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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

おじさんは白馬に乗って

2017-12-24 17:47:28 | 読んだ本
高橋源一郎 絵・しりあがり寿 2008年 講談社
前回と同様、以前から読んでた作家のエッセイ、同時に買った古本。
「おじさんつながり」ということもあり、おもしろそうなんで読んでみることにした。
「絵・しりあがり寿」ってのにもひかれたんだが。
もとは「週刊現代」の連載だったそうだが。
おじさんであることを自覚してる著者が、そういう視点から述べたもの、若ぶんないのが潔くていいのでは。
たとえば、いまはブログとかSNSとかすぐ炎上しちゃう傾向が多いけど、むかしはそうぢゃなかったのはどうしてか。
>ちょっとした発言が、たちまち憤激を巻き起こす「小さなムラ社会」インターネットに、いちばん必要なのは、憤激することではなく、優しくたしなめる術を知っている、「おじさん」なのである。(015「ただいま炎上中」)
ということで、古い世の中には攻撃するばっかぢゃなくて、「きちんと「叱る」ことのできる、経験豊かなおじさんたち」がいたって意見とか。
現代の小学校における学級崩壊とかってのの原因を解いてるとこなんかもおもしろいとおもった。
子どもは行きたいとも思ってない学校では、苦痛や忍耐という貨幣を払っているのだから、先生から満足のいく教育サービスを受けられなかったらボイコットする、それは等価交換の原則だと。
で、それに対処できるのが、消費者マインドから遠いおじさんだけであって、学校の勉強がなんの役に立つのかと問われたときの答えは、「やってみなきゃわかるもんか、ボケ!」しかないってのが、秀逸な結論。(027「子どもはわかってくれない」)
それはそうと、当時著者は五十代半ばらしいが、ただのおじさんぢゃなくて、新たに子どもを二人もうけたそうで、当然自分の子どもの話も多く出てくる。
そのなかでけっこう衝撃的なのが、2歳3か月の子どもが家庭でテレビを見ているときの顔つきが、ぼんやりと澱んだ瞳で、名前を呼んでも反応がなく、魂が抜けてしまったように見えたので、思い切ってテレビを家から無くしたって話。
それで本の読み聞かせとかをする姿勢はえらいなと思わされるんだけど、そのちょっと後のもの読むと、やっぱアニメのDVDとか見せるために、あっさりテレビが復活してたりするんだが。
本の構成は連載の時系列ぢゃなくて、だいたいのテーマべつに編集されてて計100本。その章立ては以下のとおり。
「おじさんの本音と正義とユートピア」
「“国”を考えるおじさん」
「若者とおじさんの間に……」
「おじさんの性と愛と加齢」
「おじさんの子育て。飛んで、老後」
「おばさんよりミーハーなおじさん」
コメント
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