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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

東海道戦争・幻想の未来 筒井康隆全集第1巻

2018-01-20 17:31:18 | 読んだ本
筒井康隆 昭和58年 新潮社
筒井康隆の初期作品「東海道戦争」というのはおもしろいらしいと聞いて、読んでみたくて古本を買った。
そしたら、短編小説だったというのは、目次あけるまで知らなかった。
なんせ、この本、短編が49篇入ってるんで、その最後に配置されてる肝心のお目当てにたどりつくまで時間かかってしまった。
でも、期待してたのにたがわず、短編のなかでは秀逸だとは思えた。
物語は、ある日突然、東京と大阪の戦争が始まって、市民もみんな参加して戦闘が繰り広げられるんだが。
なんでそんな戦争が始まったのかは謎だが、けっこうみんなエキサイトしてて、はっきりいって楽しそう。
そのへんを登場人物のセリフを借りて、
>戦争を起したのも、それを楽しむのも大衆だ。マス・メディアは、戦争を大衆に楽しませるためにあるんだ。もっとも、この戦争が、報道あるいは再現メディアにつごうのいいように仕組まれ、準備され、そして発生したことも確かだがね
とか、
>この戦争はあきらかに、贋造の出来事だ。マスコミの世界では、贋造の出来事が本物の出来事を追いやってしまう。グレシャムの法則だ。だからこの戦争は、取材されるための戦争だ。製造されたニュースだ
なんて言うところが、けっこうおもしろい。
それにしても、あらためてまとめて読んでみると、筒井康隆の小説は、心理学の素養がないとむずかしいのかなって気がした、前意識とかって何のことだか私にはわからないし。
この本には、ほかに長編ひとつとエッセイ3篇が収録されてるけど、エッセイの「精神病院ルポ」ってのが、なかではいちばんおもしろかったりする。
ところで、なんで、そろえる気もないくせに全集になってるものを買ったかっていうと、アルコール入った状態で古本まつりへ行くもんぢゃねえな、ってことで、ただの勢いである。
(なんか重いのいくつも買って、ウチに着くころくたびれた記憶はある。)
コメント
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