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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

山の音

2017-07-08 18:03:10 | 読んだ本
川端康成 昭和32年発行・平成22年改版 新潮文庫版
ちょっと前のことだけど、テレビで原節子出演の映画をいくつかまとめてやってて、録画してはヒマなときに観てた。
この女優さんについては、べつに、そんなにルックスが好みとかいうわけではないが、むしろ、ちょっとした「あら」とか「ごきげんよう」とかってセリフの響きがとても心地よくて、けっこう気に入ってる。
そのなかで、『山の音』っていう1954年の映画を観てたら、なんか物語全体にただようようなトーンがとても気になって。
無知なので、後から調べたら、原作は川端康成の小説だという、私はあんまり読んでないんだよね、川端康成って。
気になって、読んでみようと思った。映画みてから小説読もうと思うことは、あまりない、ふだん。
すごいね、文庫買ってみたら、平成28年で101刷だ、読まれている名作なのね。
そのくらいポピュラーなので、いまさらストーリーをここでどうこう言うこともないが。
主人公は、六十歳を過ぎて、ちょっと脳細胞こわれはじめてるらしい、尾形信吾のほうだろうな、その妻で年上の保子とは、まあいい夫婦。
鎌倉の家に同居してて一緒に横須賀線で東京の会社に通ってる、息子の修一にはちょっと問題あり、結婚したばっかなのに堂々と浮気している。
修一の妻が菊子で、これが原節子。
困ったもんで、読んでると映画のイメージが強過ぎて、すぐ原節子の顔が浮かんできちゃう。
信吾の役の山村聡の顔もね、ただし、こちらのほうは私の脳の混線から、ときどき笠智衆になっちゃうんだけど。
そうそう、この初老の主人公が、息子には手を焼くし、やっぱ実の娘より嫁のほうを可愛がるんだ、そこで舅と嫁のかけあいみてると『東京物語』思い出しちゃう、どうしても。
実の娘の房子は、結婚生活うまくいかなくて、幼い二人の娘をつれて、この実家に戻ってきてしまう。
ということで、ひとつ家のなかで、いろいろあるが、修羅場にはならずに静かに次第に深刻にストーリーは進んでく。
文庫の巻末の解説を読むまで知らなかったんだけど、最初からひとつづきの長編として書かれたんぢゃなくて、各章は独立した短編として断続的に発表されたものらしい。よくまとまるねえ、ってノーベル賞作家にはたやすいことか?
章立ては以下のとおり。
・山の音
・蝉の羽
・雲の炎
・栗の実
・島の夢
・冬の桜
・朝の水
・夜の声
・春の鐘
・鳥の家
・都の苑
・傷の後
・雨の中
・蚊の群
・蛇の卵
・秋の魚
コメント
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