救出するだけのために現場に戻ったりする。
その場はなんとか危機を脱したんだけど、やっぱ自分がいながら事件を防げなかったことにはこだわるスペンサーは、例によって、もはや誰にも依頼されていないのに、報酬もどこからも出ないのに、事件から手を引かない。
そうするとグレイ・マンが直接やってきて、首を突っ込むなと言ってくる、スーザンもいる目の前で。
「殺したくないのだ」なんて言う、しかたないからスペンサーは「好かれてるようだ」なんて言う。(p.152)
「世界はつまらなくなるだろうな。きみがいなくなると。好敵手。戦う価値のある男」なんてグレイ・マンはスペンサーに言う、手段を選ばないわりには礼儀正しい。
スペンサーの背後を守るために当然のことながら、相棒のホークがやってくる、スペンサーが呼ぶより前に今回は心配したスーザンがホークに電話した。
でもホークは「ほかに理由は?」と問われて、「いまだにこわっぱ(ピカニニー)なんてことばを使う、世界でただひとりの人間を失いたくないからだ」なんて言う、よき友人。
スペンサーの依頼人は何の狙いがあったのか、グレイ・マンは何のために嵐のなか襲撃してきたのか、「スペンサーの万人向け探偵心得第四項によれば、行き詰まって何をすべきかわからないときには、誰かを困らせろ(p.214)」のルールに従って、スペンサーとホークはあちこち突っつきまわる。
いろいろ関係者を困らせたり怒らせたりするものだから、また余計に死体が転がるようなことになるが、やがて意外な形で事件は解決に向かってく。
たまにはバイオレンスから始まるストーリーもいいね。
